この曖昧な関係に終止符を

仕事が終わり、家に帰ると彼がいる。

またか、電気ぐらい付ければ良いのに、返事をしない事を分かっていてもつい『ただいま』と声に出してしまう。

返事はしないくせに、私が少し動くだけでピクっと反応する。

出会った時からそうだった。
何も信用していないような、何かに怯えているような、そんな彼。

思い出に浸りながら荷物を置いて、手を洗う。

その間も彼はたまに動いたり、ぼ〜っとしている。

そして私は部屋着に着替えて荷物に手をかける。

この3日間、彼は無銭飲食状態。
家に転がってる物を勝手に食べて、お礼も無ければもちろん家事等もしない。

いや、出来ないのか。
最初から期待もしていない。

私は今日、この関係に終わりを告げる。

この家に住んでもう約4年、
いきなり転がり込んできて、好き勝手に家を荒らして食って、こんなやつを養う程、私は人間が出来ていない。

私は荷物を広げる。

臆病者の癖に何かを察したのか、急に攻撃的になる。
そのギャップで今まで何人の人を落としてきたのだろうか。

今はそんな仕草も可愛らしいとも思う。
だけど、今日で終わり。
20代後半、貴重な時間を彼に費やす必要は無い。

私はそっとゴキブリホイホイをワンルームの部屋に何個も並べた。

奴はブンブン飛んだくせにすぐに入っていった。

ようやく安心して眠れる
2023年、冬がもう近い。