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スロヴェニア音楽ラフガイド(まずはこの2組を聴こう!)

「アコーディオンの音色は人を幸せにする」安西はぢめです。私が大好きな美しい国スロヴェニアとその音楽。それについて、演奏活動を通じてご紹介をしてきましたが、このご時世なかなかイベント開催もままなりません。そこで、今日は動画配信サイトのリンクを貼って皆さんにスロヴェニアの音楽の楽しさ、美しさをお届けしたいと思います。いつか日本でもみんなスロヴェニアの曲を何曲かは知っていて、機会ある毎に合唱されるような土壌が育まれると嬉しいなと夢見ています。

カナ表記についてのお断り

・外務省の正書では「スロベニア」ですが、スロヴェニア共和国の自称を尊重して基本的に「スロヴェニア」表記で統一しています。

・日本の音楽界では一般的に、Slavko Avsenik氏の名前は英語読みで「スラヴコ・アヴセニク」と仮名書きされますが、敬意を表してスロヴェニア語に近くカナ表記させて頂いてます。スロヴェニア語の発音については面識あるお孫さんのSašo Avsenikさんに直接口頭で確認したものを元にしています

数々のスロヴェニア「心のメロディ」の生みの親、ロイゼ・スラック氏

スロヴェニア人の心に深く染み入るメロディを数多く遺したことにおいて筆頭に挙げられるのはこの方、ロイゼ・スラック氏です(Lojze Slack 1932年7月23日生まれ。2011年9月29日没)彼が率いた「アンサンブル・ロイゼ・スラック」は男性コーラス4人とトリオ(民族楽器フライトナルツァ、ギター、ベース)のスタイルで50年に亘り活動し、広く親しまれました。

【彼のヒットの中でも "Dolini tihi"(静かな谷間)はスロヴェニア人の心の歌として幅広い世代に今も愛唱されています。見てください、この盛り上がり!】

【美しいワルツの他に、軽快なポルカもたくさん遺しています。このビデオのロケ地はその有数な規模で有名なポストイナ鍾乳洞の中でしょうか(スロヴェニアは四国くらいの国土に対して、何と1万カ所以上の鍾乳洞があるんですよ!)】

彼の作品は今でもカバーされたり、数々の新しいアレンジの試みがなされています。ぜひ偉大なスロヴェニアのアーティストの代表的な人物として音源をチェックしてみてください。

【因みに、私がカバーしたものがスロヴェニアのメディアに取り上げられたお陰で、たくさんの方に見て頂けた 「蜂飼いの歌」もスラック氏の作品です】

巨星スラゥコ・アゥセニク氏

ドレンスカ」地方出身のスラック氏に対して東アルプス山脈の麓「ゴレンスカ」地方出身のスラゥコ・アゥセニク氏(Slavko Avsenik氏 November 26, 1929年11月26日生まれ。 2015年7月2日没)と、その兄弟バンドは、ドイツ語圏のマーケットへのプロモーションが実り、より世界的な成功を収めます。まずは人類史上最大のヒットの一つポルカ "Na Golici" (ゴリツァの上で)をお聴きください

アコーディオンと作曲のスラゥコ氏、そしてクラリネットと編曲の兄ヴィルコ氏(テーブルに着席しているグレーの上着の男性)が二人三脚で作り上げた独自のバンドサウンドは大人気になり、後に1200万枚以上のレコード売り上げ、31枚のゴールド、2枚のダイアモンド、1枚のプラチナレコードに輝いていて「20世記のヨハン・シュトラウス」とも呼ばれています。今でも盛んにカバーされ、またオリジナル音源もたくさん売れ続けています。

2019年6月、ベグニェ(Begunje)という小さな町に今もある、彼らの生家でもあるホテル・レストラン・記念館を訪れた時には、内外の観光客でとても賑わっていました。私が行った時案内してくれた孫のサーシャ・アゥセニク氏(彼も自分のバンドを率いているスロヴェニアの国民的スターです)によると、ステージを望むこの70番のテーブルに座って食事を取るのがスラゥコ氏の日課だったそうです。直接そんなお話しが聴けた時は感無量でした!

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この、トランペット、クラリネット、アコーディオン、ギター、バリトン(独特な低音の金管楽器・ワルツの時には一般的にコントラバスに持ち替えます)の五重奏は当時画期的なスタイルで、大流行の後にそれを真似したバンドが星の数ほど生まれ、一大ジャンル「オーバークライナー」(地名ゴレンスカのドイツ語名)となり今でも盛んに各地で演奏されています(アゥセニク兄弟バンドには男性1女性2の歌手もフロントに加わりドイツ語またはスロヴェニア語での歌唱するスタイルを取りました。それは孫のサーシャ・アゥセニク氏のバンドにも受け継がれています)

このバンドは、さらに海を越えたところにもファンを増やしたばかりか、スロヴェニア系の移民が多いアメリカ・オハイオ州クリーヴランドでは独自の発展を遂げた「クリーヴランドスタイル」という混合文化である北米ポルカ音楽の基礎の一つになりました。

けれども、スラゥコ氏の作曲の本領は美しいワルツにあると個人的には思っています。こんな曲はいかがでしょうか。

【このしみじみと美しいワルツのオリジナルスロヴェニア語タイトルは "Veter nosi pesem mojo"(風が運ぶ私の歌) です。動画はORFオーストリア放送協会に出演した時のもののようです】

アルペン音楽の陽気さと、スラヴ民族ならではの感傷的なメロディとハーモニーを併せ持つこのジャンルがたまらなく美しいと思って愛しています。

このアゥセニク兄弟の作曲で「第二の国歌」とまで言われているのがこちらの "Slovenija, odkod lepote tvoje"(スロヴェニアよ、その美しさはどこから来たのか)です。撮影地は景勝で知られる「アルプスの瞳」と呼ばれるブレット湖 (Bled jezero) です。まさにその美しさはどこから来たのか問うてみたくなります。私のトップページも湖もこのブレット湖です。本当に美しかったので、ぜひ皆さんにもいつか訪れて頂きたいと思います。

いかがだったでしょうか。ほんの数曲のご紹介でしたが、まずはこの二人の数々の作品を聴くだけでも、スロヴェニア音楽のエッセンスが感じ取れると思います。まだまだ数多くの素晴らしいミュージシャンがいますのでこれからもご紹介を重ねて行きたいと思います。スロヴェニア音楽、ぜひ楽しんでくださいね!良かったらコメント欄にご感想をお寄せください。

【非公式】スロヴェニア親善大使🇸🇮 安西 Anže はぢめ

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