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ケーブルの巻

前回キーボードの回で若干触れたついでに今回は色んなケーブルについてのお話にしようと思います。

バランス、アンバランス、シールド

ケーブルの話をするにあたりましてまず基本的な知識としてこのお話からなんですが、ケーブルがなぜ必要なのかというと電気信号を通すためです。通電効率的には太ければ太いほど良く、短ければ短いほど良いです。
楽器用のケーブルはこの電気信号をノイズから守るために、ケーブル内部は網状の線で覆われてます。この覆ってる網が俗にシールドと呼ばれるものです。
ギターのケーブルの代名詞のようになってますが、シールドのシールドたる所以はこの網になります。
そして中に信号線が通ってますがこれが1芯のものをアンバランスケーブル、2芯のものをバランスケーブルと呼びます。
そもそもバランス、アンバランスはケーブルで完結してる訳ではなく、機材の回路全体的な話なのです。
バランスはアンバランスに加えて芯線が1本多いんですが、芯線がホット(+)とコールド(-)2本があります。この中を通る信号の位相がコールドはになってます。ケーブルに乗るノイズは同じ方向で乗ります。これがアンプなりマイクプリアンプなりPAミキサーなりに繋がり、最終的にはアンバランスに戻して内部に取り込みます。
アンバランスに戻す理由は単純で、音声を増幅するには1系統だけの方が効率がいいからです。つまりマイクプリや卓に入る時点で逆相だったコールドの信号をひっくり返してホットと同じに戻しているんです。
するとホットとコールドを通っていた電気信号の位相はどちらも正相に戻りノイズだけが逆相になって打ち消されます。これがバランス回路の仕組みです。
勘のいい方はこの時点でお分かりでしょうが、この辺がステレオとバランスをごっちゃにして欲しくないポイントです(笑)!
アンバランスはグランドをコールドとしても使用するため2極です。バランスに比べたらノイズには弱いですが、普通に皆さん使ってるのでご存じの通り、そこまでノイズは乗りません。

なお、さらに詳しく知りたい方はググるともっと詳細を説明してくれているサイトが他にも沢山出てきますので、是非そちらをご覧下さい(笑)。

フォーンケーブル


ギター、ベース、その他楽器系によく使われている真っ直ぐなち○このような端子のケーブルです。失礼(笑)、端子が角の様にも見えるのでそれが由来かなと思いきや、電話交換機に使われていた事が名前の由来らしいです。
(ホーンではなくフォーンなのですな)

おそらく1番皆さんが使ってるのはこの端子のケーブルではないかと思います。俗にいうシールドケーブル(シールド云々は上記参照)はこれを指します。
楽器用の大きい端子を標準ジャック、PCやテレビなスマホのイヤホンの小さい端子をミニジャックと呼びます。
さらに端子に黒い絶縁リングがついているんですが、それが一つのものをTS端子、二重になってるのをTRS端子といいます。


キーボードの回の時にも触れましたが、TSは2極、TRSは3極の信号を取り扱います。
このTRSをバランス回路目的で使用する場合とステレオケーブルとして使用する場合があって、同じ端子でも全く意図が違います。
バランス回路目的として使う場合はTRSをホット、コールド、グラウンド
として割り当てますが、ステレオケーブルのTRSはL、R、グラウンドになります。
この場合のTRSはアンバランス×2を1本のケーブルにしてあるんですね。
なもんで、ステレオアウトの機材からTRSでバランス回路のインプットに繋いでしまうとどうなるか、LRの別な回線は一つのホットとコールドとして位相を逆にされまとめられてしまいますので、極端に小さい音になったり、音が来なかったりという経験があります。
またステレオアウトの機材にTSのケーブルを使っても端子の極が少ないのでRの音は出ません。
最近ではシーケンサー目的でPCからオーディオインターフェースで音源を、さらにドラマーのイヤモニ目的でミキサーを繋ぐ…みたいな時にこのトラブルが起きがちです(笑)。

パッとと見の見た目がほぼ同じだし、すごくわかりにくい話なんですが、TS、TRS、モノラル、ステレオ、バランス、アンバランス、この仕様の違いをご理解いただきたく思います。

そして余談ですがスマホのイヤホンプラグなので見かける4極ステレオミニなるものも存在します。メーカーによって規格は違うみたいですが、大体L、R、グランド、マイクの4極になっているとか。

XLR(キャノン)ケーブル


所謂マイクケーブルです。ライブハウスや、スタジオでお目にかかるかと思います。
筆者はプラグが大砲型をしているのでキャノンと呼ばれてるのかなと思ってましたが、
どうやらキャノン社が作ったのでキャノンケーブルと呼ばれてるらしいです。カメラのCanonとは関係ないようです。
キャノン・コネクタがついた3ピンのケーブル。バランス接続の代表格ケーブルですね。
中を覗くと1,2,3と3つのピンが見えますが、現在では

1番グランド
2番ホット
3番コールド

が国際標準となっています。
今の流通品は分かりませんが、少し前までのBOSSのDI-1のように3番ホットという場合が機器によってあるので、念のため取り扱う機器によっては注意してください。ちなみにDI-1はフェイズスイッチがありますのでホットコールド切り替え可能です。

RCAケーブル


DJ機器、映像、音響機器でおなじみのRCAケーブル。ピン端子、ピンプラグ、ピンケーブルなどと呼ばれます。
オーディオ信号の他に映像信号の伝送にも使用されすので、ご家庭のオーディオ周りやテレビ周り、レコーダー、スーパーファミコンや初期プレステ等のゲーム機器等でよくお目にかかったケーブルです。
ステレオ信号(左右の音声)を伝送する場合は2本必要(白がL、赤がR)レコーダーやゲーム機器とテレビを接続する際は映像用にもう1本黄色を足した計3本のRCAケーブルを使用しますが、最近はデジタル方式の映像音声を行うHDMIなどが主流となっているので家庭からは消えつつあるかも知れませんね。
現場では主にDJセットやCDプレイヤーラック等で現役活躍中!アンバランスです。

スピーカーケーブル


スピーカーケーブルはスピーカーとパワーアンプを繋ぐケーブルですが、ギターアンプやベーアンプはTSフォーン、ベースアンプの一部はスピコン、PAのパワーアンプは先バラ、バナナプラグ、スピコン、とこれまた機器によって多種多様です。

スピーカーケーブルはそもそも構造が他のケーブルとは異なっています。パワーアンプからの出力は大きな電流なので、当然スピーカーケーブルはもそれに耐えうるように太めの芯線が使用されています。インピーダンス(交流抵抗)も低いのでそもそもノイズに強く、シールドもされていないアンバランス伝送となります。太い2芯のケーブルですね。

端子が同じなのでギターで使うTSケーブルをスピーカーの接続に使っている方がいますが実はアレまあまあ危険です。とりあえず音は出ます。出ますけどもシールドで送る信号よりも全然大きな電流を流してますからシールドの様な細い網にその電流を流し続けるとどうなるでしょう?中にはアルミ箔で包んであるだけのシールドケーブルもあります。下手をすると火災が起きますね
逆にスピーカーケーブルをギターのシールド替わりに使うとシールドされていませんから「ノイズまみれ」になってしまいます。
なもんで、同じTS端子のケーブルですし、ぶっちゃけ見た目だけでは違いは分かりにくいと思いますが、全く異なるものとしてお考え下さい!

皆さん的には1番身近なフォーン端子ですが、こんなに罠がひそんでるとは思わなかったでしょう(笑)!
フォーン端子には魔物が住んでます。

あとよく話題に上がるのがどのシールドが一番いいんですか論争ですが、こればかりは皆さんの用途や目的によって全然違うと思いますし、日に日に良いものが開発されておりますので結論は出ないと思いますから割愛させていただきます!

ではまた!

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