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ゲインとレベル


お馴染みのアンプやエフェクターはもちろんのこと、ミキサーやオーディオインターフェースなどいろんな音楽機材で見かけるゲインとレベル。どちらも音量に関する同じような言葉ですが、実際どういうことを表しているのか説明したいと思います。


 

■GAIN(ゲイン)

ゲインとは音楽機材では機材に入力される信号のレベル調整で「入力の増幅値」を指しています。マイクや楽器からの信号をどのぐら増幅させるかを設定する部分です。
「HA(ヘッドアンプ)」とか「アタマ」とか人によって色々な呼び方をします。機器によってINPUT GAIN、 INPUT LEVEL、TRIMなんて表記されている場合もあり、わかりやすくするためなんでしょうが、ここでLEVELって出てくる場合があるからややこしいんですよね(笑)。

ゲインの設定が低すぎると適切な信号の値が得られず後の機材やパワーアンプで増幅した時に「サー」というヒスノイズが増え、音の解像度(S/N比といい、信号とノイズの割合)が低くなりますが、高すぎると今度は音が割れてしまい、物によっては最悪の場合機材を破損してしまうこともあり得ます。
クリップランプやメーターが付いてて目視できる物もありますが、ペダルエフェクター等無い場合がほとんどです。
またミキサーやインターフェース等でライン入力とマイク入力が同じ端子の場合とか幅広い用途で使えるようになっている時、そもそもの入力値が大きすぎる場合にはPADという減衰スイッチがついている機器もあります。PADは大体固定値で-10〜30dBくらいガクンと減衰させることができます。

またギターアンプ等ではゲインを上げて意図的に信号を歪ませられるようにしてある物もあります(これが俗に言う【オーバードライブ】)ので、「ゲイン=歪みの調整」と思いがちなんですが、本来は入力する信号の大きさの値で必ずしも歪み具合の調整というわけではないということです。
また、歪みを作るエフェクターやアンプのハイゲインチャンネルのゲインは歪みを生じさせる前提で作られていますから、一定の値を境に音量は上がらずに上げれば上げるだけ歪みが増える作りになっています。
ですから、そういう機材とともにブースターを使う場合に気をつけて欲しいことですが、歪みを生み出す機器の前にブースターを繋いでも、歪み機材のゲイン部分によって増幅した値は歪み値として換算されてしまいますので歪み感はブーストされますが、音量は稼げません。
というわけで歪みの量を増やしたい場合のブースターは「歪み用の機材の前」に、音量を稼ぐためのブースターは「歪み機材の後」に繋いでください。
 
 

■LEVEL (レベル)

音楽機材においてのレベルも音量に関わる値です。ゲインが入力に関するものを指し、レベルは出力の値を指す表記が多いです。

これもOUT LEVEL、OUTPUT GAIN、MASTER LEVEL、VOLUME、MASTER VOLUME等々機材によって表記は様々ですがここでもたまにGAINて表記が使われたりするのでホントにややこしいですね(笑)。
要するに最終的な音量調整機能です。音色によって欲しい音量は変わるでしょうから大変便利なのですが、先程ゲインの時にも触れましたが各機器によって入力値の限界点が違いますから、例えば一つ目の機器で増幅された信号が次の機器へ入力される時、二つ目の機器のゲインをあげる前に限界点を越えてしまうとその時点でクリッピングが起きて歪みが生じます。
 
 
何が一番言いたいかというと入力も出力も「大きすぎても小さすぎてもダメ」ってことです。
そんなに大きな音を出していないのにピーピーとハウリングが起きてしまう場合や、ギターやベース本体のボリュームを絞っても「サー」とか「ブー」とかのノイズがアンプから聴こえる場合はどこかでゲインの稼ぎすぎや音量レベルのロスが起きてしまっていることがほとんどです。

ハウリングや音量のロスは歪みエフェクターに限ったことではなく、コンプレッサーを使っているときにも起こりがちです。インプットされた信号をコンプでがっちり圧縮し過ぎて下がった音量をコンプのアウト、もしくは次の機材のゲインでグイグイ稼いでしまうと、実際に聞こえてくる音量はさほど大きくなくても大幅にレベルを稼いでしまっていることになりますのでハウリやノイズの原因になります。
 レコーディングの時でも録音時のレベルのとり方が後のトラックダウンやミックスにも影響します。
適度なレベル調整がよりよいサウンドメイキングのポイントになりますので注意しましょう!
 

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