女と仕事
2020年にもなると、さすがにもう女性が普通にバリバリと働いているのは珍しくない。
でも、私が新卒時は「氷河期」と呼ばれていた頃で、確かに女性が働き続けていくのには先が見えにくい環境ではあった。
そして、そこから30年近く働いてきた中で、残念ながらやはり「難しいんだな…」と感じる場面は多かった。
今回は、私が仕事をしていく中で、得したことと損したこと、感じたことを思い出したので書いてみる。
そして、男でも女でも、もしかしたら今仕事でちょっと考え込んでいる人のちょっとした参考にでもなればいいなと思う。
女で得したこと
仕事の場で、女だからと得したことは、私はあまりない。
強いて言えば、”女性が珍しい”場ではそれなりに目立つので、それを活かすことは出来た。でも、それは「性別が女」だからではなく、「個性としての女性」という面だと思う。
例えば、ちょっとした会合やミーティング、会社の会議やプレゼンなどで、珍しがられることはたまにあった。
そして、仕事の場で「女の子」を相手にする時、大抵の男性は油断する。
「女の子だから」と上から目線で馬鹿にしてくる男性とは一緒に仕事できないと感じていた。時々、私に裁量権が無いと侮る人は多かった。(実は持っていたので、後からお詫びされることも。苦笑)
相手が誰でも、ほんとにできる人は「きちんと」見てくれる。
性別も年齢も関係なく、お互いに「うまく」仕事ができるかできないかで見てくれる。
おかげで、仕事で良いお付き合いできる方々(今は仲間)と巡り合うこともできて、長くお世話になったりお世話したりする信頼関係を、構築できたと思っている。
これは私が女だったからだけで出会えたかどうかは、わからないけれど。
女で損したこと
こちらが意識していなくても、嫌でも自分が女であることを思い知らされる。
社会では「女性の視点で」「女性ならではの感覚で」と言われたり、今では政府から「女性は輝け!活躍しろ!」と言われるぐらいなのに。(笑)
できうる限りの力を振り絞って、きめ細やかな対応をした結果、クライアントが喜んでくれて「この仕事はあなたでお願いします。」「では引き続き、次もMさんで!」と言われたりした時の達成感は、半端ない。
アドレナリンも、だばだば出る。
でも、そんな時にも社内からは「あの人は、”女”を使って仕事をしている」みたいなことを言う人がいる。(怒)
とある企業で働いていた時は、私も、私の上司(部長・女性)もそのまた上司(副社長・女性)も、いつも言われてきた。
嫌になるのは、そういうことを言っているのは男性も女性もいる、ということだ。。。(そして、そういう噂を信じる悪気の無い人も多い。)
いつもそういう話をどこかから聞いてしまうたびに、
「女というだけで”枕営業”とか言われるけど、こっちは10日間連続勤務で、自分の枕さえ満足に見てないっつうのに!女使ったからって、クライアントの信頼がもらえると思っているんだろうか?」
などと、行き場のない怒りでいつもイライラしていた。
私でさえそうなんだから、上司たち(女)はさぞかし苦労してきたんだろう、どうしてきたんだろう?と思って聞いたみたことがある。
彼女達の返答は凄くシンプルだった。
「気にしてたらしょうがない。」
そして対応は、「ほおっておく」。
彼女たちから言われたのは、
「そういうことを言っている暇な人は、そのうち自分で墓穴を掘るものよ。そういう所に余計な労力や時間を使うほど、あなた今暇じゃないでしょ?」
ということだった。
実際に、別の会社に転職をした後に、また同じような状況になった。
働きずらくてイライラしたが、彼女たちの言葉を思い出し、とりあえず必死で目の前の仕事に専念した。
・・・その通り、1年以内に、その元凶の男も女もキレイにいなくなった。(ちゃんと墓穴を掘って。苦笑。びっくりした。)
私もそこより良い条件のところに転職して、いなくなってたが。(笑)
実は、女を武器にするとあんまりいいことない
私の知り合いに、まさに女を武器にして仕事をしていた人も、確かにいた。
でも、実際の実力が不足な場合は、やはりあっという間に堕ちていく。
女を武器にする場合は、実力をきちんと身につけてからのあくまでもブースターとして使うほうがいいと思う。
その代り、自分が汚れる分の「返り血」も覚悟したうえで、のほうがいいかもしれない。評判やその後の信頼が落ちることもありうる。
私の知っている何パターンかのうちの一人は、「返り血」を受けて今も沈みそうな船にしがみついている。
女でも男でも、進む道は同じ
男でも女でも、辛い時は辛いし、ついてない時はついてない。
そして「女だから」と、どうか諦めないでほしい。
私達の先輩たちが必死で走ってきた道を、どうか負けずに、更に切り拓いてほしい。以前よりは、少しだけ走りやすいはずだと信じている。
そして、誰かが頑張って上に行けそうなら、どうか足を引っ張るよりも応援してあげてほしい。それはいつか確実に、倍以上の感謝で返ってくる。
ちなみに、私がこれらの経験から学んできたのは、自分にも誰に対しても、できうる限り誠実でいるということだ。
そして、足を引っ張ったり悪いことをする人は、いつか必ずその報いを受けることも信じている。
誰かが鉄槌を下すのではなく、必ず自ら失敗して視界から消えていく。
だから気にせず、いつか視界から消えていくのを待っていればいい。待つまでもなく、その存在を忘れてもいい。
そして、まだ厳しい社会の波を、是非とも乗り切っていってほしい。
次回は、ちょっと相談された「恋と仕事」について書いてみる。
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