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歌う人

バスが来るのを待っていた。
駅のバスターミナル。
目の前の女性はオレンジ色のワンピースで長い髪の私より少し若いかなという感じの人。
なんだか荷物をたくさん持っている。
結構列は長い
とはいっても
このバス停3系統くるから全員同じバスにのるわけではない。
だからバスがきたらそれが私の乗りたいバスなのかどうか見極めなくてはならない。
放送してくれるときはいいが
そうではないこともある。
だからそのときは前後の人にきく。
あと、一応駅のターミナルなので始発ということもアリ
比較的時間通りにバスはでるから時間で判断しておくこともある。
ただ、列が長いと乗る人と乗らない人の流れもアリ
ちっともすすまないなとおもっていたらいつのまにかバスは発車してしまったなんてこともあるから流れも気にしなくてはならない。
で、前後のひとに聞いて
乗るとかのらないとかいってしまうのが手っ取り早いということはある。
なかなかバス来ないな。
とぼんやりしていると
目の前の女性が歌い出した。
それが鼻歌とかそんなレベルではない
歌い上げている
しかも、割と多めの荷物をうでに引っかけたままちょっと腕を振り上げるようにしている
歌はなんか戦隊ものっぽくきこえる。
しかも。ちょっとうまい。
なんだ。これ?
私の後ろのおばさんが
「ここにいたくないな」とぼそっといったのがきこえた。
えーと、バスきたらこのおばさんにきいたほうがいいかしら。
と考えていると2曲目も歌い出した女性。
これも戦隊ものっぽい
「いくぜ!』的な声をあげて腕を上げている。
と。バスが来た。
あれはどこへいくのだろう。
時間的には私が乗りたいバスな気がするな
人の流れが長いのでわかりにくいな。と思いつつ前にすすんだら
おもったより進みがなかった他、目
歌っていた女性に突っ込んでいくような形となった。
「待って。順番まっているの。で、これは大学病院行き。私のるの。」
あ、ありがとう。きいてもいないのに
行き先を教えてくれたし
彼女が乗ることがわかったから素直に後をつけていけばいいのがわかった。
荷物が多い彼女は乗り口であたふたしていた。
私が乗り込むとシルバーシートに座っている。
隣があいていた。
白杖をもっていると
混んでいるときにたっているのは特に目立ってしまうので
あいているならシルバーシートでも座る。
彼女は今度は鼻歌程度に
「サトウキビ畑」と
「ぞうさん」をかわいくうたっていた。
やっぱちょっとうまい。
バスが走り出したら歌はうたってなかった。どこまでいくのかな?
荷物がたくさんあるので椅子の脇のボタンをおおっている。
私が降りるときに
そのボタンを押すために荷物をどかすのはちょっと抵抗があるのでほかの部分のボタンを探した。
手がいろんなところを這い回っているうちに
ほかの人がボタンを押していた。
そしたら
「他の人がおしてくれたよ。」
と教えてくれた
ありがとう。
とっても不思議な人だった、
でもちょっと歌はうまかった。



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