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ワイルド・スピードシリーズを観た。

 十数年前に、3作目までは観たことがあって、それ以降全く観ていなかった。なので1作目から改めて観ようと思った。きっかけは、BSで7作連続放送とかやっていたからだ。それを録画していた。そしてこの度ついに観た。以下感想。
 ※ネタバレいっぱいあるよ。

ワイルド・スピード

 ――1作目 (The Fast and The Furious)2001

 以前観ていたから、なんとなく覚えていた。ポール・ウォーカー演じるブライアン・オコナーは警官で、潜入捜査してるんでしょ、って。でもそれぐらいしか覚えていなかった。誰が犯人でどういう展開になっていくのかとか、全然覚えていなかった。
 車をチューンして、ストリートレースに明け暮れる。アメリカの若者って感じだな、と思ったけど、冷静に考えてそんなレース開催されているのか? 不明すぎる。そして僕は全然箱車に興味がないから公道で市販車でレースして何が楽しいのかよくわからない。スピードを出したいという感覚はわからんでもないけど、公道では制限速度を守れ。主人公はスープラに乗っていたけど、なんでみんなスープラに乗りたがるのか。あえてもっと普通の車を改造して速い、のほうが面白いと思うけど、そういうものを誰も求めていないのかもしれない。良いマシンに乗るというのがステータスかもしれないが……。そして、不思議なことに、どこからそんなに車を調達してくるんだという話だ。不思議でならない。アメリカの若者はみんな金持ちなんだね。そういう問題か? 主人公はライバルでもあり相棒になっていくドミニクが金をつぎ込んでいることに疑問を持って、裏稼業で稼いでいるからなんだとようやく思い至る。最初は、あいつはいいやつだから犯人なわけないと否定していたのに、潜入捜査していたから余計に気づいてしまった。そして友情を取るか、警察官としての正義を取るか、という葛藤があって、最後はこれで借りは返すからなと見逃して幕を閉じる。美しい友情、みたいな終わり方でこれで物語は完結、でよかった。続編なんて別に作らなくてよかったんじゃないかと思った。

ワイルド・スピードX2

 ――2作目(2 Fast 2 Furious)2003

 しかし、続編は作られてしまう。映画の続編は作ったってロクなことはないと太古の昔から言われているのに、スクリーンにブライアン・オコナーは帰ってきた。
 1作目で、犯人の逃亡を助けたことで、警察を追われたブライアンが、FBIに協力したら罪を帳消しにしてやるということで、また潜入捜査をする。麻薬商人のマフィアが運び屋を探しているということでそこに、昔の知り合いの男と潜入する。この男こそ、ローマン・ピアースである。個人的にはこの、ブライアンとローマンのコンビがかなり好き。コンビで悪の組織を追い詰めていく構図の映画は、『バッドボーイズ』とか……あとは全然思い浮かばなかったけどバディ映画とかいうらしい。『リーサル・ウェポン』とかか。この映画の見どころは仲間とともに大量の車で駆け回るカーチェイスシーンで、その後の、船に車でダイブするシーンは覚えていた。改めて観ても迫力があって面白かった。
 ところでX2のXってなに。

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT

 ――3作目(The Fast and the Furious: Tokyo Drift)2006

 なんでこんなことになったんだ。という映画。
 前作までと主人公も違うし舞台も違う。
 みんな大好き間違った日本観、変な日本語。007は2度死ぬの方がましだった。
 まず、主人公がどう見ても高校生に見えない。ヒロインも女子高生に見えない。そして日本であんなレースができるわけがない。少なくとも東京でそんな事はできない。首都高もそんなに空いているわけがない。地下パーティみたいなのも、あるかもしれないけど現実的じゃない。しかも高校生がそれに関わるのも意味不明。主人公はアメリカで免許とってるかもしれないけど、ヒロインは日本育ちみたいなのにどうやって高校生で車の免許とったんだ、というツッコミもある。同級生も同様に。しかも同級生は自分の車を持っていて超人ハルクをイメージして車を改造している。高校生のどこにそんな金があるんだ。日本とアメリカじゃ文化が違いすぎる。そして東京で車を飛ばそうという考え自体が間違っている。せめて23区からは出たほうがいい。日本語が変なのは役者も日本人じゃないから仕方ないところはあるけど、日本人同士で会話しているところは日本語にしたほうが自然だと思った。なんか中途半端だった。僕はドイツが舞台の映画なのになんで英語を喋ったり英語の歌ばかり出てくるんだと思ってしまうタイプの人間なので気になった。
 映像は面白かった。ドリフトに焦点を当て、迫力のある映像が展開される。土屋圭市が出ていて「カウンターステアの当て方が甘いんだよ」みたいな事を言っていたのが面白かった。正直ドリフトのどこに魅力を感じるのか個人的には全然わからない。すごいとは思うけど。
 ストーリーも含めてやっちまった映画という印象しかない。でも、この映画で登場したハンというキャラクタが今後人気のキャラクタになっていくわけだが、彼の存在はよかった。
 1作目ではスープラとかS2000とか、2作目ではランエボとかがメインで出てきてスタッフは日本車が好きなのだろうことはわかる。だから日本を舞台にしようというのは仕方なかったのかもしれない。正直、シリーズの中では残念な映画ではある。しかも時系列では6作目と7作目の間ということなので、その情報なしに次の4作目を見ると混乱する。

ワイルド・スピード MAX

 ――4作目(Fast & Furious)2009

 前作で地に落ちた(と僕は勝手に思っている)評価を回復させた。同じ監督なんだけどすごいな。
 2作目での活躍のおかげで、FBIで働くことになったブライアンはドミニク・トレットと再開してまた手を組むという流れだ。そしてまた麻薬組織と戦う。映画の方向性が、スパイ・アクションに変わった。レース要素は申し訳程度になった。まあ、いつもレースしてたんじゃ観客も飽きるから、良い変化なのかもしれない。ド派手なアクションでめちゃくちゃ面白いカーアクション映画へと変貌した。今まで観なかったことを後悔した。そんな4作目だった。

ワイルド・スピード MEGA MAX

 ――5作目(Fast Five)2011

 前作の最後で懲役25年を言い渡されたドミニクを輸送するトラックを襲い、逃亡させてまたブライアンは手配される。FBIの仕事より仲間と悪いことする方が性に合っているらしい。今度の舞台はブラジルである。
 いくらブラジルだからってそんな治安で大丈夫か、となる。そりゃそういう地域もあるだろうけど……。今回は、ブライアンとドミニクの妹ミアとの間に子供ができる。そして今までの作品に出てきた仲間たちが集結してめちゃくちゃ盛り上がる。この映画のテーマが家族であることがわかる。ヘイブラザー、みたいな意味合いでのファミリーだ。一緒に走っていた仲間、ドミニクにとってはみんな家族だった。1作目に登場したあの仲間と再会していて、こいつがめっちゃいいやつで観客からの評価はうなぎのぼりである。でも、明らかな死亡フラグを立てて死んでいった。そんな気はしていたけど死ぬなよ。そして敵だったはずの筋肉と協力して敵をぶっ潰す、という展開も面白い。筋肉同士わかりあった瞬間、これだから筋肉映画は……となって俺歓喜。いつの間にこんなに筋肉映画になったのやらと思う。この筋肉ことアメリカ外交保安局の捜査官ルーク・ホブスを演じるドウェイン・ジョンソンはプロレスラーで、こんなんに勝てるわけ無いだろ敵もアホだなと思わざるを得ない。
 今回は映像がとにかくド派手で、シリーズでも一番派手だったかもしれない。金庫を奪って街中引きずっていくシーンがめちゃくちゃしすぎで、そんなこと起こるわけ無いやん、てなって面白い。年々わけのわからない映像にアクション映画は進化する。ストリートレースをやってた最初の頃はこんな映像が見れるとは思わなかった。
 最後に次作への続きを知らせるシーンがあって、この勢いのまま映画は続いていくのだと思うと胸熱だった。 

ワイルド・スピード EURO MISSION

 ――6作目(Fast & Furious 6)2013

 今回も申し訳程度のレースシーンがあった。もういらんのちゃう? 今回敵は謎のフォーミュラカーみたいなのに乗って現れる。しかも乗っているのがギュンター・シュタイナーみたいな人でおもしろい。敵のことを調べるためにかつて捕まえた悪人に会いに行ったり、その過程でFBI時代の同僚が出てきたりと、連続で作品を観ていると、ちょっとだけだとしても再登場は嬉しくなる。
 そして今作は、戦車が出てきた。もうわけわからないよ。『007 ゴールデンアイ』とかいう映画みたいだった。空中で仲間をキャッチしたり(このシーンがかっこよくてしびれる)、飛行機で逃げようとする敵を逃すまいと、離陸させないように戦ったり、空中戦(?)が印象的だった。飛行機の中でも肉弾戦をしているし、カーアクション映画の要素は年々薄れていっている。もちろん車は使うんだけど、レースでぶっちぎってどうこうという速さに物を言わせる要素がない。少し残念な反面、主人公たちもそういった変化を受け入れていこうとするのが描かれていてよかった。
 ラストで、3作目に繋がる終わり方をして、新たな敵の出現を予感させて終わる。だれも彼らをそっとしておいてはくれない。

ワイルド・スピード SKY MISSION

 ――7作目(Furious 7)2015

 タイトルからFastがなくなった。そしてポール・ウォーカーも亡くなった。ポール・ウォーカーに捧げる最後の作品。一応これで物語は一応の完結、とも見れる。一応。
 今回は空から車に乗って降下する。ガンダムみたいだった。相変わらずめちゃくちゃな映像だ。面白いからいいけど。スパイ映画味が増して、レース要素はほんの一瞬だった。作戦を完遂するために必要な頑丈な車がほしいからスピードはいらないって言っていたものな。タイトルからも消えるわな。
 レティは記憶がないのにノリノリで、それでいいのかって感じだった。身体に染み付いているのだろう。衝動が。アブダビの高層ビルからダイブして隣のビルに飛ぶのは天国へのカウントダウンだった。コナンの映画って実写化してたんだね……。主人公たちもめちゃくちゃだけど、敵もめちゃくちゃでジェイソン・ステイサムはどこにでも一人で乗り込んでくるし、テロ組織はロスの街中で戦闘ヘリで襲ってくるし、ミサイル飛ばしてくるし。そして、中東の王子のパーティは……あんなことあるのか? 金持ちの考えることはよくわからんので、あるかもしれないけど、三作目みたく現実味がない。
 あと、家族というテーマをやはり今作も全面に押し出していて、単なるアクションじゃなくて人情が深いのがこのシリーズのいいところなのかもしれない。
 僕の好きな浦賀和宏という作家はポール・ウォーカーが亡くなって、ショックを受けていた。ツイッターで呟いていた。ワイルド・スピードシリーズについても度々言及していた気がする。僕はそれを知っていたけど全然今までシリーズを観なくて、今になって嘆いている。ポール・ウォーカーは40歳で死んでしまって、浦賀さんも41歳で死んでしまった。もっと早くに観て浦賀さんのツイートに共感したりしたかったと嘆いても後の祭り。こんな面白いシリーズとは知らなかったから余計に悔しい。でもそれも人生。そうだろう。こうやって書いている僕も40で死ぬかもしれないのだから。

 ほんとそれ。
 そういうのをもう見れないのだ。それでもシリーズは続いていく。残された僕たちの人生が続いていくように。

ワイルド・スピード ICE BREAK

 ――8作目(The Fate of the Furious)2017

 前作は殴り合いをしていてカーアクション映画だったはずなんだけど……と思っていたので、今回わりとカーアクションが多めで面白かった。車多すぎだけど。車壊しすぎだけど。
 最初の頃は、ブライアンが主人公のシリーズだと思っていた(少なくとも1、2作目はそう)けど、いつの間にかドミニクが主人公になっていて彼と家族の話になっていた。だからポール・ウォーカーが亡くなってからもこうして物語は続けられたのは当然のことなのかもしれない。でもやっぱり、ドミニクの横にはブライアンがいてほしいよ。寂しいなぁ。
 今回は氷の上の戦い。核兵器とか潜水艦とか戦車とかでてきて、007かな。そのうち敵は宇宙から攻撃してくるんだろう(次作で宇宙行くとか噂されているケド)。
 そういえば、スコット・イーストウッドが出ていて俺歓喜って感じだった。やはり父親に似ている。ジェイソン・ステイサムが今回は仲間になっていて、こいつがハンを殺したんやぞって冷静に考えて仲間にはならんやろと誰もが思ったはずだ。スターだから仕方ないね。そしてスターだから存在感がありすぎる。それまでのファミリーの面々の出番がどんどん減ってしまう。もはやワイルド・スピードではない、になってしまう。飛行機の中で子供を守りながら戦う姿はトランスポーター番外編だったものな。
 最後にブライアンが出てきて感動した。けどそれでいいのか。映画の中でブライアンは死んでないのだから、ハンの方が良かったのでは。まあいいか。

ワイルド・スピード/スーパーコンボ

 ――スピンオフ(Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw)2019

 完全にワイルド・スピードではない。同じ世界観のスピンオフなのでこうなるのは仕方ないけど、邦題はサブタイトルにワイルド・スピードって小さな文字で入れたほうがよかった気がする。タイトル通り、ホブスとショウの話。二人が世界を救うために悪と戦う。
 相変わらずド派手で、敵のアイアンマンが強すぎる。でも筋肉に勝てるわけ無いだろと思う。終盤は銃撃戦じゃなくて肉弾戦だったし、もうカーアクション映画とは呼ばせない。確かにカーアクション要素はあったけど。それは映画の要素の一部でしかない。そういえばマクラーレンが出てきて、敵のアジトがマクラーレンのファクトリーだった。車要素いる?
 ホブスとショウの家族の物語でもある。やはりこの映画のテーマはそこなんだと再認識する。続編を匂わせるおわらせ方で、また儲けようとしている。いいぞ。ワイルド・スピードではないかもしれないけど、面白かったから続けてくれ。

続編

 ワイルド・スピード/ジェットブレイク
 ――9作目(F9)2021

 今年公開される。8月。去年の予定が延期されていたけど。でもこのタイミングで全部観たからちょうどよかったね。楽しみです。
 そして007はいつ公開されるのか……。待ってます。全世界が。

 予告でいろいろ出しすぎだろ。いいけど。楽しみすぎる。ストリートレースしていた頃が懐かしいぜ。

 十数年ぶりに観たからこんな事になっているとは思わなかった。昔3作目まで観たときは。一体何作続くのか。一応11作目までは予定があるらしいけど。完結するまで俺は生き延びることができるか。

もっと本が読みたい。