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サメ月間

 夏なのでサメ映画を観たらしいですよ。

 その記録。

ジョーズ

 Jaws(1975)

 ↑Wikipediaのページがすごい迫力。出典が270超えててすごい。
 それはともかく名作だった。サメ映画の原点にして頂点という感じだった。僕は15年ぐらい前にこの映画を一度観た気がするけれど何一つ覚えていなかった。そして今回あらためて観て名作だと気づいた。スピルバーグの映画の中でも2番めに好きだと思ったぐらいに(一番好きなのは『戦火の馬』とかいう馬映画)。
 スピルバーグの後の作品である『ジュラシックパーク』でもそうだけど、特に序盤、なかなか敵であるモンスター(サメ)を映さないのはスピルバーグ的だと思った。そしてよく考えたら『激突!』でも運転手の腕しか映さなくて実体の見えない恐怖みたいな演出はしていた。そしてさっきWikipediaを見たらサメの模型がすぐ壊れるからサメを映さないという手法にしたとか書いてあってそういう理由もあるのかと納得した。
 前半からサメの被害者が出て街のシーンがあって遺体が発見されるけどサメの仕業じゃないと市長は強硬に海開きをして楽しそうな観光客のシーンがあってサメが現れて、と穏やかなシーンと緊迫感のあるシーンが交互に出てくる。もちろんそういうやり口は映画に限らず創作する上では常套手段かもしれないが、あまりにもその繰り返しだった。会場のシーンでもサメが現れて引っ込んでを繰り返し、静と動を描く。そして終盤になるに従って徐々に船が沈んでいって緊迫感が高まっていく、理想の作品作り、みたいな映画だった。
 後半は3人の男たちだけ(とサメ)で物語が進んでいって、極端な話、船と海しかない舞台セットなのに非常に面白かった。そういう限られた空間で魅せてくる映画たまらなく好き(『12人の怒れる男』とか『パニックルーム』とか『127時間』とか)。
 あと、スピルバーグといえばおなじみのジョン・ウィリアムズの音楽も良かった。ていうか音楽の使い方が上手いと思った。あのフレーズだけでジョーズのテーマだってわかるのはすごいし、音楽があるシーンとないシーンを使い分けて、それも静と動を描くのに一役買っている。
 映像的な面では、めまいショット(ドリーズーム)を使っているシーンがあったり、ラストバトル前に逆光で影になっているシーンを印象的に写して決戦感を出していてよかった。
 それから、7月4日とかいう設定別にどう考えても必要ないのに持ち出すのはアメリカ的というか制作会社側からの圧力みたいなのがあったんじゃないかと思ったりもする。ていうかその方がアメリカ的にウケるだろうと狙って監督もやっているのかもしれない。なんか作為を感じた。
 ともかく名作だった。

ジョーズ2

 Jaws 2(1978)

 盛り上がりにかける映画だった。前作はサメを(積極的に)退治しに行く展開だったけど、今回は子どもたちを助けに行くことがメインだった。結果としてサメと戦って倒すわけだけど、前作と展開を変えようというのが感じられてその点は良かった。
 気になった点として、サメが模型感があってもうちょっとなんとかならなかったのかなと思った。前作は模型がすぐ壊れるからあまり映さない手法にしたらしいけど、今回はわりと映っていたから気になった。あと、前作のほうが躍動感があった。映っていないのに。映したことによってタックルばかりが強調されてその機械的な動きのシーンの印象が強く残るからだろう。
 そしてそんなこと突っ込んではいけないんだけど、サメが背びれだけ水上に出すことなんてあるか? 映画としての演出なのはわかるけど気になった。やりすぎだからか。
 あと、若者がヨットに乗って遊んでいたけどそういうのはどこまでがリアルなのかわからない。免許とかいらないのかな? 知らないしアメリカの若者はみんな高校生になったら車乗り回すイメージだから同じような感じなのかもしれない。

ジョーズ3

 Jaws 3-D(1983)

 違和感バリバリの合成が良かった(?)。
 もともと、3D映画として作られたので、その名残で映像が気持ち悪いのだろう。特に潜水艦の合成は一番違和感があった。
 ストーリーとしては、前作までの主人公の息子たちが主役で、舞台も変わってマンネリ化を避けたのは良かった。前作まではわからず屋の市長のせいで惨事が起こったけど、今回はテーマパークの館長がその役割を担っていた。といってもサメの存在を否定するのではなく、むしろ映画全体がサメの存在を疑わないスタイルだった。そしてそれを水族館としてサメを勝手に公開して利用した。来園客が閉じ込められているのに、人命より設備の修理費用のことを考える人の心がないキャラクタとしてよかった。

ジョーズ4 復讐篇

 Jaws : The Revenge(1987)

 意外と面白かったけど、サメ映画としては2点ぐらいだった。ヒューマンドラマ的側面が強い映画だった。サメが復讐しに襲ってくるっていうそんなわけないやんていう設定は良かった。
 今までの3作に出ていたキャラクタが冒頭で死ぬ展開は意外でよかった。そして主人公が1作目と同じ役者で同じ役なのもよい。1人で立ち向かっていこうとするのがかっこいい。
 3みたいに残念な合成ではなかったけど、サメの模型感はやはり強かった。だからこそ逆に怖さがなくなっている。そういう点でも、サメ映画じゃないというか、パニック映画とかホラー映画とかそういうジャンルじゃなくなって一族とサメとの因縁とその戦いを描く映画になってしまっている。今までとはちょっとジャンルが違う気がする。だからタイトルにも4とついていないのかもしれない(公開当時は邦題も『ジョーズ'87 復讐篇』だった)。サメが追いかけてきて復讐に来ているというのは主人公の妄想で、その妄想を断ち切る話という意味でどっちかっていうと文学的な映画だった。

レッド・ウォーター サメ地獄

 Red Water (2003)

 サメ地獄に落ちないように人間同士が争う話だった。
 サメがあまりにも空気読み過ぎだし脇役だしで、サメ映画とはいえなかった。人間同士の争いは、どこかで見たことのあるような内容でそれなりによくできていた。水中の爆破CGがチープで良かった(?)けど、水上の爆破はけっこう気合いが入っていてテレビ映画の割には頑張っていた。

ダブルヘッド・ジョーズ

 2-HEADED SHARK ATTACK(2012)

 頭が2つある利点を活かせていないと思ったけど、頭が2つある利点なんてないなとも思った。頭と頭の間に挟まってヒロインが耐えしのいだけど、それはむしろ欠点だった。ていうか環礁にあんなにサメが近づくのかという疑問が残る。

トリプルヘッド・ジョーズ

 3-HEADED SHARK ATTACK(2015)

 海洋汚染で突然変異が起こって頭が3つあるサメが生まれたっていう設定はちゃんと理由づけしていてよかった。海にはサメがいるのに、みんな率先して海に飛び込んでいくのはギャグだった。釣り人のおっちゃん強すぎるし、切れた頭から頭が生えてくるの意味がわからない。しかもラストの倒し方が地味すぎる。頭同士で共食いするとかギャグだった。

ファイブヘッド・ジョーズ

 5-HEADED SHARK ATTACK(2017)

 サメの頭が5つあること以外は意外と真っ当な映画だった。ゴミクズ経営者とそれに説得されて海に行く実習生もアホで良かった。
 あと、水中でサメが吠える。
 もうここまで来ると何も言うまい。

シックスヘッド・ジョーズ

 6-HEADED SHARK ATTACK

 頭4つ使って陸上歩くのかわいい。
 嵐が来るとか言ってた設定は後半どうなったの? 灯台までは遠いから間に合わないとか言っていたのに余裕で間に合っていたし結局嵐来ないし。40年前の研究施設が残っているとか言ってそこに行ったけど、あれが40年も残っているなんてどう考えてもありえない。
 そして夜が来ていたのにいつの間にか朝になっていて意味がわからない。時間経過した描写あったようには思えない。サメが朝まで待つとも思えないから時間経過したとは考えづらい。
 とにかくサメがかわいい。

ロスト・バケーション

 The Shallows(2016)

 海版127時間て感じだった。
 サメと1人で戦う映画。かっこいい。そして上等なサメ映画だった。というかサメ映画と同列に語っていい映画ではない。演技も素晴らしいし映像も美しい。

シャークネード

 Sharknado(2013)

 全体的にはわりとちゃんと映画していたと思った。サメ映画というかディザスタームービーだったけど。ていうかサメいらなくない?
 竜巻に巻き込まれてサメが降ってくるのはいいとして、そのレベルの竜巻ならもっと車とか人とかも降ってくるのでは? 街を襲っている竜巻が街なかの物を巻き込まないのはおかしい。そして降ってきたサメにぶつかった衝撃で死ぬのはわかるけど降ってきたサメに食われるのは意味わからない。
飛んできたサメは地面に叩きつけられるだろうしその前に竜巻のなかで死んでるのでは。もちろんそんなツッコミをしてはいけないんだけど……。
 あと車の中のシーン多くて予算足りないのかなとか思った(そらそう)。
 それからヘリで竜巻に近づくのアホなの。危なすぎる。ばかみたいな映画だからそれでいいんだけど。

シャークネード カテゴリー2

 Sharknado 2: The Second One(2014)

 めっちゃおもしろい。
 冒頭の飛行機内のシーンで、なんであの人銃もっていたの? 機内に持ち込むなよ。警官? だからOKなの? そのへんよくわからない。
 そして異常気象で夏なのに雪が降るのはいいけど、木が枯れているのはどういうわけだ。しかも天気予報でサメが1時間に50mmとか降鮫量とか言っていて、コメディ色が出てきてよかった。1作めはわりと真面目だったから。

シャークネード エクストリーム・ミッション

 Sharknado 3: Oh Hell No!(2015)

 いろんな映画のパロディがあってよかった。007やら父親たちの星条旗やら。序盤、ホワイトハウスがシャークネードに襲撃されて、大統領と戦う展開が熱くてテンポも良くて最高だった。ホワイトハウス襲撃系の映画ではホワイトハウス・ダウンより面白かった。エンド・オブ・ホワイトハウスのほうが面白いけど。
 終盤、宇宙に行ってもうわけわからないよ……。
 あと、意外とメインキャラでもどんどん死んでいくのが油断ならない。新しい仲間が増えたと思ったら意外と死ぬし、前作で生き残っていたと思ったら意外と死ぬ。

シャークネード4

 Sharknado 4: The 4th Awakens(2016)

 もはやサメ関係ない。サメ以外の「~ネード」の乱用。

シャークネード5 ワールド・タイフーン

 Sharknado 5: Global Swarming(2017)

 今回はインディ・ジョーンズのパロディ多め。もう意味わからない。サメである必要性がない。世界各地を巻き込んで、終末に向かっていく。途中で現れた石を奪っていった敵組織は何なんだよ。それ以降出て来ないし。ところどころ雑CGなのがよい。

シャークネード ラスト・チェーンソー 4DX

 The Last Sharknado : It’s About Time(2018)

 海を泳いでいるサメが出てきたという点では一番まともだった。
 CGが雑なのが良いすね。
 無理やり完結させた感じだった。
 映画としては2作目が特に面白かったけど、終わってしまうと寂しさも感じてしまう。

まとめ

 たまには普通の映画も見たいと思った。
 シャークトパスは今度観ます。サメ日和のときに。
 ジョーズとロスト・バケーションはウワサ通りめちゃくちゃ面白かったのでそれだけはオススメである。

もっと本が読みたい。