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月刊読んだ本

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毎月読んだ本をまとめる。もっと本を読めという自分への戒め。
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#最近読んだ本

月刊読んだ本【2023.08】

方舟は冬の国へ 西澤保彦 (双葉文庫)  超面白い。そんな展開の話だと思ってなかったけど、よく考えたら西澤さんそういうの好きじゃん。普段はそれを前提にミステリを構築するけど、今作は逆にそこをミステリにしていたのが良かった。  主人公たち三人が高額の報酬をもらって別荘で家族を演じる。その裏にはいったいどんな陰謀があるんだっていうのが話の主軸なわけだが、その着地点が意外で文庫本の裏の紹介文にあるもののとおりだった。そんな話にはならんやろとかどんなふうにそんな着地点にたどり着く

月刊読んだ本【2023.07】

英文法の楽園 里中哲彦 (中公新書)  先月、先々月と読んだシリーズの第3弾。  例によって付箋をいっぱい貼っているけれど、それが頭に入っているわけではない。定期的に読み返して知識にしたいものである。なぜ動名詞のみを目的語にするかとかそういうのは学校じゃ教えてくれなかった(enjoyのあとは~ingと形式的に教えられた記憶がある)ので、疑問が解決してよかった。 カラー版 ビールの科学 渡淳二・編著 (ブルーバックス)  ビールが好きなのに、ビールのことそんなに何も知ら

読んだ本【23.04】

13歳からの地政学 田中孝幸 (東洋経済新報社)  全人類読んだほうがいい。中学生の時にこういう話を聞きたかった。でもいま読めたのは幸運なことなんだ。世界には文字が読めない人だって大勢いる。日本人は日本語が読めて日本語の本が出版されて容易に手に取れることを大いに感謝しなければならないし誇りに思わないといけないと思った。それと同時にそうではない国のことを考えなければならない。自分はたまたま恵まれた環境や時代に生まれ育っただけだとあらためて自覚する。中学生のときに聞きたかったの

読んだ本【23.03】

祐介・字慰 尾崎世界観 (文春文庫)  才能しかなかった。彼の音楽は全然知らないから逆に新鮮な気持ちで読めた。自伝的小説、かどうかは知らないけど、かつての自分がいた世界を描くのは勇気がいることのようで一種のオナニーでもあるなと思った。やるせなさやもどかしさが寄り添っていた「祐介」だった「世界観」が痛々しくも愛おしくもある。少なくとも私にはもうそんな若さはないのかもしれない。 屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理 春日武彦 (河出文庫)  こういう本を永久に読ん

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読んだ本【2023.02】

火星の人 アンディ・ウィアー/小野田和子 訳 (ハヤカワ文庫)  最高だった。じゃがいも食べたい。 『オデッセイ』という映画の原作。映画も面白かった記憶が薄っすらとあるけれど、原作も名作だと聞いて読んだ。今年の目標はSFを読むことなのだ。  全編通してワトニーのユーモアが楽しいし、数々の困難を切り抜ける頭脳と行動力に感動する。想定しうるアクシデントを丁寧に描いていて出来うる対処をさせている作者の力量に脱帽、という感じだ。(おそらく)科学考証がしっかりしているため、引き込まれ

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読んだ本【2023.01】

悪童日記 ふたりの証拠 第三の嘘 アゴタ・クリストフ/堀茂樹 訳 (ハヤカワepi文庫) マリオネット・エンジン 西澤保彦 (講談社ノベルス)  西澤保彦のSF短編集。  文庫化していないからなかなか見つからなかった。仙台の古本屋で見つけた。  普段ミステリを書いている人だから、話の途中でミステリ的な展開に(書いていて)なったりしないんだろうかと思った。読んでいてミステリにならないから変な感じがしたけど、性的な要素を入れてくるのは西澤保彦だなぁと思った。表題作と『家の中』

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読んだ本【2022.12】

死都日本 石黒耀 (講談社文庫)  全日本人読んだほうがいいです。  第26回メフィスト賞受賞作。九州でカルデラの噴火が起こったらという設定のディザスターノベル。  とにかくすごい。専門(?)の火山の話だけでなく、古事記や聖書の引用、あるいは政治や経済のことに言及し、車や軍事技術にも筆を走らせている。しかも本職は医者だという。どういうことなの……。  火山の噴火と聞いて想像するものなんて生易しいものだと認識を新たにさせられる内容だった。この規模の噴火は確かに地球の歴史のなか

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読んだ本【2022.11】

オーブランの少女 深緑 野分 (創元推理文庫)  少女をテーマにした短編集。  第七回ミステリーズ!新人賞佳作入選作の表題作他。  名前は知っているけど読んだことのなかった作家。文章がきれいで、色鮮やかな描写がよかった。ミステリだと思って読み始めたけどそんな雰囲気はあまりなかった。こういう作風もミステリだし、そういうやり方もあるのかと気付かされた。  あと、なんでそんな言葉知ってるのって言葉がたまに出てきてすごい。 ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~ 三上

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