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フリーランサーが支払わなくてはいけない税金とは

フリーランサーとして仕事を開始し、収入が多くなってきた時に気にしなければいけないのが税金です。必ず支払わなければいけないものから一定要件を超えた場合にのみ発生するものなど、それぞれ支払わなければいけない税金について説明します。

所得税

所得税については「課税される所得」が発生した時に納税が発生します。「課税される所得」とは何かと言うと、まず「売上」から「経費」を引いたものが「所得」になります(売上 = 所得ではありません)。この「所得」から「各所得控除」を差し引いたものが「課税される所得」になります。所得に課税されるのではなく各所得控除を引いた後の金額に課税されるので注意が必要です。

収入 - 経費 -(青色所得控除)= 所得
所得 - 各所得控除 = 課税される所得
課税される所得 × 税率 - 控除額 = 所得税額
(※所得税額 - 税額控除 = 控除後所得税額)
所得税額 × 2.1% = 復興所得税
所得税額 + 復興所得税 = 所得税及び復興所得税

この「課税される所得」の金額により下記表のとおり税率が決まっており所得税が課税されることになってます。

所得自体が赤字である場合は所得税の納税は発生しません。所得税は確定申告することにより税額を算出し3月15日まで(口座振替の場合4月20日)までに納付しなくてはいけません。

住民税

住民税は「都道府県民税」「市区町村民税」に分かれいます。また、それぞれ「所得割」「均等割」といわれるものがあり全部の合計を納税するものです。「所得割」は所得に応じて金額が変わり「均等割」は均一で課税されるものとなってます(赤字の場合でも均等割は基本的に発生します)。

所得割の計算は基本的には所得税の時の計算と一緒です。ただし「各所得控除」については、所得税より控除の限度額が少なくなっているので注意が必要です。

収入 - 経費 -(青色所得控除)=所得
所得 - 各所得控除 = 課税される所得
課税される所得 × 税率 = 所得割

所得割の税率は地域によって異なる場合もありますが下記表のとおりとなります。

均等割に関しては地域によって異なりますが都内の場合、以下のとおりとなります。(2023年まではそれぞれに復興税として500円ずつ加算され合計5,000円となります。)

上記の所得割と均等割の金額を足した合計から「調整控除額」を差引きした金額が住民税となります。調整控除額は所得税と住民税の間に配偶者や扶養の人数によって控除額の差が生じるため、その影響を調整するためにあるものです。課税される所得が200万円以下か200万円を超えるかで計算が異なります。

課税される所得が200万円以下の場合
1.所得税との控除額の差の合計
2.課税される所得
1と2のいずれか小さい方の5% = 調整控除額
課税される所得が200万円を超える場合
1.所得税との控除額の差の合計
2.課税される所得-200万
(1-2)× 5% = 調整控除額

住民税も確定申告をすることで計算され、6月頃に納付書が送られてきます。納付期限は6月・8月・10月・1月となっており各月で納付するか、6月に一括で納付するかを選択できます。

事業税

所得税、住民税のほかに個人事業税というものがあります。所得税は「国税」ですが個人事業税は「地方税」になります。管轄は税務署ではなく都道府県税事務所になります。
また、地方税法で定められている70種類の法定業種のみ課税されるものであり、職種によって税率も異なります。1種~3種までありそれぞれ5%、4%、3%と別れています。

計算方法は以下の通りとなります。事業税は青色控除はないので 収入 - 経費 = 所得 となる点は注意が必要です。(以下の計算式で、青色控除を足しているのはそのためです)

所得 +(青色控除)-(事業専従者控除額)= 所得
所得 -(繰越控除額等)= 課税される所得
課税される所得 × 税率 = 個人事業税

この個人事業税ですが事業主控除として年間290万円の控除があります。課税される所得が290万円を超えていない場合は課税されません。個人事業税も確定申告をすることで納付書が送られてきます。8月と11月が納期限となっており2回納付が基本となってます。

消費税

消費税は課税売上が1,000万円を超えた翌々年度から納税義務が発生します。基本的には預かっている消費税(売上 × 8%)から支払っている消費税(仕入・経費 × 8%)の差額を納税することとなります。

(売上 × 8%)-(仕入・経費 × 8%)= 消費税額

ただし、この消費税ですが課税、非課税、不課税と課税区分が様々あります。国内取引は基本的に消費税が発生するのですが給与や印紙や住民票など消費税がかからないものもあります。その結果、仕入や経費の消費税が少なくなり、赤字で所得税の納税はないにも関わらず、消費税の納付が発生する場合があります。また、海外の取引がある際も消費税が発生しないこともあります。

また、売上ではなく課税売上が1,000万円を超えた場合という条件も注意が必要です。固定資産の売却の際も消費税が発生していることがあり、売上が1,000万円を超えていなくても車両等を売却したことにより1,000万円を超えてしまうこともあります。消費税は1つの科目ですぐに金額も変わるので注意が必要ですが課税売上が1,000万円を超えなければ納税義務はありません。

消費税も確定申告で納税が発生します。納期限が3月30日となっており所得税と少しタイムラグがあります。

固定資産税、償却資産税

事業用である建物や土地、車を取得した時には固定資産税や自動車税が発生します。また、それ以外の資産を取得した際にも償却資産税という税金がかかる場合があります。構築物、船舶、航空機、機械装置、工具、器具備品等といったものが該当します。フリーランサーによくあるのがパソコン、プリンターなどですが、1つ10万円以上であれば資産となり申告の必要が出てきます。

償却資産税は1つ1つの資産ごとに下記の通り評価額を算出します。その評価額の合計が課税標準額となり、課税標準額が150万円以上の場合1.4%の税率が掛かります。

取得年:評価額 = 取得価格 ×(1 - 原価率 × 1/2)
次年度以降:評価額 = 前年度評価額×(1 - 原価率)

青色申告の特典で30万円未満の資産を即時償却が可能ですが、即時償却をした場合でも償却資産税の課税標準額の計算には含まれるので注意が必要です。逆に、20万円未満の一括償却(3年均等償却)の場合は課税標準額の計算に入れなくてよくなります。(一括償却とは、資産ごとに減価償却をするのではなくその年に取得した資産を合計し3年間で均等償却するものです。)

例えば1月に20万円の資産を1つ、12月に20万の資産を2つ取得した際に以下のように償却を行う形式です。
20万円×3個÷3年=20万円・・・1年分の減価償却額

償却資産税は1月31日までに都道府県税事務に申告する事で納税がある方には納付書が送られてきます。

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上記「所得税」「住民税」「事業税」「消費税」「固定資産税」「償却資産税」がフリーランサーが支払わなくてはいけない税金になります。個人事業での資金計画を考える際は、これらの税金について見落とすことがないようにしましょう。


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