名前が同じ「だけ」のものを同じカードと認識していませんか?
おはようございます。
普段MtG関係の配信や動画投稿を行っております、エニィと申します。
先日、スタンダードのローテーションが変更され、あと一年、今のカードたちが使えるようになりました。
それに関する是非は一旦おいておくとして、SNS上でそこから発展し、同じ強力なカード、同じ強力なデッキしか見ない、という意見をいくつか見ました。
それがいいことがどうかは個人の好みですので全く問題ないことだと思いますが、果たして見ているカードは本当に同じカードなのか、と言う点が気になりました。
ここで一つクイズです。
この2つのカードは同じカードでしょうか?
画像を間違えているわけではありませんよ?
…「私の考える」正解は違うカードです。
説明が必要ですね。
このクイズは前提の条件を完全に隠したいじわる問題です。
実は上は「エスパーレジェンズで使われるスクレルヴ」、
下は「毒性デッキ」で使われるスクレルヴなのです!
それでも同じカードじゃないか?
いやいや、そんなことありません。
この2つのデッキのスクレルヴは違うカードです。
エスパーレジェンズにおけるスクレルヴの役割は「ルーンの母」です。
疑似プロテクション付与により、他の強力なクリーチャーを守るのが目的の守りのカードです。
毒性デッキにおけるスクレルヴももちろんクリーチャーを守る役割がありますが、その他に重要な仕事として、毒性1を与える能力で毒による相手プレイヤーの敗北を早めるという仕事も担っています。
疑似プロテクション付与も守りだけでなく、ブロックされない効果で無理やり通しに行く場面も多いでしょう。
カード名は確かに同じ「離反ダニ、スクレルヴ」です。
しかし、担う役目は大きく違うということはわかっていただけますでしょうか。
それに色々なデッキで使われる、所謂「ただ強」カードは変わったデッキを組む手助けにもなります。
ある偉大なデッキビルダーが言いました。
マジックのデッキはKとPで成り立っている。
そのバランスをつかむのが大事だ。
Pはパワー、Kは噛み合いです。
Kのデッキも、Pがなければ回りません。
Pだけのデッキに見えても、細かなKが張り巡らせていたりします。
私はパイオニアで吹き荒れる潜在能力というデッキを回しています。
Kに大きく振ったコンボデッキですが、このデッキはPである鏡割りの寓話や砕骨の巨人がなければ成り立ちません。
いやまあそれでも寓話は禁止でいいんじゃないかなと思うけど。
デッキも同じです。
スタンダードのグリクシスミッドレンジは長い間、鏡割りの寓話、税血の収穫者、シェオルドレッドをベースに組まれています。
しかし、団結のドミナリアのグリクシスから機械兵団のグリクシスまで、全く同じ思想で来ているわけではありません。
アグロを意識していた時期、ミッドレンジ対決を重視した時期、コンボに寄せた時期まで、さまざまな形のグリクシスがありました。
私はデッキを考えたり、人のデッキを見るのが好きです。
奇抜なコンボも、コツコツと勝利を目指すミッドレンジも、全部好きです。
だからこそ、「見た目が同じだから」で判断したくありません。
すべてのデッキは構築したプレイヤーの意思が入っています。
アーキタイプは同じかもしれません。
サイドの1枚しか違いのないデッキかもしれません。
でも、その少しの違いには明確な思いが入っているのです。
もちろんこの違いと思いを使用者以外が理解するのは困難です。
だからこそ、公開されたリストを見るときは細かな違いに注目してみたり、もしプレイヤーに話が聞けるならそのこだわりを聞けるときっと楽しいと思います。
「何のデッキにもこのカードが入っている」「同じデッキしか当たらない」
MTGAなどでラダーをひたすら回しているときなど、そう思ってしまうのは仕方ありません。
でも、ときどきでいいので、それが本当に「同じ」か、考えてみてください。
きっと、対戦が楽しくなりますよ。
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