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“イエ”

『“イエ”に縛られないで。』

その声は、悲痛な響きを伴いながら、その空間に伝わった。

イエ。

“イエ”という、“カゾク”という区分け。
任意によって、故意に設定されたその囲い、扉によって、区分けされ、限定される。

ゆえに、意識の幅はそこに区切られる。
そこか基点。そこが重要。

(貴方の呪力が、そこに縛られている)

高さはそのままに
もっと広範囲に、本来は広げられる。流れていく。


覚えている範囲

ひろく、ひろく、どこまでも。

カゾク の枠を解き
高さはそのままに


今一度、確かめてみよう

君が採用している“枠”を


ないほうがいいなどとは言わない
枠は必要だ、人間はスライムではない

ただ、あまり濃密なまま放置するよりかは

ひろげてやったほうが、息ができるというものだ


2023.02.12.
あぬまり