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いまわの際でみる夢

そのとき、父は病院のベッドの上で、すでに意識が朦朧とした状態で、見舞いに訪れた私のことも、おそらく半分夢の中の登場人物のように感じていたのかもしれない。薄目を開けてチラリと私の方に目を向けたかと思うと、また正面に向き直り、視線を虚空に漂わせるようだった。私は、父の旅立ちの日が近いことを覚悟していた。
そうなるともう、過去-現在-未来という具合に一直線に流れる時間の観念などというものはなくなっていただろう。遠い過去の出来事も、ベッドの上の現在も、近い未来に待ち受ける運命も、すべては「今ここ」にあったに違いない。
もう20年近く前のことであるため、私にとっても前後の脈絡がはっきりしない。おそらくそこはあまり重要ではないのだろう。とにかく父が、二度と起き上がれないだろうと思われるベッドの上で私に語ったことは、とりもなおさず父が生涯の間に何度も繰り返し感じてきたことのはずだから。

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