わたしの音楽 第一章 ポ
今日もお酒を飲んでいる事ですし、書きます。
私が初めて買ってもらったCDは「ポケモンいえるかな」。あの、今はレトロで逆にかっこいいとされている、細長いケースに入った、小さなCDだった。ピカチュウカイリューヤドランピジョンコダックコラッタズバットギャロップのやつ。
この「ポケモンいえるかな」のCDを、家にあった決して自分のものではないCDラジカセの、あまり触ったことのない上のボタンを押してCDを入れるところをガチャっと開けて、そーっと指紋がつかないようにCDのフチを掴んでのせて、弟と一緒に目の前に集まって神妙に聞いていた。
何回か聞いたあとは歌詞を全部覚えようと、歌詞カードを見ながら全神経を集中させて聴いて歌っていた。あの頃の私にとってCDを聴く、音楽を聴くということは、それに五感の全てを尽くすということだった。CDを聴く、という立派な遊びだった。
その次に買ったCDが、私が自分のお小遣いで初めて買ったCDになると思う。それはSMAPの「世界に一つだけの花」。小学校の卒業式で歌った曲だった。いい歌だったし思い出になるから、いつでも聞ける自分のCDが欲しいと思った。その頃私は少しずつ音楽に興味を持ち始めていたが、自分のお小遣いでCDを買うのはまだまだ勇気のいる行為だった。お小遣いの使い道は、せいぜいが学校で使う文房具を買うくらい。
SMAPのCDを求めて、近所にあった、1階が本屋と文房具屋で2階がCDやビデオの販売とレンタルをしている、私がのちに通い詰めることとなるお店に行って買った。(今は潰れてしまったらしい。かなり切ない)
ポケモンいえるかなと同じくらい大事にしていた。周りの包装紙を剥がす時には、中のケースに指紋がつかないように細心の注意を払った。CDに指紋をつけるなんてもっての外。弟には触らせなかった。今も大事にとってある。
その頃、学校で仲の良かったなっちゃんが、姉の影響で好きだと言うポルノグラフィティをたまに聴いていた。なっちゃんの家に遊びに行くと、子ども向けの遊び道具はあまりなくて、おそらく姉のものであろうポルノグラフィティのCDを聴いたり、はねとびやミスタービーンを録画したビデオを見たりして過ごした。
そこでなんとなく、私はこの音楽が好きだな、と思った。当時はゴールデンタイムに音楽番組が週にいくつかやっていたので、テレビを見れば宇多田ヒカルや椎名林檎やスピッツやゆずも流れていて、普通に好きだった。この辺は今も好き。
だがその中で、私はポルノグラフィティにハマっていった。初めて自分で電話をかけてライブのチケットを取ったのは、ポルノグラフィティだった。中学生の頃のことだ。手が震えた。(ちなみに初めてのライブは、ギャルの友だちに付き合って行ったKAT-TUNで、その次は浜崎あゆみ。ポルノグラフィティは3番目になってしまった。)
ポルノグラフィティにはいろんな思い出がある。
中学生から高校3年生になるまで、年に一回以上はポルノグラフィティのライブに行った。初めて行った時は、いつものノリが分からなくて少し引いた。だけど次からは全力で楽しんだ。みんなで同じ曲で同じノリをするのは楽しいと知った。
CDが発売されるたびに、例のお店でCDを買った。初回盤があればもちろんそれをゲットした。指紋はやっぱり付けないように気を付けた。
ラジオに出演するという情報を得たら、親に頼んでカセットに録音してもらった。
中学生の頃、CDやラジオをちゃんとした音で聴きたくなって、クリスマスと誕生日を合わせて、親にコンポを買ってもらった。この頃には、画期的な発明であるMDが出ていた。お気に入りの曲を入れたMDを作って楽しんだ。
確実にいい席でライブを見たかったし、ポルノグラフィティというバンドを構成している人のことをもっと知りたかったから、ファンクラブに入った。
音楽雑誌に写るかっこいい彼らの写真を集めつつ彼らの思いを読むのが楽しかった。その思いを知ってアルバムを聞くとなんだかいい気分。
テレビに出たらリアルタイムでチェックするのはもちろん、ビデオに録画したりもした。一言一句聞き漏らしたくないので、家族には喋らないように気を付けてもらった。どうせ録画してるのに…
携帯電話のアラームをポルノグラフィティの曲に設定したら、寝起きが悪いせいでその曲を嫌いになりかけて、それからは内蔵されている機械音にすることを決心した。今も継続中。
ポルノグラフィティがきっかけで、高校で初めて一緒にライブに行く友だちができた。趣味が同じという理由で友だちが出来たのははじめてだったが、同じものが好きと言うだけで、こんなに一緒にいられるものかと驚いた。大学でもポルノグラフィティがきっかけで仲良くなった友だちがいた。
あの頃は、好きな音楽を聴くのが今より難しかった。だからその分、好きでいるため、知るための努力が必要だった。いろんな媒体で、いろんなお店で、いろんな手間をかけてポルノグラフィティのことを好きでいた。
ポルノグラフィティが、音楽の好きになり方を、教えてくれた。
今はiPhoneひとつで全てが済む。家にいるだけで全部できる。コンビニもCDショップも本屋もないし、ラジオの電波も届かない山の中にいても、最新のポルノグラフィティの音楽を聴ける。
寂しいような気もするが、どこにいても音楽が聴ける世の中は本当に素晴らしいと思う。私はすごく助かっている。発明してくれた誰か、ありがとう。
そういえば、ありがたいことに、ハガレンにハマったのもポルノグラフィティのおかげ。メリッサを聴きたくて見始めたら、まんまとアニメにハマってしまったのである。そしてそれは私の人生のバイブルとなった。
好きなものがあることが、人生をすごく豊かにしてくれたなぁと、これを書いていて思う。
私はライブでしか感じられない、最初にアーティストがステージに登場して、最初に音を出した時の、あの鳥肌と高揚感を、ポルノグラフィティで覚えてしまったんだと思う。
依存性はかなり高く、今もあの感覚を求めて、好きなアーティストのグッズを買って応援している。
あー早くライブに行ける日がきてほしい。
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