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推薦『バキ、モハメド・アライJr.編』


バキの28巻~31巻については、モハメド・アライJr.編というくくりになっており、モハメド・アライJr.を主人公にストーリーが進んでいく。


板垣恵介の描きたい人間像が描かれた話集

「格闘技の強さを追い求めるマンガの中で、戦いではなく、キャラクターを盛り上げたのちにありきたりにやられさせるというチャチな人間模様を描いている」

このことに、世間では、『作品全体の論点からそれているように感じる』と、批判的な声も多いモハメド・アライJr.編である。

確かに、この話集においては、バキはやっぱり格闘技的に強いのだということではなく、格闘技術に関係なく、作者の描きたい人間像をジュニアという人物に載せて描いておきたい、という作者のねらいが見受けられる。それは常にこの作品の根底にあるものだが、全体のまとまりを崩してもこのタイミングであえてこの話集を描いているからこそ、より重視された人間像であるということが考えられる。

「より若くて…よりスピーディーで、よりパワフルで…しかし、より強くはなかった」(30巻)

彼は達人たちから、自分に酷薄になり、捨て鉢になることを教唆される。これは何かがうまくかみ合っていない。
確かに、軟弱な自分に対する酷薄さを持とうとしたとき、他者に対して捨て鉢になってしまうことがある。しかし、最も考えうる状況に対応策を練り、状況の変化を自分の有利な形に持っていく方策を練るということを軽んじてはならない。

おわりに

調子が出てきたらもう少し詳しく続きの推薦文を書きます。

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