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知識をアップデート!アレルギーをより深く理解できるスライド3選

アレルギーは日常よく診る疾患ですよね。しかし、患者から内服や点眼薬を希望され、とりあえず処方している先生も多いのではないでしょうか?
今回は、食物アレルギーの基本的な考え方や耳鼻科での専門的治療を知ることで、より理解が深まるAntaa Slideを紹介します。

経皮感作と経口免疫寛容の考え方を理解しよう

食物アレルギーの原因として、以前は「腸が未熟な状態でアレルゲンを摂取するため」と考えられていました。しかし、最近では「アレルギーは湿疹から作られ、腸から治る」という考え方があることをご存じでしょうか?
この考え方を詳しく知りたい人におすすめしたいのが、どっと@小児科先生の小児の食物アレルギーについて 子育てに関わる全員が知っておきたい!のスライドです。

発症の原因である経皮感作はアクセルの役割

正常な皮膚では角質などがバリア機能を果たし、異物は侵入できません。一方で、湿疹や肌荒れがあると皮膚のバリア機能が破綻しているため、異物が皮膚から侵入します。
すると、本来は安全であるはずの食物や花粉を危険な異物だと免疫が誤解してしまうのです。その結果、異物に対してIgE抗体を産生するようになります。この過程を経皮感作といいます。

予防や治療の要である経口免疫寛容はブレーキの役割

私たちは毎日、腸管から異物である食物を消化、吸収しています。身体に必要なものであれば、異物を摂取しても、過剰なアレルギー反応をおこさないように覚えておく仕組みがあり、これを経口免疫寛容といいます。
以上の原因から対策を考えると、アレルギーのアクセルである経皮感作を防ぐには、肌のバリアを保つ湿疹の治療や環境中の抗原を減らすことが大切です。また、アレルギーのブレーキとなる経口免疫寛容を期待するには、食べ始めを遅くせず、むやみな完全除去を避けましょう。

スライドでは他にも、アレルギーマーチや検査、経口負荷試験、実際の対応などの情報に加えて、食物ごとに解説した小児の食物アレルギー 〜食物ごとの特徴を意識する〜 のスライドもあるので、ぜひこちらもご覧ください。

アレルギー性鼻炎治療の基本である薬物療法を学ぼう

アレルギー性鼻炎はよく診る疾患ですよね。「とりあえず抗ヒスタミン薬を処方しているけど、もっと治療の幅を増やしたい」という先生も多いのではないでしょうか?
そんな人には音良林太郎先生のレベルアップ!アレルギー性鼻炎診療〜基礎編:どこまで知ってる?基本の薬物治療〜のスライドがおすすめです。
 
このスライドでは、アレルギー診療の基本である薬物療法について学べます。まず、症状を以下の4つにわけます。

  • 皮膚・のどのかゆみ

  • 鼻汁・くしゃみ

  • 鼻閉

  • 目のかゆみ

次に、症状に対して、以下の治療法から選択します。

  • 内服の抗ヒスタミン薬

  • 抗ロイコトリエン拮抗薬

  • 点鼻ステロイド薬

  • 点眼薬

花粉症患者では、花粉飛散初期など症状出現前から治療開始する「初期療法」をおこなうことで、シーズンを通して症状を軽くできます。症状が改善しない場合は、他の治療法を検討します。

抗ヒスタミン薬は眠気の副作用に注目しよう

抗ヒスタミン薬の副作用に眠気があり、薬剤によっては添付文書に運転や危険作業等への注意が記載されています。スライドでも「患者が交通事故を起した時は、処方責任が生じることもあるので、眠気の副作用には敏感になったほうがよい」とあり、処方時は患者に説明することが大切です。

眠気と効果は必ずしも関係しないため、眠気の出にくい薬剤の選択をすすめています。では、たくさんの抗ヒスタミン薬の中でどれを処方したらよいでしょうか?スライドでは、第2世代抗ヒスタミン薬の薬効比較の図があり、薬剤ごとに「眠さ」と「効果」が記載されています。とても参考になるため、ぜひご覧ください。

舌下免疫療法は根治的となりえる唯一の治療法

基本の薬物療法を理解したら、その先の治療まで知りたくなりますよね。次は、音良先生のアドバンス!アレルギー性鼻炎診療〜応用編:耳鼻科でおこなう専門的治療について解説!〜 のスライドで学びましょう。

舌下免疫療法は、毎日、舌下から抗原を投与する治療ですが、他の治療法と異なり、唯一、根治的治療になりえる治療法です。適応は、スギとダニの2種類のみで、5歳以上が対象となります。注意点として、3年以上の治療が推奨されている点や有効性は70%でまったく効果が出ない人もいる点は、治療前に患者にもよく理解してもらう必要がありそうです。

気になる副作用に関しては、アレルギー症状がでることはありますが、アナフィラキシー等の重篤なものはほぼありません。長期間かけても症状を改善したい患者には、検討してもよいかもしれませんね。

スライドではこの他にも、最近新たに加わった治療法の生物学的製剤のゾレア(一般名:オマリズマブ)や耳鼻科でおこなわれる手術に関しても解説されているため、ぜひご覧ください。

各治療法の特徴を理解して、患者に治療法を説明しよう

今回は、アレルギーに関するスライドを紹介しました。
アレルギーの基本的な考え方や最近の治療法の知識をアップデートすることで、より理解が深まったのではないでしょうか。これからは、症状がひどい患者に対しては、保存的治療以外の治療法も含めて患者に説明していきましょう。
まだまだ、多くの役立つスライドがAntaa Slideにはあります。ぜひお時間がある時にご覧ください。

執筆:shun@形成外科