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循環器内科ローテーション前に読んでおきたいスライド3選

循環器内科は多くの場合、初期研修医にとって必須のローテーションのひとつです。循環器内科の指導医として循環器内科志望も、そうでない研修医にも、ローテーションで最低限学んでほしいのは以下の内容です。

1:心電図読影 
2:心臓エコーでの体系的な評価項目 
3:心不全診療

初期研修医が循環器内科のローテーション前に学習したいことをヒアリングした際、多かった回答として以下のような意見が多く聞かれました。

「心電図をもっと自信を持って読みたい」
「心エコーをもう少しできるようになりたい」
「薬の種類や使い方がまだよくわからない」

初期研修医の学びたいことと私が学んでほしいことは大まかに一致しています。そんな研修医の学びの手助けをしてくれるスライド3選を、循環器内科専門医がAntaa Slideより選びました。

紹介するスライドをよく読み、実りのある循環器内科ローテーションをおこないましょう。


■心電図を読むのにセンスはいらない。P波、QRS、ST-T……基本と手順に沿って淡々と読もう

心電図は、循環器疾患を診断する上で最初にする検査です。将来どの科に進むにしても、しっかりと学習しておきましょう。スクリーニングで記録しただけなのに、思わぬ異常が見つかったなんてことはよくあります。心電図の自動読影を読んで異常がある際に、それを鵜呑みにすることはないようにしましょう。

苦手意識のある人も多い心電図ですが、サラリと読影できたり、後輩研修医にしっかりと教えたりできればかっこいいですよね。心電図は、基本をおさえて決められた手順に沿って淡々と読めば大丈夫です。基本をしっかりと習得すれば、初期研修医のあなたでもベテラン循環器内科医が読影しても、同じ診断になります。

最初に紹介するのは、循環器診療で有名な小倉記念病院の高麗謙吾先生のスライドです。

心電図の基本である以下の項目を、わかりやすく解説しています。
・P波
・QRS
・ST-T
・T波
・QT
・軸
・リズム

心電図をどういう順番で読影していくかを視覚的にも示しています。イメージがつきやすいでしょう。なぜ心電図が苦手に思うかという点から解説されており、初心者でも入りやすく、読みやすい構成です。心電図をさらに深く学ぶためのおすすめの参考書や、つまずきやすい、肢誘導のつけ間違いによる波形の違いなども解説しています。

■心臓エコー検査は低侵襲なのに情報の宝庫!基本的な観察ポイントは左室と弁膜症

​​心臓エコーは、よくオーダーされる循環器内科の検査です。低侵襲で手軽なのに、得られる情報量はとても多くあります。簡単そうに見えますが、奥が深い分野なので、心臓エコーの専門医もいるほどです。心電図と心臓エコーがあれば、多くの循環器疾患が診断できます。

救急外来では、左室壁運動が大まかに観察できればいいと思います。しかし、循環器ローテーション中は、もう一歩踏み込んで学びましょう。慶應義塾大学病院の福田芽森先生のスライドでは、心臓エコーの基本的な観察ポイントとレポートの読み方、そして経食道エコーもまとめられています。

あまり意識できない基本断面で、どのようにしてエコーのビームが断面を切っているかが視覚的にまとめられています。初期研修医の先生が、エコーの基本断面を理解するのにおすすめです。心臓エコーのレポートは略語が多く、初期研修医にはわかりづらい内容かもしれません。このスライドでは心臓エコーレポートの読み方がわかりやすく解説されており、おすすめです。

■心不全で使う利尿剤のまとめ。ループ利尿剤とそれ以外をうまく使いこなそう!

循環器内科で最も多い疾患といえば心不全。急性や慢性心不全を問わず、利尿剤を使う機会は非常に多くあります。利尿剤を自由自在に使いこなせてこそ、一人前の循環器内科医といえるでしょう。そんな利尿剤について解説している、うし先生のスライドを紹介します。

ループ利尿剤とそれ以外のさまざまな利尿剤を、視覚的にわかりやすくまとめており秀逸です。また具体的に、どの容量で薬を開始するのかや、各薬剤について臨床上のTipsが添えられており、読み手に寄り添った内容で非常に勉強になります。後半のスライドにおいて、ラシックスは何ミリグラムまで使える?などの実臨床でよくある疑問に対して解説があり、臨床に沿った内容です。

■基本をおさえて循環器内科ローテーションを充実させよう!

循環器内科をローテーションする前におさえておきたい内容をまとめたAntaa Slideについて紹介しました。循環器内科が終わっても使える知識なので、しっかりとマスターしましょう。そして、教科書での学習を含め、病棟や救急外来で実践応用しましょう。

研修医は、さまざまな専門科のローテーションを回らなければならず、効率良い学習が望まれます。短期間なので、学べることは限りがあることも。ローテーション前にしっかりと目標を決めましょう。教科書だけでは得られない、実践的な知識が詰まっているAntaa Slideは研修医の強い味方です。

執筆:きりん@循環器内科