さおやさおだけ
若くして
「さおやさおだけ」
売り子をしていた人の
ドキュメンタリーを撮影したハナシ
いまは
ほとんど都心では見かけることのなくなった
「さおや〜さおだけ〜」
という独特の節回しで
車で訪問販売をしている
物干し竿を売る商売
「一本からでも大丈夫、500円から〜」
と言ってましたね
まだ20代という若さで
過去に「竿や」で商売して
財を成した人を
ドキュメンタリー撮影して
編集したことが大学生時代にあります
彼は独特の雰囲気で
何故か撮影に指定された場所は
海岸のテトラポットの上
柔らかな笑顔に
何か得体の知れない
不気味さを感じたのが
最初の印象でした
穏やかな波の風景をバックに
おどけた顔で
「何から話しましょうかね?」
と笑いながら
話し始めました
たんたんと一定のリズムで
何故か聞いている人を
いつのまにか引き込んで
ハナシを聞かせる
百戦錬磨の「プロ」
の話し方でした
「さおやさおだけ」の極意
引越しシーズンの春と秋
トータル1〜2ヶ月の労働で
年間の売り上げをすべて叩き出して
あとは遊んでいたそうです
あとは
特殊な情報網
不動産屋の中でも
デベロッパー関係と懇意にしていて
新しくできた
マンションや団地の情報を
ガッチリおさえていたそうです
売り文句の
「1本からOK、500円から〜」
というのはたてまえ
500円の竿は
基本売り切れ扱いか
アサガオを育てるような
ほっそい竹竿
最初から売る気は無し
声をかけられたり
家に呼ばれたら
まず
その家の人(基本は主婦)のハナシを
徹底的に全部聞くそうです
物干し竿を欲しい人とは
基本
新しくその街に住み始めた人で
友人などが少なく
話をする機会がなく
会話に飢えているからだそうです
ひと通りの雑談を聞いて
事前に調べておいた
街の情報を教えてあげる
八百屋、魚屋、肉屋、酒屋、薬屋などなど…
決して
竿を売ろうとして
がっつかないそうです
ある程度の会話が進むと
「あれ?この竿やさんいい人かも?」
となるとタイミングが
絶対あるそうです
それは
【家族のことを話しだす】
コレがポイントみたいです
家族のことを話しはじめて
相談してきたらチャンス
「ベランダ見させていただいて
よいですか?」
と
路上や玄関での立ち話から
家に上がることで
初めて彼のオンステージになります
当然売りものは「竿」ですが
落ち着いたトーンで
ゆっくりと論理的に追い詰めるそうです
・良いものは価格は高い
・ステンレス製の竿は錆びないから一生モノ
・一生モノはこの先引っ越しても持っていける
さらに極め付けは
洗濯は毎日行い
苦労するのは主婦
基本は一生洗濯して干す作業がある
団地やマンションに常設してある
物干しの土台は貧弱
干しやすい高さの物干し台
コレを買えば一生楽できる
と殺し文句で
物干し台ごとセットで購入させる
コレが基本
トータルで10万越えになっても
引っ越してくる人は
直近までに
大きなお金を使ってきて
引っ越をしてきていることから
10万円が安く感じる
精神状況になっているそうです
だいたい
金額を提示すると
大抵は躊躇するらしいのですが
「奥さん
旦那さんに相談してもらってからで
ぜんぜん問題ありませんが
洗濯して干すのは
あなたなのですから
あなたが楽をするために
ここは
お金をかける場所ですよ」
という話しかけで
大体落とせたそうです
同じ集合住宅で
1件売れれば
あとは芋づる方式
「〇〇〇号室のXXさんも
購入しましたよ」
という切り口で
ゴリゴリに売りまくったそうです
まぁ
品物はしっかり良いモノを
キチンと真面目に売っていたそうで
連絡先などもキチンと伝えた
詐欺ではなかったそうですケド
気になったのは
彼の話し方が
聞いてて引き込まれるような
不思議な魅力を持っていて
この人は何者?
と思いましたが
数百人、数千人の主婦を相手に
百戦錬磨してきた話術
まさに「プロ」
人の心の隙間に入り込む達人
ちょっとヤバイな
と
その人と会話して思いました
ちなみに
その後の彼
「さおやさおだけ」は
会社にしてノウハウごと売って
「庭の石屋」「学習教材」
の販売業をしたそうです
その話もなかなか良かったので
次の機会にnoteします
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