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米中間選挙上院選、鍵を握る2州でトランプ擁立候補のスキャンダル

投票日まで1カ月を切った米中間選挙。上院選は与党民主党が是が非でも現在の50議席を死守し、さらに議席を伸ばしたいところ。改選議席のうち鍵を握るのはアリゾナ州などで争われる7議席。共和党は未だ根強い狂信的支援者を持つトランプ氏の支持を受けた候補者がどこまで票を伸ばせるか注目される。これら7~8州では終盤にもつれ込んでの激戦が続いているが、ここにきて南部ジョージア州と東部ペンシルベニア州で共和党候補者に過去の汚点が暴かれるスキャンダルが浮上し、新たな火種となっている。

ジョージア州は従来共和党の地盤であるが、先の大統領選ではバイデン大統領が僅差で競り勝ち、また今年1月に実施された引退した上院議員の補欠選挙でも決選投票の結果民主党のワーノック氏が選ばれ同州初の黒人議員が誕生した。今回はこの現職ワーノック氏に対しトランプ氏が支持するNFL(アメリカプロフットボールリーグ)の元選手ウォーカー氏が争いを展開。知名度を生かし支持を広げ、議席を奪還できるか注目されている。ところが、今月に入り、過去に交際していたという女性が、2009年に同氏から資金援助を受け中絶を行い、証拠としてその際の領収書を持っていると告白。同氏は全面的な人工妊娠中絶の禁止を選挙戦の公約に掲げており、女性の告白はまったくのでたらめだと主張している。これに対し、今度は実の息子がSNS上で、「私と母は、父がこれ以上嘘をつくのを止め、あざけりの対象にならないよう願う」とビデオを投稿し、家族を捨て複数の女性との間に子供をもうけていることや、殺害の脅しまで受けたことを明かしスキャンダルに発展した。

身内からの告白にもかかわらず女性の告白を否定し、民主党の陰謀論を申し立てるウォーカー氏に、共和党は同調の構えで支持体制を崩していない。ただ、女性の告白後に実施され6日に発表されたSurveyUSAの最新世論調査ではワーノック氏がウォーカー氏に12ポイントのリードを付けている。さらに、8日には渦中の女性が同氏との間で2011年に2度目の妊娠をした際にも中絶を要求されたことを再度打ち明けた。今後さらなる証言や裏付けが出てくれば言い逃れは難しく、党としての姿勢も問われることとなりそうだ。

また、ペンシルベニア州では副知事を務める民主党のフェターマン氏と、トランプ氏が支持する共和党のオズ氏が争いを繰り広げている。オズ氏は医師で、自らの名前を冠したテレビのトークショー番組を持つなど全米的な知名度が抜群。しかし、今月に入り、過去に実験と称して子犬を含む約330匹の犬を薬剤注入により殺害し、子犬をゴミ袋に入れて生き埋めにしたなどと暴露された。6日発表の世論調査で46%―40%とフェターマン氏にリードを許す結果となっている。同州は知事選でもトランプ氏に近い超保守の候補者が争う。同時に、バイデン大統領の故郷であり、大統領、トランプ氏共に何度も足を運び大規模集会を開いている大票田。僅か数ポイントでも戦況に影響しかねず、最終盤まで争いに目が離せない。

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