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30:DIY葬について

Do It Yourself(自分自身でやる葬式)数年前に少し騒がれましたがネットで棺を販売してるのを見ると今でもいるのかも――、と思うから書くけど、死産以外で全て自分で火葬した家族を知りません。「やるな」とは言いませんが直葬料金が下がってる今、自分で行うメリットとデメリットを突き合わせてメリットが勝るのか検証してみようと思う。

素人さんが自分で行う場合の流れを箇条書きにしてみます。

① 逝去した病院等へのお迎え(搬送用として毛布等は必須)
・病院ストレッチャーで車までは運んで貰えるでしょう
・横になれる広さの車が無ければ助手席か後部座席に乗せる
② 自宅に連れて帰り部屋まで運ぶ(最低2名は必要)
③ 袋氷、アイスノン等で腹部保冷(夏場ドライアイス必須)
・一般保冷剤は数時間毎に取り替えて冷やし続ける必要あり
④ 使用する棺と骨壺注文(ネットなら最低2日間は必要)
・逝去から火葬まで最低3日間は数時間毎の保冷剤交換必須
⑤ 死亡時刻から24時間以降の火葬予約
・一般人の火葬予約は利用する斎場で確認する必要あり
・火葬自体は有料、無料あるが全国何処でも可能です
⑥ 死亡診断書の必要事項全て記入、届人の署名捺印する
・届出は『逝去地』『故人本籍地』『届出人居住地』のみ可
・火葬予約後でないと届出に支障のある役所もある
・死亡届出の際、使用した認印持参の役所もある
・朱肉使用印鑑のみ、シャチハタ等のスタンプは駄目
⑦ 届出前に死亡診断書A3サイズを1枚コピーしておく
・一旦受理されるとコピーし忘れても返して貰えない
⑧ 使用する棺が乗せられる車の準備(無ければレンタカー)
・長さ2m×幅60cmほどスペース必要
⑨ 火葬予約日時の30分前には斎場に棺搬入する
⑩ 骨壺は斎場売店でも購入可能(売店の無い斎場あり)
⑪ 火葬後は骨壺に拾骨して持ち帰り終了
⑫ 遺骨は自宅に置いても法的に問題ない

「死体が運べる車と毛布」「棺一式」「死亡届手続」「火葬予約」「骨壺一式」「ドライアイス最低10㎏~」「棺が運べる車」に掛かる費用は安く見積もっても5万円~になるだろう。ネット購入の場合、受注時間が合わなければ翌日受注、よほど近く無ければ翌々日の到着も普通だから4日間は覚悟する必要があり、火葬予約の判断は我々でも難しいだろう。

仮に4日間自宅安置ならドライアイスは最低でも2倍必要になるが、ドライアイスを販売してる所はそう多くはないし一般の人達が購入するなら10㎏税込1万円ほど掛かるだろうから上記5万円では納まらない。

更に「病院から自宅に運び込む労力」「自宅安置で腐敗防止措置に掛かる労力」「ドライアイス購入と綿花等梱包材買い出し」「レンタカー借り入れ」「棺を斎場まで運び入れる労力」「通販なら配達予定の数時間は動けない」
実費+諸費用+労力まで合わせて考えると、地域で一番低料金の直葬料金を探したほうが安心で安い可能性もある。流れでは病院から死体を運び出し自宅の部屋まで運び込むだけでも想像以上に大変だろうと思われます。

4年ほど前だったでしょうか、ファミレスでランチ注文した直後に携帯が鳴り第一声の「助けてください」には驚いたが、一呼吸おいて詳しく話すよう伝えると、母親が日赤病院で亡くなり、自分の車で自宅まで運んで、どうすれば安く火葬できるかと斎場に行き聞くと自分で行うのは大変だと言われたらしく、立場上個々の葬儀屋紹介は出来ないが、個人として教えますと当方を教えて貰えて電話したらしい。

急いで食事を済ませて当方駐車場に戻ると1台の軽自動車が駐車しており、館内に案内して詳しい話を聞かせて貰った。

日赤では看護師に手伝って貰い、母親の死体を軽自動車助手席に乗せ自宅に戻ると一人で自宅の部屋まで運んだと聞き、一人で運べたのか聞くと、腕が外れるかと思うほど重かったが、部屋に運んだまま斎場に行きアドバイスされての電話が先ほど受けた内容だと分りました。話の流れから自分の車で運ぶまでには何件も葬儀屋に電話して料金確認しただろうから一定時間は経過してたろう予測はできます。とすれば死後硬直が足や腕まで始まってる可能性もあったわけで死後硬直してたら一人で運ぶのは至難の業となるのです。

「お母さんは自宅にいるの?」
「はい、部屋に寝かせてあります」
「布団に安置してドライアイスが当ててあるの?」
「いいえ家の中に運ぶだけで精一杯だったから、そのまま置いてあります」
「そっか、パジャマのまま部屋の床で寝てるって事かな?」
「はい・・・」
「ようするにお金が無いから出来るだけ費用を抑えたい?」
「はい、お恥ずかしい話ですがその通りです」
「支払は必ずしますので助けてください。お願いします」

幸い3月1日でしたから寒い部屋の床に寝てれば多少の時間なら腐敗臭の出る心配はない、死亡診断書で死亡時刻午前8時34分を確認、2022年の今なら無理ですが、当時は予約も簡単に取れ、翌日朝一番の火葬予約を済ませると、先に自宅に帰って認印の準備をして待ってるよう伝えると、式場祭壇前に棺の準備、途中ドライアイスを確保して自宅に向かった。

雑然とした部屋の中、布団も敷かずお母さんが横に成っており、搬送シートで包んで寝台車に乗せると、あんしん館に戻って式場祭壇前で納棺安置、末期の水をとり、線香を供えると死亡届出書を作成し翌日午前9時30分斎場の売店前で待ち合わせを伝え、これから市役所で手続きすると解散する。

息子が帰るとすぐにコピーを取り、市役所に向かい死亡届出、火葬許可証の発行を待って手続き完了、翌日は予定通り火葬、拾骨と進み午前11時には斎場が出られ大事にならず一件落着しましたが、息子の対応が遅れてたり、季節が夏場なら大変な事になってた可能性さえあったでしょう。このケースでは直葬69,000円+税8%+入会金3,000円=税込77,520円の総支払額です。
自分で行うDIY葬より実質低価格なのでは――、息子さんの生活費も考慮し3か月後の年金で支払いとなりました。

上記以外では安定枕付き搬送シート、線香具一式、末期の水、口閉じ、式場祭壇前で納棺など全ての原価と付加価値まで考慮すると、リスクを背負ってまで自分で行う価値があるとは思えないのです。自分でやりたい自己満足の為なら理解できますが、まずは地域内で火葬可能な最低料金の葬儀屋を探して、追加不要の総支払額まで全て計算した貰った上で『依頼するか』『自分でするか』の判断が賢い対応だと思います。

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参考資料(お時間のある時にでも読んでみてください)
あんしんサポート葬儀支援センター  
代表ブログ 葬儀支援ブログ「我想う」

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