14:失敗からの学び
人生を振り返ると失敗や後悔から自分なりに学び、知識や結果オーライに繋がったケースはとにかく多く、会員さんから「何でそんなに色々知ってるんですか?」と言われる多くは失敗や経験から学んだものです。
失敗を隠したがる人もいますが間違いや失敗は誰にでもあるもの、隠したり誤魔して同じレベルの失敗ら繰り返すなら、恥をかいたとしても教訓にすれば失敗が財産に繋がる事だってあります。
経営者人生30有余年、わずか3つですが倒産せずに来れた最大ポイントは『引くべき時は例え事業縮小しても躊躇わず引く』ことができたのと、さほど見栄や世間体が強く無かったからだと思う。
葬儀屋勤務経験ゼロ、葬儀屋の知り合いもゼロ、ど素人から国内初めての葬儀支援事業は全てが学びの連続で失敗も数知れず、きっと書き出せば、それだけで一冊の本が書けるほどでしょうが、いくつかの例を書いてみます。
『死亡届出人の決まり』
当初葬式の知識は皆無に等しく施行は全て信頼に足る葬儀社に依頼、依って死亡届出人の決まりさえ知らないまま自宅での家族葬を自分達で行った。
当時の前橋市は職員が電話で火葬予約を受けるシステム、高崎市の病院から自宅に連れて戻ったのは夕方、葬式の流れを決めると故人は都民、届出人は前橋市民との事、前橋は届出人が市民なら無料で火葬できる行政と分かり火葬予約を済ませ手続きに向かおうとすると、今からでは閉所時間になるから明日の朝一番に手続きして貰えば大丈夫と言われた。
火葬当日朝、前橋市役所に行くと届出人欄に書いた人物は親族に当たらず、火葬許可できないと分かり慌てたが、市民課の人から故人は都民でなく高崎市民だと言われ、すぐ高崎斎場に電話、午後3時の火葬が1つだけ空いてると事なきを得た。
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届出人は明確な決まりがあり『親族,同居者,家主,地主,家屋管理人,土地管理人等,後見人,保佐人,補助人,任意後見人,任意後見受任者』親族とは血族6親等、姻族3親等だと知る。また入院先医院長、入所先施設長は「家主」として届出人に成れることや、現住所が同じなら他人でも同居人として届出人になれる事も知った。
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『死後に溜まるガスは口から噴き出す』
隣接市総合病院での事、病院からの依頼でお迎えに行くと太った故人が暖房の効いた部屋で安置されており、搬送、納棺、手続きを済ませると、あんしん館に戻りドライアイス処置をして納棺安置する。
翌日火葬予約に合せ安置室のドアを開けると異臭がして棺のフタを開けると血液や内容物を全て噴き出していた。太った人でなくガスでお腹がパンパンに膨らんだ故人だったと分りました。
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腹水の溜まってない死体は腹部にガスが発生する事も有り、発生したガスは口や鼻の詰物を押しのけ出てくる圧力がある。口や鼻など開口部を完全に閉じた状態でガスを貯め続ければ腹部破裂まであり得ると専門書で学ぶ。
故に死体の腹部冷却(できれば凍結)は絶対条件、冬場なら部屋の暖房は禁止、夏場は強冷房にし死体に布団無用、タオルケット程度で、とにかく温めない事、施設で医師の死亡診断まで時間が掛かる場合は袋氷、アイスノン等冷却材を腹部肌に直接当て冷やしガスの発生を防ぐべき。
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『頭部の腐敗臭は凄い臭い』
真夏の特養での事、死亡診断は他所の医師に依頼する施設、午後7時以降の夜間死亡は翌朝8時以降の死亡診断と聞き、死後処置しなければ間違いなく腐敗臭(死臭)は発生する施設と分かった。
そこで逝去時故人の腹部素肌に氷袋か保冷剤を直接当てるよう施設に伝えて欲しいと家族に伝えたが、施設職員に「死後は法律で触れる事はできない」と言われ、逝去後は何の処置もせず午後まで放置後、施設の車で病院に運んで死亡診断したという。
施設に行くとすでに凄い臭いがしており、翌日になると顔は黒ずみ線香を炊いても駄目なほどの臭いで湯かんも大変な思いをさせられた。
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腹部の冷却凍結が必要な知識は得ていたが、頭部(脳)腐敗は凄い臭いがするのを始めて知り、故人頭部がスッポリ入る安定枕付き搬送シートに切り替え夏場と室温が高い場合は後頭部下にドライアイスをV字形に置き冷却する事で脳腐敗を防ぎ、顔の黒ずみもさせず安置できる事を知った。
死亡診断した死体が対象の処置(エンゼルケア)は医師や看護師以外の人が行っても医師法にも看護師法に抵触しませんから法的問題はありません。また死後処置で多少傷がついたとしても意図的ではない為死体損壊罪にも該当しないはずです。依って死体を触れない等あり得ない理由です。
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『口閉じ器具使用時の注意』
故人は口と目が閉じていれば穏やかな顔になりますが、病院や施設でしてくれる白いゴムバンド(エンゼルバンド)は死体の顔にゴム痕が付き、付いたゴム痕は取れないのでチンカラーと呼ばれる口閉じ専用器具を使用します。
しかし血管も圧迫するため室温が高いと腐敗の進行を促進させる事もあり、皮膚が剥けたり、顔が黒ずんだり、異臭も発する促進効果に繋がる可能性もあり夏場や室温の高い部屋での使用は後頭部から冷却し頭部全体を高温化を防ぐ事が絶対条件となります。
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夏場や室温が高い状況で口閉じ用チンカラーを使用する時は、安定枕の凹んだ部分にドライアイスをV字形に置き後頭部を冷却する事で脳と顔と首の腐敗防止は腐敗や顔の黒ずみ防止の対処法です。
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『点滴で膨れた脚の破水』
総合病院から搬送したお爺ちゃんの手足は逝去時まで点滴をしてたせいか、パンパンに膨れてましたが普通に布団安置した翌朝、足から破水して布団はびしょ濡れで異臭もあり使い物にならず、体液はいつまでも出続ける始末で
足にビニール袋を被せて対応しました。
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搬送時、手にベルトで合掌を組ませる病院、施設ではストレッチャーに乗せた時点でベルトを外し合掌を解き破裂を防ぎます。安置後も両腕は身体の脇に延ばし湯かん等で合掌が必要な時は直前に合掌を組ませると、パンパンだった手は普通の状態に戻っています。
また個人的な感覚で言うと、全ての生物は寿命があり最後は「枯れる」の表現が自然に思え、それは人間も同じだと思う。点滴の水分が吸収出来ず水泡になっても最後の最後まで点滴をする病院もありますが、何の為の点滴なのだろうかと疑問が湧きます。枯れたように自然に逝く――、最上の逝き方ではないでしょうか・・・
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やっぱなぁ、書き出せば一冊の本になりそうなくらい自他の失敗談や理解できない事、不思議な話しはありそうです。
性格なのでしょうが施設職員が「我々は法律で逝去後の死体は触れません」と言われ素直に信じる家族とは対照的に、逝去後は死体に一切触れることの無い施設何てあり得ねぇだろ!?とすぐに調べるから職員の嘘か日常業務に疑問を持たず成長しない人のどちらかだと分る。
看取りをする施設なら当たり前に起こる現実ですから、逝去後触らずに済むことなど絶対にあり得ないし、死後処理、清拭、化粧など経験すれば死体に触れては成らない法律そのものがあり得ないと分るはず、なのに調べもせず、知識のある人に聞きもせず、誰かの言葉を鵜呑みにした程度の人間なのだと他人の失敗ですが反面教師になります。
幸いなのは葬儀社勤務経験ゼロですから、先輩から教えられる事なく、固定概念、既成概念を持つことなく、誰かに押さえつけられる事もなく、変なものは変だと感じられた事がスキルになってるようです。
この感覚は無信仰者が仏教葬式をする不自然さ、拾骨の『箸渡し』の語呂合わせ、香典返し、友引の葬式・・・etc、いくらでもある葬式の不思議です。
今回の話題にある安置で言えば、布団安置の際、枕の両脇にドライアイスを顔から離して置く葬儀屋も結構ありますが結論を言えば無駄です。
ドライアイスは上から下に冷やす物で顔の横に置いても効果はありません。嘘だと思うなら綿花で包んだドライアイスの横に指を離して置けば分ります。そのまま何時間でもいられるほど冷えません。
納棺安置なら棺の中を冷やす効果はありますが、安定枕(頭部がスッポリ納まるようくり抜いてある枕)の凹んだ部分にV字形にドライアイスを置き、後頭部に接着させたほうが遥かに効果はあります。
実際は綺麗な死体ばかりではありません。舌が出た自殺死体、飛びおりて複雑骨折した死体、高所から飛び降りて顔が半分無い死体、真っ黒で焦げた臭いのする焼死体、孤独死で発見が遅れた腐乱死体、交通事故の死体、風呂場での突然死など、映像が脳裏に焼き付き、臭いが染み付き、ご飯が喉を通らない状況も何度となく経験しました。
そんな経験を何十回と積むことで得られる貴重なスキルもあるし、自分の経験則から家族へのアドバイスや、故人と逢わせるべきか、逢わせないほうが無難かの基本的な判断もできるようになります。
そう考えると致命的で無ければ葬式、葬儀支援の仕事に於いての失敗は成長に不可欠な経験要素で必要悪とも言えるのでしょう。
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参考資料(お時間のある時にでも読んでみてください)
あんしんサポート葬儀支援センター
代表ブログ 葬儀支援ブログ「我想う」