見出し画像

日本酒のお話 〜 伊佐須美神社と伊佐須美神社御神酒(白井酒造店)

今回は福島県の会津地方の神社と、その神社にまつわる日本酒の記事をお届けします。
会津の一之宮といえば伊佐須美神社で、鶴ヶ城のある会津若松市の南西、会津美里町にあります。
ご祭神は伊邪那岐、伊邪那美命で、戦国大名だった蘆名家や、その後会津藩主の任に就いた徳川家康の孫である保科正之による手厚い保護を受けてきた神社だそうな。

伊佐須美神社の入口の鳥居脇

上の写真では明治維新以降は国幣中社に列せられていたことが分かりますが、まぁ、このあたりの話は人間の都合によるもので、神々様には関係ないことかと思います。
この鳥居をくぐりますと、進行方向右手に神社の木札と四合瓶のお神酒を販売している商売上手なご婦人方がいて、中でもそこそこご年輩の「おっかさん」と話したことが不思議な縁となるから人間分からないものです。関西弁の2人組の我々に、
「お参り済んだら寄って買ってってね。開けて待ってるからね!」
と絶妙な一言。
こうなると素通り出来ないなー、と思いつつお参りを済ませて出てきた我々を素早く見つけたおっかさん、
「閉めないで待ってたのよ!」
と追撃の一言が(笑)
確かに夕方4時を過ぎていて、出店を畳んでいなくなっていても不思議ない時間でしたが、まーその商売上手さは見習わねばならないほどです。
福島県の酒は新酒コンテストで10連覇中だったのが、今年は山形の酒に連覇を止められたが、この蔵元の酒は何度も賞を取った酒だから間違いない…という様なお話のオマケ付き。
という訳で買ったのがコレです。

白井酒造さん 伊佐須美神社御神酒

もうね、有無を言わさないラベルがいいじゃないですか。お神酒を買ったらもれなく伊佐須美神社の木札が付いてます!という様な、主役は果たして木札なのかお神酒なのかが分からなくなるくらいにインパクトのあるこのラベル。純米大吟醸でござい、みたいな雰囲気を醸し出すラベルよりも、よっぽど購買意欲をかき立ててくれると思いませんか?何つーか、伊邪那岐命と伊邪那美命から
「買っていきなさい。」
と言われたかの様な気配すら感じます。神社の角印入りですよ、もう⛩️😇

伊佐須美神社御神酒のスペック

日本酒に詳しい人なら、この表示を見ただけで普通酒だと分かる訳ですが、神社の御神酒に使われるということは、常温(いわゆる冷や酒)で飲まれることを前提にしているでしょうから、本醸造か普通酒だろうなと一応想定はしていた訳です。
箱を開けて四合瓶を取り出し、ラベルを見たらなるほどやはり普通酒だった訳ですが、別な記事でも書きましたが

普通酒というだけで「アル添の日本酒なんて…」という声を時々聞きますが、あれこれ言う前にまずは飲んでおくんなせえ、と言える出来のお酒で正直驚きました。
ぶっちゃけその場の勢いと伊佐須美神社の冠で買った様な面があったので、味には特別な何かは期待してなかったんですよ。
たぶん、ザ・日本酒みたいな感じだろうなと予想しつつ、タラちりを食べながらひと口飲んでみて…
「えっ?何これ、美味いよ!」
と思わず声が出たほどの素晴らしさ。
一瞬やや甘口かと思わせて、その実しっかり辛さのボディを兼ね備えています。苦味や酸味に著しく偏ることなく、料理で味が大きく変わることもなく、どっしりと安定した味わいが続く日本酒です。
詳しい人にしてみれば、それこそが醸造用アルコールや糖類なんかがもたらす部分なのさ、ということなのかもしれませんが、この味が維持出来るなら別にそんなものは気にしません。
あっという間に飲み切ってしまい、リピートしたいと思ったのですが、はて困った。
なんせ「伊佐須美神社御神酒」なんて名前で市販されているはずがありません。
という訳で蔵元さんや扱いのある問屋さんなどに聞きまくったところ、この日本酒のレギュラー商品は…
萬代芳
という白井酒造店さんの昔からある普通酒だということまで判明しました。
ありがたい時代で楽天やAmazonなどで買える…一升瓶ですが…ことが分かったので、買いましたよ、萬代芳の一升瓶。
さて、中身は果たして伊佐須美神社御神酒と同じ味が保たれているのでしょうか?
それはいずれのお楽しみということで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?