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胎児の心臓は妊娠3週から8週にかけて作られます。胎児の心臓は、はじめ1本の管として現れ、この管が曲がったり、ねじれたりして、塊になり、やがてこの中に仕切りができて、心房や心室、大血管や4つの弁などが完成します。

この心臓への発達の過程で障害を受けると、心臓の異常が起こります。これが先天性心疾患とよばれるもので、赤ちゃん100人に1人の確率で発生するといわれています。頻度としては高いです。母親の妊娠時から入れる学資保険(こども保険)に医療特約が付いた保険商品があると安心ですね。

先天性心疾患の種類はおよそ50種類ですが、その中で多いのは10種類くらいです。多い順に先天性心疾患を列挙すると、次のような順です。

心室中隔欠損症(60%)
心房中隔欠損症(7%)
動脈管開存症(6%)
肺動脈狭窄(6%)
ファロー四徴症(5%)

心房中隔欠損症(卵円孔開存)と動脈開存症は、肺に血液が流れないためにもともと胎児期に必要とされる構造なのです。一般的には、生まれて肺循環が完成する、つまり肺の毛細血管が開くと卵円孔と動脈管は直ちに閉鎖することになります。

乳幼児期に心臓手術をして後遺症なく完治してれば、中隔欠損症や動脈開存症などは生命保険加入が可能です。また手術手技の進歩により、開胸手術ではなく心臓カテーテル手術が行われるようになり、心臓手術の侵襲度も下がっています。心房中隔欠損症では、欠損孔にアンプラッツァー閉塞栓というパッチをあて閉鎖する手術(ASO治療)をします。動脈管開存症では、動脈管内にコイルを詰めて閉鎖する手術をします。

近年、小児期の心臓疾患は一生涯定期的な心臓の経過観察が必要と考えられるようになりました。欧米では、成人先天性心疾患患者を経過観察するセンターも設立されるようになり、日本でも平成11年に成人先天性心疾患学会が開かれるようになりました。

(参考)
成人先天性心疾患診療ガイドライン2017

https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2017_ichida_h.pdf


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