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慢性ウイルス性肝炎における肝臓がん

カリフォルニア大学ロサンゼルス校で実施された臨床試験により、従来からの肝臓がん(HCC)の腫瘍マーカーであるアルファプロテイン(AFP)の相対価値が、他の2つの代替腫瘍マーカーと比較されました。

代替腫瘍マーカーの1つであるデス-γ-カルボキシプロトロンビン(DCP)は、AFPよりかなり優れていることが解明され、将来のスクリーニング検査の選択肢となることが見込まれます。感度が高いだけでなく、肝臓がんでない患者では上昇しないからです。もちろん、これはAFPと大きく異なる点です。

将来においてDCP検査の実施を見ることは確実でしょう。

この臨床試験のもう1つの面白い側面は、B型あるはC型慢性肝炎患者の3つのコホートにおける臨床検査所見が、患者の状態によりどのように異なったかにあります。

肝硬変や肝臓がんのないC型肝炎患者の平均血小板数は、223000でした。肝硬変患者と肝臓がん患者では、それぞれ144000と123000でした。血小板減少症は、主な有害危険因子であり、全てのC型肝炎感染症例で計測される必要があります。

肝臓がんがないとALTはASTより高く、B型肝炎関連の肝硬変だけでなくB型とC型肝臓がんがあると逆になります。大雑把に言って、全ての慢性肝炎と非アルコール性脂肪肝疾患で、AST>ALTは赤旗を上げるつまり危険な所見です。

4.0未満の血清アルブミン値は、あらゆる症例において最高の赤旗かもしれません。一貫して、低アルブミン血症は、致死的肝臓疾患と相関します。

以上をまとめると、血小板数と血清アルブミン値が少ないことが、肝臓疾患の危険因子ということです。

出典:Durazo. Journal of Gastroenterology and Hepatology. 23(2008):1541


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