ハンドクリームを塗るきみと、それを見守るぼく

きみは、あの時刻に発進する電車の、前から数番目の車両の3番目の扉から一番近い席にいつも座る。そして着席してすぐにハンドクリームを鞄から取り出して、塗っている。そういったいつもの場所の、いつもの行動を済ませた後から、きみの電車の旅が始まっている。

そして、ぼくもきみと同じ時刻に発進する電車の、前から数番目の車両の3番目の扉から一番遠い席に座る。いつものように、きみの姿を捉え、ハンドクリームを出して塗り終わるまでの一連の動作を見守った後から、ぼくの電車の旅が始まるのだ。


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