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【高城レコ】インドの美食 in ムンバイ


1. 人口世界第1位となったインド

2023年、世界で最も人口の多い国第一位へと躍り出たインド。事実上、中国の人口を超えたという事でもある。実際、中国は農村地区と呼ばれる田舎の方は都市部とは異なり、どこまで正確な人口統計が取れているのかは不明だ。

ただ、それはインドも同じ事であり、スラム出身を含め、実際の人口はもっと多いのだろうと思うのだが、実際中国の田舎はいわゆる私達の知る漢民族である中華人ではなくチベット族を始めとした山岳民族も多い。

彼らは中国人として登録されてあるが、それを中国人と言って良いのだろうか?インドに然り、上級階層を支配するアーリア人に対して、派手な音楽やパーティを好むパキスタンから北インドに広がるシーク教徒もしくはパンジャビ人の中間層の経済成長も著しく、ドラヴィダ族系等のタミル人等、決してひとつの民族ではない。

例えばシーク教徒の主張する領域カリスタンがインドから独立することが実際に起きたりすれば、人口世界第一位というのはすぐに消えてしまうかもしれない。

私達から見たらどれも同じように見えるインド人でも民族や信仰が大きく異なる。限りなく単一民族である日本人とこの感覚は大きく異なるのだが、こればかりは実際に目で見て交流をし、体感してみないと分からないだろう。

2. フォーブスの選ぶアジアの若手アンダー30

インドの首都である北部にある大都市デリーに対して南インドに位置し高度な経済成長を遂げるムンバイは、空港周辺にアジア最大のスラム街が広がっている事でも有名だと思う。今だにムンバイの印象はこのスラムが強い人も少なくないだろうが、経済都市としての発展は計り知れない。

2023年高城剛氏がお勧めしてくれたレストランEkaaは米国フォーブスの選ぶアジアの若手アンダー30にも選ばれた女性シェフNiyati Rao (ニヤッティ・ラオ) 率いる2021年ムンバイにオープンした新進気鋭のレストランだ。

最近ではTataモーターズで知られるようになってきた、Tata財閥一族傘下インド最大級の高級ホテルチェーンTaj Group出身であり、デンマークはコペンハーゲンで伝説と化したNomaの他実際に自ら各所で修業を重ねた後、ムンバイで若きアントレプレナーとEkaaをスタートする。

最新モダンなレストランのウェブサイトを見るだけでも、驚きの衝撃を受けるのだが、そのオシャレさに膝がガクガクになる、ドレスコードがあってもおかしくない。雑踏と砂埃、入れば病気になると言われる川での沐浴。今までのインドのイメージとは全く異なる。涼しげであり、グローバルの世界で対等に戦う最前線のトップインド人が集まるのだろう。

英国インドの歴史、ヨーロッパとアジアンモダンの融合、料理に対するアプローチや哲学は完全に国境を超えたと思われる。このグローバル世界への進出や受け入れに対して日本は何を学べるのだろうか?

3. ミクソロジストとは何なのか?

バーテンダーとミクソロジストの違いとは何なのだろう。ざっくばらんに言ってしまうと、ミクソロジストは型にハマらず、さらにひとりひとりに合わせての調合によりエネルギーの回復するエリクサー作りにも特化しているようだ。そうみると、先日クレイジージャーニーでも紹介されていた、インドネシアの「ジャムウ」のようなひとりひとりに合わせた調合薬であり、それを更にハイエンドなものに昇華させたものなのかもしれない。

ロンドンにも注目されている日本人ミクソロジストがいるそうで、ミクソロジストについて詳しい記述とインタビューがある。

https://madamefigaro.jp/series/yukai/sekaiyukai-london-august-miyuki.html

MumbaiのEkaaでは、Head Mixologistをつとめるのは、Jishnu A. J.氏。

ムンバイにあるKokoRestaurantで長年ミクソロジストをしていたJishnu氏が移籍することになるには、それほど心を動かされる部分がEkaaにあったのだろうと推測する。

と、なると聞き慣れないミクソロジストのカクテルを味わうことのできる現在のKoko Restaurantも気になってしまう。

4. 新しいグローバル世界を担うインド

何を食べたのか、何を食べるのか?
食材はどこで取れたものなのか、そこからレストランに車でのマイレージ数はどれくらいなのか?
私達は何を考えて「食」を楽しむのだろうか。
単純に味と値段なのだろうか?食材の透明性や値段の整合性はあるのか、そんなことまで考えて生活しているのだろうか?そもそも、そんな余裕なんてないのではないだろうか?

Niyati氏が語る言葉にはNomaで学んだであろう哲学や考え方が節々にあらわれている。人はすべて自分のルーツをたどることがある。そして、その時に地元の朝市やマーケット、馴染みのあるものから、子供の時は気づかなかったけれども今になって驚くものなど、暮らしや生活には日々発見と気付きに満ちている。自分にとって気持ちよくなれる食事とは何だろうか。

確かに今の時代、ハイエンドなお店に行けば、日本の東京や六本木をはるかに凌ぐお店は山程ある。シンガポールならイメージは湧くかもしれないが、上海や北京、マレーシアやインドネシアだって、他の国に負けていない。それくらい発展しているのだ。

食にはそれが顕著に現れる。日本料理という型から飛び出すシェフ達もいるが、それはタレントシェフのように表には出てこない人がほとんどだろう。ひっそりと世界でその活躍に注目されるのが理想だ。そうでなければ、すぐに日本社会ではメディアやSNSの魑魅魍魎の餌食になってしまうのだろう。

インドを含めて、世界を旅するには最低限の英語+楽しめるだけの英語力と一般教養があれば、食事ひとつとっても驚きの発見の連続になる。

20代、30代、40代からでも遅くない。外に出て長く滞在する、住むように旅するスタイル、一味違うアナザートラベル。まずは留学やワーホリなどを利用して英語能力を高め、インド人の友達を増やしてからインドへ行くということだってできるのだ。

Future Report Vol 637 Vol.2「Q&A コーナー▽Q4▼▽」

Photo by Satyajeet Mazumdar

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