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書評:脳が壊れた

前回の記事で予告した通り、今回は『脳が壊れた』(鈴木大介 新潮新書)を読んだので、そのことについて書く。


が、書評の前に簡単な自己紹介をしたい。

私はかつて親の離婚や家族問題で、長いこと苦悩した経験を持つ当事者である。

同時に、現在同じような困難を抱えた当事者同士で支え合うことを目的とした団体を運営している。

今回は当事者かつ支援者である身として、本書から非常にいい示唆を受けた。

苦しみの渦中にいる当事者とはどんなことを考えているのか?

この本がその理解の助けになるのではないかと思う。

興味があったら是非ご一読を。


あらすじ

著者の鈴木大介さんはルポライターである。

これまで貧困に関わる本などを数多く執筆してきた。

あるとき脳梗塞に罹り、命は助かったものの、いくつかの後遺症を残すこととなった。(本書では高次脳機能障害/高次脳と記述)

その後遺症は見た目ですぐ判断できるような障害ではなく、本人の自覚症状無しにはきちんと説明し辛いものであった。

この本は、鈴木さんがその障害の自覚症状を、ルポライターで培った文章を書いて伝えるという技術を活かして、自らを対象に取材、発信していくということを行った記録である。


ポイント

本書を読んだ中で、特に良かったなと感じた部分を書き出してみた。

・障害がなぜ辛いのかその理由について

・自身の障害と、かつての当事者たちを比較できている点

・障害の原因に自らがあることを受け入れていく過程

・障害を他者へ理解してもらうその方法について

一つ一つその理由を書いてみたい。


なぜ悩みを抱えた当事者は辛いのか?

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