山というより海街アノラック
アノラックと聞くと、まず思い出すのが昔のL.L.beanアノラックパーカ。
シルエットこそ野暮ったさはありますが、色目が今にはない80年代らしいパープルだったり、くすんだブルーやグリーンなど、今の若い子たちには逆にストライクなのかもしれません。
洋服というよりは、そのシルエットからもちょっと肌寒い時に被る道具的アイテム。
何十年も前になりますが、販売員時代の記憶では売れるというイメージが全くないアイテムでした。
アノラックはもちろん被りなので、脱ぎ着がすんなりできません。接客の際もストレスがないようにご試着してもらおうとするのですが、「面倒臭いな」というお客様の反応・・。脱いだ直後のそのお顔は少し汗ばみ、「考えます」と断られることが多かった気がします。
私の中では30年続く定番のスタイルですし、同世代の業界の人には意外とアノラック好きが多い。それなのに、なぜ一般的には支持が低いのかいつも感じていました。
そこで3年前、満を持して"Kinsale Yacht Master"というコットンアノラックパーカをリリースさせていただきました。
市場は気にせずにあくまでわたしの中での最高のシルエットとディテール、素材を目指しました。
一般的なアノラックパーカのようなアウトドア感の強い撥水系ナイロンとは違い、クラシックなヨットシーンのデッキパーカをイメージしてコットン素材で作成しました。
それも功を奏したのか、想像以上に高い評価をいただいたのです。
Hi Story
“60年代、アイルランドのキンセールという小さな港町。
美しいヨットハーバーと歴史遺産のある風景があれば、観光客を迎えるに十分なものでした。更なる盛り上がりを計るため港の男達は小さなヨットレースを立ち上げます。
70年代になると世界から船乗りたちが集うイベントとして大会は盛り上がりをみせます。
この頃、キンセールの船乗りたちが着ていたジャケットがデッキパーカと呼ばれるものの原型でした。昔から船乗りたちのデッキパーカは港町の婦人たちによって一点一点手作りされていましたが、その後世界のヨットシーンや大会ジャケットとして定着し、各地で量産されるようになりました。”
*Hi STORYに登場する人物や団体名等はすべて架空のものです。
アノラックの良さは、ストレートに着た時のバランスの格好良さです。
例えば全く同じデザインで、フロントだけがアノラックタイプかフルオープンだけの違いでも、見た目の差は大きく変わってきます。お腹回りのちょっとしたバランスなのでしょうが、やっぱり良いのです。
今回、3年ぶりに新しい素材にて再リリースとなります。
another 20th centuryらしいクラシックな素材感はそのままに、前回よりも素材に薄さと軽さをもたせ、春から初夏、秋口と長いシーズン着用できるように考えました。
コットン70%ナイロン30%のヘリンボン織、綿の素材感が強い中に、程よいシャリ感が味わえます。
シルエットも少しだけゆったりとリニューアルしました、洗いざらしで軽く腕まくりも良いですね。
アノラックパーカにショーツ、これこそ大人のショーツスタイル。
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