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狩る伊澤

雑巾絞りで、絞った時にバケツの中に落ちていく水と、雑巾に残ってこれから汚くなって行く水、どちらが幸せなんだろうと考えていたら、こんなに時が過ぎてしまったんだね。

言葉の力は誰よりも信じているんだけど、(本当に誰よりもなんて言い切れる?言い切れてしまうところも正に言葉の力ですが)言葉を使おうとすると、こう、ぐっと踏ん張る必要があって。食べやすいようにカットされたグレープフルーツに齧り付く瞬間とか、映画館の一度座ると中々立ち上がれない様になっている座席とか、現在の時刻が丁度誕生日の数字だったとか、向こうにいる野良猫と目が会った気がする時とかね。眠るときは、微塵の光も許さない漆黒の暗闇に包まれないと眠れないみたいな人になりたかった、ここだけの話、本気でどこでもいつでも眠れる。部屋の電気を消して眠りにつく直前にバッとアイデアが浮かんでスマホのライトを付けながら枕元のメモ帳に殴り書きメモを残したりするのが日常茶飯事なのだけど、後から見返すとそれは、もう、まるで夢で、僕だけの世界で僕だけの言葉を使っているもんだから、ほとんど、あれですよ。あれ。わざとその喋り方してるのか?と思う程ゆっくり喋る物理の先生の授業のプリント。たまに解読不能の記号やイラストなんかが混ざっているもんだから、今年小学生になる姪っこの自由帳と何ら変わりないですよ。

脚本を書きたい、小説を出したい、映画を撮りたい、個展を開きたい、賢くなりたい、面白くなりたい、格好良くなりたい、お洒落な思想が欲しい、痩せたい、体力が欲しい、お金が欲しい、家族が欲しい、アイスが食べたい、車が欲しい、仕事がしたい、一度で良いから憧れのあの人に会いたい、一緒に仕事がしたい、瞬発力と行動力と原動力と貫禄と、何事にも動じない心が欲しい、流されない意志が欲しい、ああ、欲望の塊、人間。

はい、急に近況を語るコーナー。これがしたくてnote書き始めたのに、本題に入る前に、あれもこれも書きたくなっちゃうみたい、自我ガバガバ、略して自ガ。
何が本当でどこからが創作なのか分からないくらいが丁度いいやと思って書くね。実は今、軽井沢のホテルに一人で住み込みしてます。東京は暑いから、長野に籠って大好きなお笑い芸人の単独に行けなくて泣きながら配信見たり、アイドル見たり、創作したり、バイトしたり、しています。大半はバイトで親に免許合宿の前借りを返す為の費用と、制作費を稼いでいます。他人に興味ないとか言いつつも、なんだかんだこうやって物語とか詩とか書いてる自分、きっと物凄く人間が好きなんだろうなあと薄々気づき始めています。割と環境の変化とか面白がれるタイプなので、何の変哲もなくシンプルにバイトしている日々だけど、ニコニコしてたらいつの間にか色んな面白い人たちと出会えた気がする。ここで喋っても良いけど、喋らんでもいいな、別に、と言う気持ち。何故なら、まず、登場人物が多い。ホテル自体が割と規模がデカくて毎年この時期に100人単位でバイトを雇うから、入れ替わりも激しければ、出会う人数もそれに比例して自ずと多い、さらにおもしれー奴って従業員だけじゃないから、個人的面白いお客も登場人物に入る。そうなると、いよいよ収集つかなくなるじゃん?と言う具合で、いや、誰一人紹介しないんだったら何でこれを書き始めたの?と言う声が聞こえてきそうですが、まあまあ(宥めるポーズ)。別に、事実を述べたところで何も生まれないと思っています。こう言う人が居て、こんな面白いことがあって、この人はこんな人で普段はこんなところで仕事してるのに何故か軽井沢のホテルにバイトしに来てて、みたいな話はあるけど、ここだけの話、それは今後自分の作品に自ずと現れてくると何処かで信じているから。文章表現をしていたら、人との別れがどのタイミングなのか分からなくなってしまう。ある地で出会った人間を元に創作をすると、一度別れたそいつに、作品の中で再会する。それは勿論一方通行で、こちらの完全なエゴの範囲内ではあるけど。そうやって人生の軌跡を作品に落とし込むと、作品の中でそいつは永久に生き続ける。その生暖かい身体は、生きているのか死んでいるのか定かではない目をしている。あんたを忘れてしまったことすら、忘れてしまいそうになる時にフラッと会いに来て、早く書き上げろ、再会させろとせがむ。そういう存在のお陰かどうかは知らんけど、ここまでAnosaを辞めずに来れている。辞める気なんてサラサラ無いけど。時間が足りない、圧倒的に。何が華の大学生じゃぼけ。何が人生の夏休みじゃ、カス。勝手に人生の夏休みを送ってください、お前らは。あ、「お前ら」と言う代名詞に私的な感情や特定の存在への揶揄は一切ありません(笑)、「オマエラ」と言う名前の生物に向けての発言です。誰しも心の中にいるでしょ「オマエラ」と言う生き物、誰でも無いし、誰でもある、みたいな存在のこと。誰にぶつければ良いのやら皆目見当もつかない憤りの中に生息して、セルフマインドコントロールの最中に出没します。かつて小学校に居たであろう、かろうじて顔を思い出せない心理カウンセラーの人みたいだと、ことの重大さを把握するタイミングが周りよりもワンテンポ遅い中田(仮名)は述べる。

でもさ、こんなこと言うのあれだけどさ、早く実家の犬に会いたいな。
ここまで読んでくれてありがとう。


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眠れない夜に

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