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舐め回すように聞く#1 『呼び込み君』 第3回(蛇足)

思いついちゃったので投稿しちゃった。蛇足である。

ところで、「蛇足」って「蛇の絵を早く描く勝負で1位のやつが調子乗って足付け足したら『そんなん蛇ちゃうやんけ』とアヤを付けられ褒美の酒を飲めなかった」というストーリーが語源だと思ってたら、さらにもう一つ入れ子構造があったことを今知った。楚の国が魏の国に勝って、その勢いでついでに斉の国も攻めようとしたときに斉の国から来た使者が、その「蛇足」の逸話を使って「斉と戦うのは余計なことだよ」と諭した、というのが全体の話らしい。

さて、蛇足の蛇足はこれくらいにしてこの記事の説明だ。

前回、呼び込み君の音楽的な解釈をしている中で「オーソドックスにはこうしない」という指摘をいくつかしたと思う。それを全部オーソドックスに直したらどうなるか、というのを思いついたのでせっかくなので録音してみた。

いくつかポイントが有る。

  • モチーフをあそこまで変形させず、冒頭2小節の形を踏襲する

  • 四七抜き音階を徹底する

  • メロディの7thシェルをなるべく避ける

  • 編成をそれっぽい感じにまとめ直す

    • リコーダー→フルート

    • ウッドベース→チューバ

    • ドラムにシンバル(両手持ちのやつ)を追加

  • それに伴い音域を整理

    • 全体の調性をEb majorにする(金管編成だとb系のほうが馴染む)

    • トランペットは音域を少し下げ目に

    • ベースはチューバっぽい音域に

こんなところだろうか。まあ聞いてもらいたい。

そもそもの魂胆を白状してしまうと「ほら、やっぱり呼び込み君のあのなんとも言えない違和感がいいじゃんね。ここまで整えちゃうとなんか『ツマンナイ』よね」となることを期待していた。読者諸氏はどう思われただろうか。(普通にいい感じじゃない……?)

音楽に限らず芸術って、オーソドックスを程よく裏切ることが人の心を打つのだ。問題はその裏切りをいかに形成するか。『呼び込み君』は間違いなく何らかの形で人々の心に裏切りをもたらし、それによって記憶に残ったというのは疑いようがない。音楽的にきっちり整えた『呼び込みさん』だとここまで人々の記憶に残らなかったどうか、は誰にもわからない。が、如何にして人の心に残るものを作るか、は創作に携わる人にとって永遠のテーマだと思う。

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