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「かよちゃんの家出」



かよちゃんが、家出したらしい。


置き手紙に書いてあったのは、晩ご飯の餃子をパパに多く食べられちゃったことと、今履いてるスニーカーで登校するのが嫌だったから。だって。パパきらい、新しいスニーカーを買いに行くから探さないでください、って、なんだそれ。もう16歳なのに、どんな理由で家出してんのよ アホか

確かに、今日のかよちゃんは変だった。夜、かよちゃんの好きなジャニーズがテレビに出てたのに、連絡が来なかった。いつもだったら「今日もかっこいい!!みた?」ってLINEが来るのに、きょうは来なかった。部屋でアイス食べてたら、かよちゃんママからわたしのお母さんに連絡が来て家出のことを知った。


かよちゃんに電話をする。繋がらない。どうせこんな小さな街だし、電車も9時には終わってるから、この街の中にいるはずだけど。てかかよちゃんの家、駅から徒歩5キロだし。

きっとかよちゃんは商店街の靴屋さんにいるわけでもなくて、だってあの靴屋さんにはおばあちゃんが履く小ちゃいお花の飾りがついたスリッポンしか売ってないし、かよちゃんはきっとあの雑誌に載ってた分厚いソールの近未来みたいなスニーカーが欲しいんだろうし。きっと、衝動で家出しちゃったけど、どこも行けなくて、でもまっすぐ家に帰るのも気まずくて、いつもの公園にでも居るんだろうな、と思った。迎えに行ってあげよう、いちばんにばかにしてやろ そう思った。

部屋着のまま外に出るのはは少し肌寒い 薄手のコットンのカーディガンを部屋着に羽織って公園へ走った。ドキドキして少し心臓が痛かった。

かよちゃんは公園にはいなかった。

どこにもないものを追いかけているみたいで急に馬鹿馬鹿しくなった。ほんとはそんな事ができるかよちゃんが羨ましくてしかたないって思ってたりもした。なんだどこにもいないじゃん、ぜんぶかよちゃんのせいだ。って、頭の中でぶつぶつ唱えながら走って帰って眠った。

次の日、かよちゃんは学校に来た。何もなかったように。パパやママからしこたま怒られたはずなのに、一皮むけたような、自信に満ちた笑顔だった。足下には、ピカピカの近未来みたいなスニーカーを履いていた。

スニーカーをどこで買ったか、かよちゃんは結局教えてくれなかった。



という短い小説を 相対性理論のシンクロニシティーンを聴いていたら思いつきました 少女は知らないところで大人になってゆく かよちゃんになりたいな〜

気になるあの娘/相対性理論


#小説 #短編 #あのこの脳内は

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