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anon future magazine

未来を複数化するメディア〈anon press〉のマガジン。SFの周縁を拡張するような小説、未来に関するリサーチ、論考、座談会等のテキストを配信していきます。更新頻度は月4回程度…
〈anon press〉ではビジネスとフィクションを接続することを目指し、SF作家・文筆家・エンジ…
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2023年6月の記事一覧

平大典「【対東京《バーサス・トーキョー》】Versus Tokyo」(4)

  Ⅳ  八月、真夏に開催された東京の宵は最悪だった。  拾得が便所で用を足している間に、人通りの少ない路上を独りで歩いている中肉中背の犬耳酔漢を発見した。  両手に匕首を持っていたが、背中はがら空きだった。千鳥足だったことから察するに、飲酒して酩酊状態だったのだろう。好機と意気込み背後から忍び寄って、持っていたようなもので殴ろうとしたが、躊躇してしまった。ふと、どこを殴ればよいのかわからなくなったのだ。後頭部を殴ってうまくいけばよいが、失敗したら両手の匕首で反撃を受ける。

教祖ちゃん「AI vs おじいちゃん」

◆作品紹介

富永夏海「天使」

◆作品紹介

長谷川京「EXO2100決勝_五年目の真実_最終版_本当の決定稿_完成バージョン.xls」

◆作品紹介

平大典「【対東京《バーサス・トーキョー》】Versus Tokyo」(3)

   Ⅲ  次の東京の宵は、前回からちょうど一カ月が経過した六月の半ばだった。  拾得に出会った夜以後、寝つきが悪化していた。目を瞑ると、天狗が息を引き取った瞬間やア美顕の日本刀が脳裏に浮かび恐怖している一方で、今夜こそ東京の宵があるかも、というヘンテコな期待を抱いてしまうのだ。

畠山丑雄「とにかく大きい洪庵先生」

【お知らせ】 anon future magazine 期間限定 無料クーポンの利用方法

※現在クーポン配布期間は終了しております。ご了承下さい。  SF小説を中心として、未来を探索するための様々な記事を50本以上リリースしてきたanon pressは一周年を迎えました。  今回、期間限定ではありますが、有料マガジンであるanon future magazineについて無料クーポンを配布します(ご利用には、noteへの登録が必要です)。ご登録いただければ、全作品を無料でご覧いただけます。  つきましては、下記にてクーポン利用方法をご紹介します。おおよそ3分程度で

平大典「【対東京《バーサス・トーキョー》】Versus Tokyo」(2)

   Ⅱ  俺は新参者。  ジットクは、移動中でもぺらぺらとしゃべり倒した。  まず、俺たちの仮の名前だ。黒塗り顔の男は、ジットク、漢字で『拾得』と記すらしい。俺の仮の名前は、カンザンとしたが、『寒山』と記すとのことだ。  由来は、寒山拾得という昔の中国の修行僧コンビだそうだ。二人は、文殊菩薩と普賢菩薩の化身で、小汚い恰好をしている。もうどうでもいい。

樋口恭介「極光」(1)

1  加速する無数の時間。何もかも、相転移するために。何もかも。