研修医がロンドンに大学院留学して解脱するまで Ep.10 同居人

私のフロアの同居人は、イギリス人女子のNora、アメリカ人女子JoleenとVeronica、中国人男子2人BenとDan、私を含めて合計6人であった。(それぞれ仮名)。

NoraはStudent Unionの一員であり、UnionからStudent House Officer という職務を与えられているため、寮の運営サイドの仕事をする代わりに寮費は無料という、言わば住み込みの職員と学生を兼ねている。天真爛漫で明るく、人懐っこい性格の女子だ。

Joleenは社会人経験者で、デザイン関係の仕事をしていたが、landscape design という建築系の修士に通いにロンドンに来ていた。アメリカのフィラデルフィアに住んでいたのに、ヨーロッパに住んでみたいという単純な理由から、結構なリスクを取り単身ロンドンに来た、探求心旺盛な人だ。

Veronicaは真面目で本が好きなヒスパニック系の大学新卒で、出版のコースに通っている。日本でのラテン系のステレオタイプに反して、割と内向的で繊細な人であるという印象を持った。

Benは中国人の男子で、年は大学新卒だが、少し幼い印象を受けた。英語があまり流暢ではないようだった。衛生観念が非常に低いうえに料理が好きで毎食料理をしていたため、キッチンをものすごく汚す人として同居人たち(主に私)の反感を買うことになる。

Danはもう一人の中国人男子であり、本当に生存しているのか分からなくなるほど共用部分に姿を見せなかった。一度夜中に飲み物を温めようと電子レンジを開けたら、大きな皿に巨大なクロワッサンが3個乗っており、誰のだろうと思っているところにDan氏が表れてそれを回収していったので、相当偏った生活をしていたのではないか。彼の生活を測り知れるエピソードとしてはこれしかない。

少人数でのスタート

1フロアに8つの個室があり、他のフロアでは8人全員が入っていることが普通なのに、私たちのフロアには6人しかいないのは幸運だった。部屋が埋まっているフロアでは、キッチンの汚れが問題になったり、同時に多くの人がシャワーを使ってお湯が出なくなったり(前述したように建物のインフラに問題が多くあり、また復旧には数日かかることも多かった)、色々な問題が生じているようだった。

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