TRPGではうまく自己主張ができる人を囲え!

 みなさま明けましておめでとうございます。
 新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。

 新年最初の記事は「TRPGにおける自己主張」というテーマでやっていきたいと思います。自己主張というのは日常生活において、それをするのもする人と関わるのも苦手意識を持つ方が多いかもしれません。しかしTRPGでは自己主張のコントロールが非常に重要だとわたしは考えています。

TRPGにおける自己主張とは

 テーマを語るにはまずこの記事におけるその定義を明確にしておきます。

 TRPGをするにおいて何か決断をする機会は多々あります。というかTRPGは決断の連続です。ダンジョンで右に行くか左に行くか、怪しい物品を調べるか無視するか、強敵と戦うか逃げるか。この決断は、参加しているプレイヤー全員で話し合って行うのが一般的ですよね。

 でも、話し合いって全ての人が意見を出すわけではないことが多いですよね。たいていの話し合いには「意見を出すのが得意な人」がいて、その人が『○○にしましょう』というわけです。そして他の人はだいたい『OKで~す』と言ってその提案に乗っかります。

 こういった「パーティーの決断において意見を出す」行為を「TRPGにおける自己主張」とこの記事では定義することにします。

自己主張が生むトラブル

 TRPGで誰かが自己主張をすることは必要な行為です。なぜなら誰も意見を出さなかったらゲームが進行しないからです。

 しかし、他人にこの自己主張をされることに嫌な思い出がある人もいるでしょう。
 たとえばゲームのデータに詳しい人に自分が購入するアイテムのことで文句を言われたり、あるいは戦闘中の動きを口うるさく指示されたり、あるいはGMに無茶な要求をして困らせているところを見たり。

 自分が自己主張をすることにもトラウマがある人がいるかもしれません。
 たとえば自分がダンジョンで「右の道に行こう」と言ったばかりに敵に囲まれてピンチになってしまったり、敵だったNPC少女にとどめを刺さないと言ったばかりに他のプレイヤーのキャラクターがその子に殺されてしまったり。

 他人が主張したことで自分が迷惑を被るのも、自分が主張したことで他人に迷惑をかけるのも、程度により人により、二度と経験したくない嫌な思い出になることがあるでしょう。

自己主張に慎重なプレイヤーたち

 わたしと同年代(30代)か、それよりも年齢が高い方は、TRPGで何かを決断しなきゃいけない際に何か意見を言うことに抵抗がある人は比較的少ないと思います。『だってやりたいことを言わないとTRPGが成立しないじゃん』って話です。
 その替わり、他人の自己主張で迷惑を被ることにも、自分の自己主張で迷惑をかけることにも鈍感です。他人の意見が気に入らなかったら対抗意見を出せばいいわけですし、自分の意見に文句があるなら言って来いよというスタンスの人、結構多いのでは?

 ところが新しい世代になればなるほどこの「自己主張」に慎重になる方が多いと見受けられます。世代的な傾向の理由については、様々な社会学者の方が考察してくださっていると思うので置いておきますが、直接の原因は「自己主張が生むトラブル」を被ったせいでしょう。

 このような自己主張に慎重なプレイヤーも、自分だけに関わることだったら割とすんなり決断ができることが多いです。簡単な例えだと、出先で1人のとき昼食に何を食べるかはすんなり決められるけど、横に同僚がいると「何がいいですか?自分は何でもいいですよ。合わせますよ」となってしまう方、結構いるのでは?

TRPGで自己主張をする必要性

 行き過ぎた自己主張は不和を生みますが、かといってプレイヤー全員が自己主張をしないわけにもいきません。

 導入シーンが終わりました。依頼を受けました。これから行方不明の学者を探しに行きます。こことこことこの場所に手がかりがありそうですね。さあ何から始めましょう! というときに

「どう……します……?」
「うーん……」
「どなたかやりたいことあります?」
「特に……皆さんに合わせますよ」

ってなったらどうしますか。

 こんなとき「まずはその学者の研究室から行ってみましょうよ!」などと主張してくれる人がいたらヒーローです。そういう人が現れなかったらGMが全部決めてあげるしかなくなってしまいます。

自己主張の機会を減らしてくれる現代TRPG

 GMが全部決めてあげるTRPG、あったよ!
 厳密には全部は決めないのですが。

 前回記事↓の目次から「シナリオの想定に従う流行シナリオ」を参照してください。

 記事ではクトゥルフ神話TRPGの話に限ってしていますが、とにかく現代ではシナリオの順路が細かく決まっているシナリオが多いのです。こういうシナリオにおいては、プレイヤー同士でいわゆる“ロールプレイ”をしているだけでGMが話を進めてくれるので、パーティーの方向性を決めるような「自己主張」をする必要はありません。

ベテランは新世代プレイヤーの気持ちを理解しよう

 ベテランTRPGプレイヤーの中には、新世代の自己主張しないプレイヤーに対して「地蔵」と名をつけて困った子と断じてしまう方もいるかもしれません。しかし、TRPGの遊び方は変化しているので、界隈によってはそれが普通だったりするのです。そしてその根底には「他人に迷惑をかけたくない」という想いがあるということを理解してあげてください。

 ベテランプレイヤーに取れる選択肢は2つです。
 そういったプレイヤーと遊ぶときはプレイスタイルを変えるか、そういったプレイヤーと距離を取って同世代と遊ぶかです。
 もちろん若い世代にも自分の意見をガンガン言うのが好きな人もいます。そう言った人を狙い撃ちして探すのもいいでしょう。

うまく自己主張をしてくれる人を囲え!

 自己主張してくれる人が大事だということは先ほど述べた通りです。その自己主張のやり方が上手い人ならなおさらです。

 「○○すべきでしょ」と言うより「私は○○したいなと思ってるんですけど、皆さんはどうです?」などと柔らかく言ってくれる人はうまい自己主張をしていると言えるでしょう。恐らくそういう人は場の雰囲気を悪くしないようにしつつゲームの進行のことも気にしてくれている、ものすごく気遣いのできる人です。

 ですが、その気遣いはなかなか見えないことが多いです。意見を聞いている立場の人からすれば「やりたいことがいっぱいあるんだな~^^ニコニコ、うんうん、私は邪魔しないように賛同しとこう」ってなるかもしれません。

 でも、その人は誰も意見を出さないとゲームが停滞してしまうことを知っていて、つとめてなるべく最初に意見を言ってくれているのかもしれません。そして自分の主張した意見を採用したことでパーティーが不利になってしまうかもしれないというリスクを背負ってくれています。

 もし、あなたが自己主張が苦手なタイプのプレイヤーでしたら是非、うまく自己主張をしてくれるプレイヤーにセッション後に感謝を伝え、大事にしてください。
 もちろん見極めは重要です。単にわがままなだけの自己主張をするプレイヤーとは距離を取っていいでしょう!

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