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MBO実施!ANOBAKAとして第2創業を決意した話

正直こんな発表をすることになるとは半年前まで夢にも思っていませんでした。

2020年12月1日

KVPは親会社であったKLabよりMBO(マネイジメント・バイアウト)により独立し、ANOBAKAとして第2創業のチャレンジをスタートしました。

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ブランドイメージ

そして12/4(金)にMBO発表イベントを無事に開催することができました。

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ANOBAKA ConferenceでMBOの経緯を説明

これを書いている今もこの激動な展開の早さに自分自身がついていけてないような感覚があります。なぜこういう展開になったかの経緯についてもう少ししっかりと説明したいと思ってこのnote書きます。


なぜMBOか?

そもそもKVPは前身となるKLab VenturesというSBIインベストメントとKLabとのジョイントベンチャーによるベンチャーキャピタルを私が運営していた時に構想していたものです。2012年からスタートしたKLab Venturesは投資自体は3年半で16社程度実行していたんですが、自分の実力不足やJVというやや複雑なスキームなど色んな事情でパフォーマンスが出せず、苦労していました。

元々20代はKLabで事業開発の最前線にいましたし、その仕事の方が面白いと思っていたのでまた以前の職種に戻ろうかなと思ったこともありましたが、「こんな中途半端で終わりたくない。事業開発に戻りたいけどそれは結果を出してからだ!絶対結果だす。」という沸々とした気持ちを抑えられなくなり、当時KLabの社長であった真田さんと話して、KLab Venturesでの活動は一旦これで終わりにし、ほんとにパフォーマンスが出せるスキームのVCをゼロから創ってそこで勝負したい。その上ではファンドも全部自分で集めるし、独立採算でやります。と啖呵きってスタートしました。

2015年10月にスタートしたKVPは僕と当時ジョインしたてのアソシエイトの萩谷とアシスタントの3名でスタートし、最初はファンドもないので日銭稼ぎのためにコンサル業などしながらファンド組成の準備をしていました。ほんとにファンド作れるのかな?という不安が常にあり、手探りで会社作りをしていくなか、2016年4月には御林という実力者も加わり、その後1年ほどかけて17億円のデビューファンドを組成することができました。

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メンバー3名と妻と親友の5名でひっそりと創業祝い

その後KVPは創業時には考えられなかったほど順調に成長することができ、1号ファンドは48社の投資実行。2018年末に組成した2号ファンドからは32社の80社以上の投資を実行し、現時点で上場が具体的になりつつある投資先が6社。精算に至らざるを得なかった会社はわずか3社、シリーズA進出率は80%以上とかなりのファンドパフォーマンスを出せるVC Firmに成長しつつあります。

なんの実績もない自分達を信頼してファンドへの投資を意思決定してくれたLP(ファンドの投資家)の皆さんにしっかりがっつり恩返しができそう。投資先もどんどん成長していく。そしてKVPも組織として成長している。ほんとに素晴らしい5年間でした。

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恒例となった忘年会とKVP Awardの様子

ただ、2019年中頃くらいのファンドパフォーマンスに自信が持てだしたタイミングと同じくして自分の中で鬱々とした感情が積み上がってきました。

VCの仕事というのはいい意味でも悪い意味でもルーティンになりがちです。

1号ファンドを成功させたら次は2号ファンドも成功させて、そして3号4号…とファンド組成ごとに成功を目指すものであり、4−5号くらいまで目指すなら下手したら30-40年スパンで考えなければならないお仕事です。ファンドの成功の再現性を真摯に考えなければならない一方で、自分の人生におけるチャレンジってなんなんだろう?と悶々と考えることが多くなりました。

どんどん成長曲線を描く投資先の社長の皆さんと成長曲線が明らかに停滞期に入っている自分とのコントラスト。死ぬ気でチャレンジしている人に対して自分が相応のチャレンジしているのか?ファンドを運用しているだけの自分に存在価値あるのか?もしファンドが成功して報酬が入ってきても全然うれしくない。大所高所から金融業っぽくなる気持ちは毛頭ない。泥臭くチャレンジし続けることこそ生きがいだ。30代最後に差し掛かったこのタイミングで何かアクションしなければ絶対後悔する。もう行動しないという選択肢はない。独立系としていろんなことにチャレンジしまくる会社にしていきたい。と鬱積した気持ちが1年以上かけて徐々に具体的なアクションプランに昇華していました。

そして、コロナ禍で社会が混乱する2020年夏頃の某日、KLabの真田会長のところへ言って、「新卒からお世話になって大変感謝しているが、独立して新たなチャレンジがしたい!」と偽らざる気持ちを吐露し相談しました。すると、「そこまで言うなら長野のチャレンジを応援したい」と言ってくれました。そして、真田以外のKLabの役員陣にも相談にいきましたが驚くことに全員が真田会長と同じ反応でした。今回のMBOにあたって11月24日にKLabのIRサイトに適時開示が出て、想像以上に色んな人から反応頂き、色んな憶測もありましたが(笑)、実際にはこれが包み隠すことの一切ないやりとりです。でもほんとうに信じられない展開となりました。

2006年にインターンとして入社して以来色んなチャレンジの場を用意してくれて、KLabのお陰でほんとうに成長させてもらった。そのKLabに最後のチャレンジの場を用意してもらいました。ほんとに感謝しかない。この恩に報いるには成功させて恩返しするしかないと思っています。

蛇足になりますが、世の中のキラキラなネット企業からすると今のKLabは上場後安定期に入っていて僕が入社した当時の新進気鋭感はないかもしれません。ただ、「価値観の強制するより結果出そうぜ」みたいな合理的な考え方を尊重する文化はとても好きでした。当時新卒で誰にも知られてない未上場のKLabという会社を選んでほんとうによかった。

ちなみにKLab在籍時の半分は社内の事業開発責任者として仕事をしていて、真田さんの直下みたいな形で仕事してました。ザッパラスやenishを上場に導いた杉山全功さんにお会いした時に、「新卒からずっと真田の直下でやっていて10年近く経ちます。」と言うと「そんな奇特な方がいるんですね〜w あなたはどこでもやっていけますよw」と言われたことはいい思い出。(杉山さんは当時伝説的な学生ベンチャーであったリョーマ時代からの真田さんとの付き合い)

真田さんには経営者としての懐の深さみたいなことをほんとに多く学ばせてもらった。色んなエピソードがありすぎて書ききれないですが、新卒で入社したてのタイミングで「任せれると思ったやつには徹底的に任せる。任せれないと思ったやつには何も任せません」というセリフ。新卒にそれ言うか?と当時は思いましたが、この言葉は当時の新卒の僕にはぶっ刺さりました。

また、当時現場でまだ尖っていた僕はマネージャーと関係値が悪化して、そのマネージャーの問題点を真田に直談判したことがあります。そのときの真田の答えが「ここは居酒屋じゃねーんだから」の一言でした。その意味することは「愚痴るなんてなんの生産性もない。自分でちゃんと解決しろ」と読み取りました。本質論者である真田の下でやっていたからKVPを独力で立ち上げた時も問題解決力の基礎力が身についていたと思います。

ANOBAKAへの想い

そして、KLabの経営陣の皆さんにも背中を押してもらいついに12月1日MBOをクロージングしました。(余談にはなりますが、この半年はほんと大変だった。KVP創業期も大変だったけど、今回のMBOも想定外のタスクがどんどん出てきて想像以上だった。この3ヶ月の個人のタスクリストは130行になってた。MBOはもう2度とやりたくない笑)

新しい社名のもと“Empowering Mad Dreams”をビジョンとしてシード期のスタートアップを対象としたベンチャーキャピタルのファンドを運営。「チャレンジ」を至高の概念とし、起業家に勇気を与え、夢を実現させるプロフェッショナルファームとして生まれ変わります。繰り返し社内で言っているミッションは「チャレンジを至高の概念とする」です。チャレンジする起業家を応援しながら僕ら自身も色んなことにチャレンジしていかなければなりません。チャレンジしない人間に存在意義はない。そういう企業として生まれ変わります。

最後に

最後になりますが、今回のMBOに至るまでにほんとに色んな人に助けてもらいました。

背中を押してくれたKLab経営陣

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ANOBAKA Conferenceでお世話になった皆さんとの一枚

細かい実務を支援してくれたKLabの現場の皆様

MBOの軍資金を融資してくれた友人達。
→今回MBOのための資金を出すために銀行借入れもしたのですがそれだと足りないので複数の友人から借入しました。信じてもらえないかもしれませんがその友人達は全員が説明したら即答で貸付を快諾してくれました。説明に要した時間はそれぞれ10分づつくらい笑 ほんとうにありがとう!しっかり倍返しします!

勝手に独立の意思決定をしたのに何も言わずについてきてくれる現ANOBAKAメンバー達

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MBOに向けての合宿にて夜のキャンプファイヤーの様子。

そして、もちろん家族の存在。勝手に借金抱え込んで独立することを決めたのに黙って応援してくれる家族のサポートがなければここまでこれなかったと思います。

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MBOの日に妻がプレゼントしてくれた革製品刻印用ANOBAKAロゴ

これから

今後ANOBAKAは色んなことにチャレンジしていけるVC Firmを目指します。

VCなので投資先やファンドのパフォーマンスの最大化が勿論第一の目的ですが、その目的に適うチャレンジはどんどん仕掛けていきたいと思います。

そういう僕らのビジョンに共感してもらえる人はぜひ話を聞きに来て下さい

長文になりましたが最後まで読んでくれてありがとうございます。

登山でいうとまだまだ1合目に足をかけた段階。これからどんなドラマが待ち受けているか分かりませんが今のメンバーとこれから入ってくれるまだ見ぬメンバー達と困難を乗り越えていきたい。これから高みを目指して生きたと思っています。まだまだ未熟なANOBAKAですが今後とも宜しくお願いします。

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