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一人暮らしOL vs ゴキ

こんにちは。あんにゅいです。
久しぶりの投稿になります。今、午前三時です。
先ほどまで、ヤツと闘っていました。今のマンションに住み始めて6年ほど。実に、はじめてのことです。

そう考えると、今まで侵入してこなかったのが奇跡だったのかもしれません。
ですが、うちは7階です。ベランダに生ゴミを放置したり、部屋全体が不潔だったりするわけでもありません。いたって普通です。だから心のどこかで、「このマンションは出ないのかも…」と考えてしまっていた自分がいました。
それこそが、「油断」と「甘え」を生んだのでしょう。

7月5日 PM11時頃
本を読んでいました。お風呂上がりの至福の時間です。
少し暑くなってきたので、掃き出し窓を開けようかと立ち上がったとき、カーペットの角をスッと黒いものがよぎりました。
堂々たる登場です。

幸い、手の届く場所に殺虫スプレーを置いていたので、わりと早い段階で動くことができました。人間、ほんとうに驚いたときは声も出ないものですね。そのかわり、喉の奥のほうで「ングッ……‼」と聞いたこともない呻きが漏れました。

数秒ほどスプレーを噴射し続けましたが、ヤツは小賢しくベッドの下へ入り込みました。
すると、聞こえてくるんです……。
(カサカサカサ……)
冬服、毛布などを収納している袋のあいだを縫うように走っている姿が、ありありと目に浮かびました。

頼むから、このまま籠城するのだけは勘弁してくれ。寝れん。
そう思った直後、潜りこんだ場所からおよそ一メートルほど離れた、ベッドの頭側の脚もとから、ヒュン! と再登場。
「あ゛っ!」
と叫びながら、私はもういちど噴射します。
やがて床の上で、彼は仰向けになって暴れ出しました。その足や触覚の蠢きたるや……ゆっさゆっさ…。

ゴキの動きが完全に止まるまで、私は観察を続けました。いえ、監視というべきでしょうか。
およそ五分ほどかかったと思います。
手の震えが止まりませんでした。殺虫剤の混じった空気を吸い込んだからか、急激に大量分泌されたアドレナリンのせいか、今となってはわかりません。

闘いを終え、精神的ダメージが薄れないうちに考えました。
ゴキの何が「おそろしい」のか。

言うまでもありません。
登場の唐突さ、動きの素早さです。
あのスピード。時おり迂回するように見える、予測不可能な動き。

と、思った方が多かったんじゃないでしょうか。
実は、もうひとつあるのです。

よく言いませんか?
「一匹いれば、その家には○○匹いる」
事実かどうかはわかりません。誰かが、ゴキブリ対策を普及させるために流布したデマの可能性だってあります。
でも、どうでしょう。
ゴキブリと対峙した直後です。まだ腕には鳥肌が残り、猛スピードで自分の部屋をゆく黒い塊が、くり返し脳内再生されています。脇や首から、変な汗が止まりません。
そんな状況では、誰もが「そうかもしれない…」と思ってしまうのではないでしょうか。

ぞっとして、愛着が湧いた部屋を見わたします。
私「……(一匹いるってことは)…」
偶然、一匹だけ入ってきたのかもしれない。ほら、洗濯でベランダの窓を開けているときとか、玄関に入る一瞬とか……いくらそう考えても、やはり「疑念」は残ってしまうのです。
この「疑念」は、ゴキ遭遇後、およそ数日間、頭から離れなくなるでしょう。

はい。これです。
ゴキブリのほんとうのおぞましさ。それは、殺された後、「まだいるかもしれない」という疑心暗鬼を人間に遺していくことです。

はぁ……
ごめんなさいね。一匹のゴキブリごときで長々と。
もう1500字を超えてしまったので、そろそろ終わります。

各家庭によりますが、ゴキの侵入経路は――特に賃貸マンションの高層階――、エアコンのドレンホースからが多いそうです。室外機のそばに、だらんと垂れているアレです。ゴキにとっては、ただの長いトンネルに過ぎないので、そこを通ってエアコンの通風孔から……なんてことは朝飯前なわけです。

そのドレンホースに装着する専用キャップなるものを、Amazonで発見しました。いわば、トンネルの入り口に鉄格子をはめるイメージです。早速、スマホでポチりました。

ああ、ゴキよ。この部屋のどこかにいるなら聞いてくれ。

不法侵入ダメ、ゼッタイ。
時間カエシテ、マジデ。
精神的ダメージ、責任トレ。

これから暑くなってきますから、より入念な対策が必要になってくるでしょうね…。はあ、まったく……一人暮らしの女をイジめないでほしいです。

以上、あんにゅいでした。
また次回の記事でお会いしましょう。


                     あんにゅい

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