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変態的美術館 第三話

※前回の続きになっています。



そこには彼の姿はなく
私はガックリした。


(どうしよう、次はいつばったり会うかわからないし
連絡先もしらないのに、。)


仕方なくオペラグラスは持ち帰ろうと
美術館を出た。

私は今日の思いがけない嬉しい出来事のおかげで
気分が良くなり、

美術館に行ったらよく行く
カジュアルイタリアンで

ワイン一杯飲むことにした。


店に入ると

『やぁ〜香織ちゃん久しぶりだね』

声をかけてきたのはここのレストランのオーナーシェフ。

『今日は暇だからゆっくりしてって』

私はうなずき、

イチジクとチーズの盛り合わせとプロシュート、
そして赤ワインを頼んだ。


「今日ね、私の人生ではありえない
 運命的な出来事が起こったの!」


私はオーナーの佐々木さんに今日美術館に行った時
前からよく見かける素敵な彼から
話しかけられた事、
オペラグラスを貸してくれた事
そのまま彼を見失ってしまって
まだ持ったままで困っている事を話した。


一通り私の話を聞き終わった佐々木さんは


『っぷははははっー!!!』

と笑った。

「佐々木さん、なんでそんな笑うんですか!」

私は少し頬を膨らませながらながら言った。


『いやぁ〜、香織ちゃん
 少女みたいに顔赤らめながら嬉しそうにはなすんだ    
 もん。
 ごめんね、こんな香織ちゃん見た事なくて
 ついつい!』

余計に恥ずかしくなり
私の顔は茹で蛸状態になった。 


『でもさ、話しかけてくるって事は
 あっちの彼も香織ちゃんの事気になってたんじゃ
 ない?
そんな目が悪そうな人見かけても
 他人事だし、わざわざ
 話しかけないでしょう。
 お互いたまに見かけるうちに
 気になってたんだね。』

 
 「そうなのかなぁ。」

確かに、私は作品を観てる時
周りの誰の事も気にならない。

私の脳は単純だ。

「きっとそうよね。
 彼も私の事が気になってたから
 親切にオペラグラスなんか貸してくれたんだわ!」

私はますます嬉しくなり、

「佐々木さん、ワインお代わり下さる?」

佐々木さんは娘を見守るかの様な
優しい微笑みでワインを注いでくれた。


次彼にあった時の妄想を膨らませながら
佐々木さんと話し、
ワインはとても美味しく
私は二時間足らずで
5杯ほど飲んでしまい

完全に出来上がってしまった。


私は頬杖ついてる手が崩れない様にするのが精一杯なくらい酔ってしまい、
そしてとてつもなく誰かに会いたくなり

たまに食事したりお互いの家であったりする
彼、健一を呼んだ。


健一が店に入ってきて

『香織飲み過ぎ。
 帰るよ。
佐々木さんどうもすみませんでした。』


オーナーは優しく

『いいんだよ、今日とてもいい事があったみたいで ね、とても楽しそうだったよ。』


勘定は健一が済ませてくれてお店を出ようとした
その時、、



『いらっしゃい〜』







お店に入ってきたのはあの美術館で会った彼だった、。



To be continued...





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