おしまいは、はじまりの…浦島二郎
太郎兄さんが浜で行方不明になってから数十年。すっかり白くなった頭をかきむしりながら、二郎は日当たりの良い岩場で身体を休めていた。
朝早くからの漁を終え、穏やかな水面を見ながら、おにぎりをほおばる。
水面すれすれを泳いでいる亀を見つけ、ふと兄さんのことを思いだした。
「兄さん、いったい何処へ行ったんだよ。みんな心配したんだよ。最後に見かけた人は、大きなカメに乗って沖の方へ出ていったと聞いたけど、信じられなかったし、今ではもう兄さんのことを誰も覚えていないよ。」
そろそろ午後の漁