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やっぱりKing Gnuが好き。

「好きなバンドはKing Gnuです」
こう言い切るのには、少し勇気がいる。いや実際好きだし、カッコいいバンドだと思うんだけど、あまりにメジャーになりすぎて、ちょっとカッコつかない感じがするのだ。そもそもそんな葛藤をしているのが自意識過剰だしカッコ悪いのだけど。

そんなこんなで素直にKing Gnuが好きとは言わず、「好きなミュージシャンは〇〇、××、あとKing Gnuかな」みたいにちょっとスレた発言をすることもあった。


そんな自分を今、猛烈に恥じている。

4年ぶりのニューアルバムだ。アルバムのリリースが発表されたときも、僕はつとめて平静を装っていた。ツイートもしなかったし、特段話題にすることもなかった。もしその話題が誰かから振られたら「そうなんだ。アルバム出るんだね」と軽く流すつもりでいた。

つまるところ全く平静ではいられなかった。曲順はすかさずチェックしたし、特集された雑誌も買った。出演するテレビ番組の情報収集も怠らなかった。ゴリゴリのファンムーブである。いったい何を隠そうとしているのか。

結局のところ、僕はKing Gnuのアルバムを切望していたのだ。

そんな待ちに待ったアルバムの感想だが、一言で言うと「待った甲斐あった」、これに尽きる。

まず音がいい。明らかにこれまでのアルバムより音が良くなっている。12月号の『MUSICA』で制作環境が大きく変わったこと、マスタリングエンジニアが『Tokyo Rendez-Vous』のマスタリングを担当した山﨑翼さんに戻ったことが書かれていた。このアルバムを聴くと、自由を手に入れたKing Gnuが満足行く制作環境を手に入れたことがよく分かった。

次に既存曲のリアレンジ。これまた力が入っている。その中でも“泡"“三文小説”は本当に良かった。“三文小説”がアルバムの最後に来るなんて、シングルリリース時は予想できなかったけど、このアレンジで来られると納得してしまう。渋さ7割増し、といったところだ。

常田さんはしばしば「楽曲の消費スピードが早すぎる」と不満をこぼしていたが、それは作った楽曲を聴き返しながら、何度も何度も作り直しきた音楽家ゆえの心の叫びであることを感じさせられた。今回のアルバムは「King GnuによるKing Gnuの楽曲の再解釈」が楽しめるものになっていて、シングル曲を聴いた人にも、いや聴いた人こそ刺さるアルバムになっていると感じた。もちろん新曲も最高だけどね!

今回のアルバムを聴いて、これからは迷うことなく「King Gnuが好きだ」と言うことにした。だってやっぱり彼らはかっこいいのだから。

しかしながらこれだけ洗練されたリアレンジを聴くと、これまでのアルバム収録曲のリアレンジが聴きたくてたまらなくなる。「白日」や「Vinyl」のような有名曲、さらには「ロウラブ」や「Bedtown」のようなライブでやらなくなった曲まで、King Gnuの再解釈が聴きたくなる、そんなアルバムだった。

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