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がんばってるんだけど上がらない日本のリサイクル率 どうしたらいいのかな?

 今回はリサイクルの話です。全国どこの自治体もそうでしょうが、私の住む長浜市の分別ルールは非常にしっかりしています。また、住民も大変真面目に3R(Reduce、Reuse、Recycle)に取り組んでいます。

長浜市の令和5(2023)年度ごみ収集カレンダー。自治会によって収集日は変わります。

 私の住む町でもこのカレンダーにしたがって分別収集が行われています。リサイクルに回すものは全てしっかりと各業者が回収していきますし、これはさぞかし日本のリサイクル率は高いのだろうなと思って、ちょっと調べてみましたら、令和3年度はたったの

19.9%

でした。え?あんなにみんなでがんばってるのに何で?


 ちなみにこの数字は次の計算式で算出されています。

リサイクル率=リサイクルされるごみの量 / 総ごみ排出量

 では、この数字は世界のランキングではどうなのか?
 「OECDごみリサイクルランキング」では、日本は何と下から6番目。ずっと同じような順位をウロウロしているんです。

で、よく見ると日本は「焼却とエネルギー回収」については71%で断トツ1位なんです。

 うーん、自治体の指示に従って住民が手間をかけながら分別しているのに日本のリサイクル率は低く、焼却とエネルギー回収がほとんどだという事実。これは一体どういうことなんでしょうか?
 実は「リサイクル率の計算方法が日本とEU加盟国じゃ違うんだ」という話もあります。でもね、EU加盟国の計算方法で計算してみても22.7%。確かに2.8ポイント上昇しますが、微々たる話です。

 世界と比べて日本のリサイクル率が低い理由は、
 ・日本が焼却大国であること
 ・しかも生ごみを燃えるごみとして扱っている自治体が大多数

だからなんです。焼却によるエネルギー回収をリサイクル率に上乗せして計算してくれたらいいのですが、そうは問屋が卸さない。
 日本ではごみを埋める場所がないから、一般廃棄物の約7割を焼却して処理しています。このときにほとんどが水分の生ごみも一緒に燃やすんです。
 リサイクルセンターの職員さんの話では、一番焼却に苦労するのは夏に大量に出るスイカの皮だそうです。そりゃそうでしょうよ。スイカ全体の95%が水分なんですから。^^;

生ごみだけじゃなくて剪定して出た生の枝葉や草、落ち葉なども燃えるゴミに出されます。

 ちなみに、プラごみのリサイクル方法には大きく分けて

  • 再生プラスチックになる「マテリアルリサイクル」

  • 化学工業で使う原料や素材に変える「ケミカルリサイクル」

  • 圧縮して高カロリーの固形燃料として焼却し、熱回収して発電機を回すのに使う「サーマルリサイクル」

の3つがありますが、日本でこのようにリサイクルされているプラごみは全体の3割弱。どうやらあとは燃えにくい生ごみを償却する燃料として一緒に焼却されているんですね。つまり、プラごみはタダで手に入る高温で燃えてくれるいい燃料なんです。
 せっかく分別したプラごみを他のごみと一緒に燃やす?リサイクルだと思って一生懸命に分別している住民の努力はどうなるんだ!これなら最初から分けさせるなよ!と思わず言いたくなりますよね。(^^;)

 こうして考えると「生ごみを焼却して何とかしよう」という発想自体が日本のリサイクル率の足を引っ張る諸悪の根源であることがわかります。

 実はリサイクル率上位の国の多くは、生ごみを燃えるごみとして扱わず、堆肥や飼料にすることで資源化しています。一般廃棄物の30~50%を占めるといわれる生ごみを資源化できれば、無駄なエネルギーを使わずにすみますし、リサイクル率はおのずと上昇するわけですね。

 たとえばOECDごみリサイクルランキング2位の韓国では、生ごみの直接廃棄(埋め立て)を禁止する大胆な政策で生ごみの資源化を進めた結果、リサイクル率は70%を超えています。

 また、アメリカのカリフォルニア州は「生ごみと草木」「資源物」「その他」のわずか3分別のみで、リサイクル率は50~60%と世界トップクラスを誇っているそうです。
 我家のごみの分別と搬出を完全に私がするようになって、随分経ちます。もともと凝り性な私が面白がって徹底的な分別を行い、さらにコンポストで籾殻を使った生ゴミの完全堆肥化を実施するようにしましたら、可燃ごみがかさベースで1/10以下。重量ベースではたぶん1/100以下に激減しました。もっと徹底すればほぼ0にすることも不可能ではありません。

 これまで「燃やしてごみをなくす」という手法をとってきた日本ですが、焼却はどうしても高コスト、有害物質やCO2の発生、リサイクルが進まないといった弊害が生じます。
 私の生活実感としても特に生ごみの堆肥化は効果的です。でも、コンポストは住宅事情などで都市部ではなかなか出来ないでしょうし、自ずと限界があります。ですから、個人レベルじゃなくて、韓国のように国や自治体が生ごみを堆肥や飼料にして資源化する事業を大規模な設備を整えて推進してくれたら、日本のリサイクル率はうんと上がるのになと思うわけです。
 おまけに家畜の餌の輸入が足を引っ張る自給率は上がるし、CO2排出削減もできるし、有害物質の放出量は減るし、一石二鳥どころかまさにいいことずくめじゃありませんか。

 実は私の住んでいる長浜市とお隣の米原市では、現在以下の概要で広域行政で運用しているリサイクルセンターの移転新築工事が進行中です。

 日本に数カ所しかないような高性能焼却処理施設ができるようですが、そちらに向けてお金をかけるんじゃなくて、生ごみを堆肥や飼料にして資源化する設備をぜひ作ってほしかったですね。

 日本はリサイクルをお隣の韓国に学べ!と私は声を大にして言いたい。


 韓国でも大人気の生ゴミを乾燥させて量を減らすゴミ箱。これいいんじゃないでしょうか。(^^)

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