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初夏の野草 ワイルドキャロット

 琵琶湖岸の歩道で初夏の野草を愛でるシリーズの続きです。今回はワイルドキャロットで行ってみましょう。
 
ワイルドキャロットはこの季節に白い小花が集団で咲き、レースのように見える越年草です。琵琶湖岸を走るさざなみ街道の歩道にこの花が進出して随分と時がたちましたが、今だにその勢力は衰え知らずです。ちなみにこの植物の和名は、牧野富太郎先生のネーミングセンスが光る「野良人参」。いかにも野良らしいたくましさです。^^;

ゴージャスな花は人参にそっくり。(^^)

 この野草はセリ科でニンジンの仲間ですが、実は「食用のニンジンが野生化したものである」という説と、「これこそが人参の原種である」という説の2通りがあります。
 和名命名者の牧野富太郎先生は

(ニンジン Daucus carota var. sativus の)野に生ずる者をノラニンジン(Daucus carota)と云ふ、畢竟圃品の逸出して自生化したる者なり。

【牧野日本植物図鑑】

とおっしゃっています。その一方、イギリスのキャロットミュージアムは

ワイルドキャロット(ノラニンジン)は栽培ニンジンの先祖 progenitor(wild ancestor)である。

【carrotmuseum.co.uk】

との見解です。世界各国の識者達の見解はどうやら「人参の原種説」に軍配を上げているようで、我らが牧野富太郎先生も今回ばかりはちと旗色が悪そうですね。^^;

 ところで、英国ではこの植物に「アン女王のレース」という別名がついています。全部が全部ではありませんが、ワイルドキャロットの花には中心にある花弁のみが赤色に色づいているものが時々みられるのです。
 これが「アン女王のレース」の由来でして、レース編みをしておられた女王が誤って針で指を刺し、一滴の血がレースについたという故事に因んで名付けられたのだそうです。
 実は私、湖周道路沿いでこの花を観察しだしてからずいぶん立つのですけれど、これまで一度もその赤い花弁を見たことがありません。
 
というわけで、あちこちで花を上から覗いて探すのですが、赤い花弁の代わりに必ずこんなのが!www

中央に潜むのは凶暴そうなクサグモ。ここで獲物を待ち伏せしています。
ほら、この花にも。
みなさん、今ならワイルドキャロットの花にはもれなく一匹クサグモがついてますよー。

 ワイルドキャロットの中央にクサグモじゃなくて、赤い花弁を見たことがあるよ!という方がおられましたら、ぜひお知らせください。



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