刈られた植物の生存戦略 彼らはどう生き延びるのか
前回の記事で植物のコミュニケーション能力について書きました。今回はその続編です。
畑周辺の草が勢いを増して、いよいよジャングルになって来ましたので、最近私はセッセと草刈りをしています。
でもね、この作業は結構なお手間入り。なかなか一度にはできないから、野積みして順番待ちさせておくのですが、最近はお天気がいいので二日も放置しておくと表面から草がどんどん乾燥していくんですよね。
実は植物は刈り取られると同時に乾燥ストレス信号が走って、水分の蒸発を止めるために細胞壁が硬化します。こうして自分自身の生存確率を上げているのです。
刈り取られた草はこうしてどんどん固くなって、最終的に枯れ草になります。こうなると、生の時より分解しにくくなって、好気発酵で堆肥化しようとしている私としては大変困るわけです。(^^;)
以前に物置を整理していたら、何十年も昔の稲わらが当時のままの姿で出てきて驚いたことがあります。枯れた植物は完全に乾燥した状態だと腐らないんです。考えてみたらドライフラワーも朽ちないですもんね。
というわけで、乾いてきた青草をできるだけ急いで積もうとして作業をしていると、下の写真のような種子の塊を目にすることがよくあるのです。
これはどういうことなのでしょうか?このことについても調べてみたのですが、学術的な記述は見当たりませんでしたので、ここからは完全に私の推測です。
ひょっとすると、花の状態で刈り取られたハルジオンやタンポポは、刈り取られて乾燥が始まった瞬間に緊急信号を出して、成長モードから子孫を残すモードに急激に切り替えるのではないでしょうか?そして、最後の力を振り絞って、強制的に今咲いている花を種子にしてしまう。こうすれば、このまま自分はダメになっても、種を飛ばすことで子孫を生きながらえさせることができますから。
植物がもししゃべれたら、「うわー。やられたっ!大変だ大変だ。だんだん身体が乾燥してきた。私はもうダメかもしれん。せめてお前達だけは遠くへ飛んで行って、何とか命を繋いでくれよ。バタッ。」と言っているんじゃないでしょうかね。(^^;)
もともとパラシュートのような綿毛の種子ですが、これはまさに事故に遭った本体からの緊急脱出用のパラシュート。
もし、植物が意識的に自身を乾燥に耐えて生存率を高めるモードに切り替えると同時に、咲いている花を種子にして飛ばす行為を行っているとしたら、植物ってホントしたたかな生き物ですよね。
でもね。もし堆肥の中にこの種子が大量に入ったら、せっかく最後の力を振り絞って種を作った植物たちに申し訳ないし、ヘタをすると畑がタンポポだらけになる可能性もあります。ですから私はできるだけ種子をフーッと吹き飛ばして、材料に混入しないように注意しながら草を切っています。
それでも堆肥の中に混入してしまった種子はどうなるのか?堆肥を作る過程で好気発酵がうまく進むと、6~70℃くらいまで発酵熱が上がります。大半の種子はそれで不活性化するのですね。(^^)
うーん。
なんか、すごく悪いことしてる気がしてきたぞ。
私って酷いやつだな。www
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