堆肥考 その3 雑草堆肥が完熟するまでの3つのステージ
雑草堆肥の発酵段階は
というわけで、またまた畑の片隅にあるトタン板で仕切ったゴミ捨て場で作業をしながら堆肥について考えてみましたの続きです。
さて、ネットで「雑草堆肥の作り方」をググってみると生産農家から園芸愛好家に至るまで、様々な方がブログや動画で自分流の雑草堆肥の作りの方法をUPされています。その多くに共通する手順は、
枠の中に刈った雑草を積む
足で踏み固める
水をまく
発酵促進剤をふりまく
土中の微生物の力を借りるために畑の土で覆う
1~5を繰り返してサンドイッチ状態にする
時々切り返す
というものです。私も雑草堆肥を作りだした頃は、これらを大いに参考にさせていただきました。ところが私の場合、この手順に従って何度挑戦しても好気発酵が起こらず、嫌気発酵しかしないのです。それこそ尿素や油かすで窒素分をたしてみたり、市販の発酵促進剤をふりかけてみたりと考えられる限りの努力もしてみましたが、どうしても内部温度が上がらず、芳しい効果は得られませんでした。
そこで、何としても好気発酵で完熟堆肥を作りたかった私は一から文献を読み漁って、自分なりに「堆肥とは何か」「発酵とは何か」「微生物による分解とは何か」などについて調べ直してみました。そうして、一般的に雑草堆肥では完熟するまでに次のようなステージを経ることを私なりに理解した次第です。
じゃまをせず、いかにうまく微生物の活動を手助けするか
有機物の分解はこのようにステージごとに様々な微生物が活躍して分解が進みます。我々人間がしなければならないことは、できるだけ彼らのじゃまをせず、いかにうまくその活動を手助けするかということに尽きます。
糖分解期に必要な手助けは、積むときにできるだけ隙間を作って空気に触れさせること、雨水の流入を防いで水分量を50~60%前後に調整すること、保温をすること。もし材料にする雑草の炭素率が高くて、どうしても市販の発酵促進剤や米ぬかなどを振りかけて発酵を促したいなら、それらが効果を発揮するのはこの段階だと考えられます。あらかじめ繊維をできるだけ短く切って、足で踏み潰して細胞壁を壊してからふんわりと積むことも分解促進につながるでしょう。
セルロース分解期は放線菌の活躍に特に適切な水分と空気(酸素)が必要ですので、切り返しをこまめに行い、発酵熱で奪われる水分量を60%前後に加水調整して、保温をしっかりとせねばなりません。
リグニン分解期には時々切り返しをするくらいで、あとはキノコや他の微生物、トビムシ、ミミズにおまかせして完熟するのをじっと待つのみ。
ま、よく考えたら植物でなくとも生ものの方が腐りやすいのは当たり前。ちょっと微妙なたとえになりますが、生魚と干物じゃ生魚の方が腐りやすいですし、生肉とビーフジャーキーでも生肉の方が腐りやすいですもんね。あれ?あってる?(笑)
本日の教訓:
先ずはこの発酵のしくみをしっかり理解してじゃまするな。(^^;)