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闇の世界に一礼 揖夜神社と黄泉比良坂@東出雲

揖夜神社(いよじんじゃ)の「揖」とは一礼を意味し、「夜」とは闇の世界を意味するため、夜(闇)の世界に敬礼する神社ということになります。
また、黄泉比良坂(よもつひらさか)とは、あの世とこの世の境目です。
古事記の中にある伊邪那美命(イザナミノミコト)が伊邪那岐命(イザナギノミコト)を死者の国から追いかけ黄泉比良坂を駆け下り、伊邪那岐命が「ちびきの岩」で黄泉の国の封印をしたとされている場所です。
乗っけからちょっと怖いお話ですが、八雲立つ出雲の国が神の国・神話の国と言われる中で、俗い言う裏出雲的な「陰」の部分の出雲の神々を訪れてみました。
特に古事記に書かれる神話の中で、黄泉比良坂は外すことのできない物語だと思い、揖夜神社と黄泉比良坂を参拝します。

東出雲に位置する揖夜神社は、松江の市街地から国道9号線を米子方面へ向かい、途中で国道191号線へ入ります。
JR揖屋駅前を目指し、駅前を通過して約1〜2分で揖夜神社前に到着します。
鳥居の横に神社の駐車場があり、そこに駐車して、いざ参拝。

鳥居

鳥居

手水舎
鳥居をくぐるとすぐ左手に手水舎がありました。

手水舎

狛犬と参道
鳥居をくぐり手水舎で清めた後に、参道を歩きます。
古めかしい狛犬が参拝者を迎えます。

狛犬と参道

神門(随身門)
随身門とは、神社の守護神である矢大臣神像(やだいじんしんぞう)をむかって左側に、左大臣神像(さだいじんしんぞう)を右側に配置する正面三間の門です。 像は矢を背負い、剣を帯びた五位以上の武官の服装で、正式な随身の姿であることが名称の由来だそうです。
一般的には守護神像が正面を向いていますが、ここ出雲では守護神像が向き合って配置されているように感じました。(気のせいかな?)

神門

神門から望む伊賦夜坂 (いふやざか)
古事記ではこの地を出雲国の伊賦夜坂 (いふやざか) であると言っていて、神門から見える裏山の向こう側が伊賦夜坂伝承地、すなわち黄泉比良坂なのです。
神門から広がる風景は、とても美しく直感的に意図して作られた門であることを感じることができました。
ちょうど門からの一直線上に黄泉比良坂があることがわかると、納得感と共にこの神社の恐ろしさを感じてしまいました。

神門から望む伊賦夜坂

拝殿
この神社は、熊野大社・真名井神社・六所神社・八重垣神社・神魂神社とともに意宇六社の1つに数えられてます。

拝殿

拝殿

拝殿

御本殿
千木は内削ぎ、鰹木は3本でした。
伊邪那美命が主祭神なので、当然内削ぎですね。
本殿は大社造りですが、神座は出雲大社と反対で、左から右に向かっているのが特徴だそうです。神座に関しては見ることができません。(涙

御本殿

境内map 

境内map

御祭神
 主祭神  伊弉冉命(イザナミノミコト)
 配神   大己貴命
      少彦名命
      事代主命
      武御名方命
      経津主命

御由緒
出雲地方でも熊野大社(八雲村)と共に最も古く、風土記に「伊布夜(イフヤ)杜」と記され、日本書紀斉明天皇の条に「言屋(いふや)社」の名で登場する。
本殿は大社造りで、五色の八雲、極彩色の神事の障壁画が扉に描かれている。
豊作豊漁を祈念する祭礼として毎年8月28日に穂掛け祭が賑やかに行われる。
 (社頭案内板より)

御由緒書

荒神社と藁蛇
境内mapを見ても分かるように、多くの境内社がありますが、中でも異彩を放つのが荒神社です。
社の両側に、縄で編んだ木に巻きつく大蛇のようなものが鎮座しています。
これは藁蛇というものだそうです。
荒神社は農耕の神として信仰されていて、その年の豊作を神に感謝するという風習があり、その感謝のかたちが、この藁蛇だそうです。
ヤマタノオロチを模しているのかと思いましたが、そうではありませんでした。
また、周囲には多くの幣束が供えられていました。

荒神社と藁蛇

黄泉比良坂 
最初は、黄泉の国への入り口なので少し怖くて行くのを躊躇していましたが、揖夜神社の社務所で御朱印をいただいた際に、宮司さんより黄泉比良坂に行くように勧められ訪れてみました。
揖夜神社より車で約5分程で黄泉比良坂の駐車場に到着します。
駐車場は、4〜5台程度が駐車できるスペースです。

黄泉比良坂・伊賦夜坂
車を降りるとそこは黄泉比良坂・伊賦夜坂です。
黄泉比良坂・伊賦夜坂の案内板を読んで、少し学習します。

黄泉の世界への入口
案内板の反対方向に、注連柱が見えます。
さて結界の中へ入ります!

注連柱

千引の岩(ちびきのいわ)
黄泉の国の入り口を塞いだ大石があの世とこの世とを塞ぐ「千引の岩」です。
一説によると、お墓に石を用いる故になっているとかいないとか。

黄泉の入口を封印した千引の岩

伊賦夜坂

伊賦夜坂への入口

伊賦夜坂

伊賦夜坂

黄泉比良坂(よもつひらさか)
黄泉(あの世)の国と現世の境界の地として古事記上巻に、伊邪那岐命が先立たれた最後の妻伊邪那美命を慕って黄泉の国を訪ねて行かれた入口が、この地(黄泉比良坂)であるとされている。
別名「伊賦夜坂」の起源でもある。昭和15年に「神蹟黄泉比良坂伊賦夜伝説地」と刻んだ石碑が設立された。
 (現地案内板より) 

今回は話が長くなりましたが、
古事記や日本書紀に書かれる神話の舞台を参拝して、これらの物語は単なる神話ではない気がしました。
特に古事記のお話は、子供の頃の御伽話や日本昔話などでその一部を聞かされたことがあるのではないでしょうか?
改めて古事記を読んで、日本の神話や国造りの話、天孫降臨の話などなど日本人としてのアイデンティティを感じることができると思います。
その物語がここ出雲にはリアルに残っているから、大感激です!!
今回おとづれた揖夜神社や黄泉比良坂は、伊邪那岐命、伊邪那美命のハイライト部分のお話の地です。
黄泉の国の入り口だったり、伊邪那美命の聖霊を感じる場所だと思うと、とても恐ろしいのですが、とても清らかな場所であったと思います。
実は、黄泉比良坂で急に現れた一人の上品なおばあさんに声をかけられ、色々とこの地のお話を伺うことができました。
最初は観光客の人だと思っていたのですが、話を聞いているうちにガイドボランティアの人のような、単なる近くの方のような、しかしながら、それにしてはとても上品な方なので、どうゆう人なのか不思議に思いました。
まだまだ話をしたそうでしたが、次があるため話を打ち切って別れました。
後から考えると急に現れてお話をされたあの人はシャーマンか?伊邪那美命の聖霊か?そんな思い気掻き立てられ、もっと話をするべきだったと後悔しています。
しかし、もしかすると黄泉の国へ引き込まれるところだったのかもしれません。
そんな経験をしながら、神秘の揖夜神社や黄泉比良坂でした。


神社:  揖夜神社
住所:  島根県松江市東出雲町揖屋229
HP:  https://www.izumo-shinwa.com/spot_dtl_iya.html

神社:  黄泉比良坂
住所:  島根県松江市東出雲町揖屋
HP:  


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