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神籬磐境・一宮神社@八幡西区

皆さんは、氏神様、産神様、鎮守様をご存知でしょうか?
氏神(うじがみ)とは、自分が住んでいる地域を守っていただいている神さまのことをいいます。
産土神(うぶすながみ)とは自分が生まれたところ、土地を守る神さまです。
鎮守神(ちんじゅがみ)とはある土地、建物をお守りされる神さまです。
福岡県を中心とした西日本では、お正月の初詣には三社参りを行う習慣があります。
これは、氏神様、産神様、鎮守様をお参りすることが起源とする説と、朝延が伊勢神宮、石清水八幡宮、賀茂神社に奉幣する風習から一般化した説とがあります。
福岡では、太宰府天満宮、筥崎宮、宗像大社、宮地嶽神社と行ったところを参拝するのが有名ですが、是非、皆さんの氏神様、産神様、鎮守様を参拝して欲しいですね。

さて、ここは八幡西区山寺にある一宮神社です。
JR黒崎駅より車で5分ほどのところで、八幡西警察署や八幡西郵便局のそばにある神社です。
境内全体を皇后崎公園の雑木林が覆う静かな場所に鎮座しています。
ここは、私にとっての鎮守様です。

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一の鳥居をくぐると直ぐに太鼓橋があり、木々に覆われた参道が続きます。

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太鼓橋を渡ると、直ぐに扁額に「王子宮」と書かれた鳥居があります。

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二の鳥居をくぐり直ぐ横に「王子本宮」と書かれた場所があります。
ここは神籬磐境の斎場があり、神武天皇が御自らお祭りをされた遺跡です。

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王子宮は、神武天皇が日向の国より東征の途上、この地においでになり一年間、天神地祗を祀り、国の安泰を祈った場所といわれています。

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神籬磐境とは、
神籬(ひもろぎ)は、
神代時代、神霊の憑依する所として、清浄な土地を選び、周囲に常盤木を樹て、神座となしたもの
磐境(いわさか)は、
神を祀るため、磐石をもって築きめぐらした場所

この磐境は、古事記によれば、神武天皇御東遷のみぎり、豊前の国宇佐より、この筑前の国のこの地に、御滞在された旧蹟と云われており、天皇が御滞在中、磐境を設けて天神地祗をご親祭された神座神処だそうです。
歴史的にも非常に貴重な場所が、ここにあります。

ちなみに隣町の地名が皇后崎(こうがさき)というのは、神功皇后が上陸されてお参りした場所であることが由来となってます。

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参道の石段をあがると、少し開けた場所に出ます。
そこからさらに、進むと本殿があります。

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本殿

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手水舎

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扁額

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一宮神社と一ノ宮神社
一ノ宮神社とは、律令制の頃に国割りされた地方の中で最も社格の高いとされる神社に与えられたもので、一宮に次ぐ社格の神社を二宮、三宮とする地域もあります。
例えば、国割りとは筑前国や豊前国、肥後国などのことで、その地域で一番格式のある神社に対して、一ノ宮の称号を与えたことから由来します。
豊前国の一ノ宮は宇佐神宮、肥後国の一ノ宮は阿蘇神社、筑前国は筥崎宮と住吉神社です。
それゆえに、ここ一宮神社は一ノ宮ではありません。
個人的に思うに、合祀した際に社号を一宮神社としたのは、この神社が古代祭場を有し、神武天皇神功皇后ゆかりの場所であり、古くからこの地域の代表する氏神様であったことから、この地の一ノ宮としての想いを込めたのではないでしょうか。


御祭神
元)王子神社
  ・神倭伊波禮毘古命(カムヤマトイワレビコ)、神武天皇
  ・天忍穗耳命(アメノオシホミミノミコト)、
元)諏訪神社
  ・建御名方命(タケミナカタノミコト)
  ・仲哀天皇
  ・神功皇后
  ・應神天皇
元)大歳神社
  ・大歳神(オオトシノカミ)
  ・事代主神 (コトシロヌシノカミ)

御由緒
 この地方の氏神、王子神社、大歳神社、諏訪神社の三社を昭和二十五年六月吉日に合祀し、社号を一宮神社と稱します。
・王子神社は神武天皇が日向の国より東征の途上、筑前のこのところにおいでになり、一年間政務をみられた宮居の地で、境内には古代祭場等考古学的にも貴重な跡があります。
・大歳神社は三代実録や続風土記にも表れている古くて且、由緒深い神社であります。
・諏訪神社は花尾城主麻生氏が信州の諏訪神社を御手洗池のほとりに分祀し、厚く祭られた神社であります。
(出所:一宮神社・御由緒より)

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古事記にも記載されている神武東征の際、神武天皇が1年間滞在した岡田宮とはこの一宮神社(王子宮)のことであり、現在、黒崎にある岡田宮の元宮がこの一宮神社だそうです。
歴史的にも稀な古代祭場を有するこの神社は、鎮守の森の中にあるとても素敵な氏神様です。
夏には、黒崎祇園山笠が岡田宮、春日神社、一宮神社に奉納されます。

地域の人にとって欠かすことのできない氏神様。
心の拠り所として、いつも私たちを見守ってくださっていると感じます。


神社: 一宮神社
住所: 福岡県北九州市八幡西区山寺町12−30



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#一宮神社だけど一之宮神社ではない

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