還暦不行届 第七回 集中力
監督は眠っている時の姿が変わっていて
浜辺に打ち上げられた棒みたいに一本になって寝ている。
体の中にある本体が抜け出して、その際入れ物である肉体を
ぽいと投げ出して出かけてった、というような感じがする。
なんでそんなふうに感じるかというと
普段から監督の動きがそんな様子だからだ。
テーブルの上にある醤油さしなどを取るときも
アームを動かして、醤油さしを掴み、持ち上げる、というように
小さい人が大きいロボットの頭の中に入って
「操縦」してるみたいに見えることがある。
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