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0418_美しい蜘蛛と石

 庭で、足元にキラリと光るなにかを見つけたので手を伸ばしたら、指に蜘蛛の糸が絡まった。やや粘度のあるそれは一瞬触れただけなのに、ぺとりと私の人差し指に絡み付いた。

 どこから?

 私の足元で糸が絡むと言うことは、地面からわずか10㎝や15㎝の位置であり、その付近に木や例えば枝のような糸の掛かるものも見当たらない。砂利があるだけだ。

 ではなぜ?

 糸を辿ってみることにした。私の指についた糸をそのままに、この糸の行き先とどこから来たものなのかをまずは目で追う。行き先は簡単だった。私の指の付近には、見つけた『なにかキラキラしたもの』がある。

 石だった。

 小さなゴツゴツがあり、そのカドがキラキラと光って見える。角度が違えばもっときれいに光るのかと思って、頭を動かしてみる。キラキラキラキラとてもきれい。石英?石灰岩?分からないけど、小さな頃によく見た石だ。

 その延長に蜘蛛の糸がある。

 まるでその石がその蜘蛛の所有物であるようだった。今度は蜘蛛の糸を辿る。が、蜘蛛の糸は細く、すぐに見えなくなった。仕方がないので、当てずっぽうで蜘蛛を探す。

 程なくして見つけた。

 薄く透き通った緑色の小さい蜘蛛だ。葉っぱで時々見るヤツだが、なぜここに。と、思うと、目があった。ような気がする。私はとっさにキラキラと光る石を持ち、勢い蜘蛛を見た。
 なんとなく、睨まれている気がする。
 石を右や左に動かすと、蜘蛛も視線をそれに合わせて移している、気がする。今度は石を近づけてやる。これにはピクリとも動かなかったが、危機感だろうか。

 陽の光が、うっすらと蜘蛛の背を射す黄緑がキレイ。

 キラキラとした石もきれいだが、光指す蜘蛛の方がなんとなく美しいと感じた。多分、生きていることが美しいのではないかと思う。目があって、動いて、何故かたかだか石ころを奪い合い、その、『生』がキレイ。

 私も陽に手のひらをかざす。
 そんなはずはないのに、透き通ってみえて、私も美しい。


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