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0724_私のあの子

 私があの子のことをどれほどに大切なのかを伝えるにはどうしたらいいものか。

 あの子が笑っていてくれるなら、私はいくらだって努力する。あの子に危険が及ぶのなら、あの子をつれてもうダッシュでその場を離れる。たとえその途中にブランコやなんかの鉄の棒に頭をぶつけたとしても、気にすることも振りかえることもせず、痛むことにも気づかずに、安全な場所まで私はかけ続ける。

 それは、あの子が生まれたもう何十年も昔から、何十年経った今であってもそうだ。どんなにあの子が大きくなって、その体は重く、私の身長を大きく越えているとしても、私は何とかして抱えあげて、どこまでだって駆けることだろう。

 私はあの子をずっと大切に思っている。
 それはもう考えの及ぶところではなく、無意識かで思い続けているのだ。自分のことが好きだろうと嫌いだろうと、息をするかしないかを選ばないことと同じように、好きか嫌いか考えるではなく、息をするようにあの子を思い、息を吐くようにあの子を思っている。ごく、自然なことである。

 だから、あの子がどうか、自分が一人だと思ってうずくまることのないように。
 だから、あの子がどうか、自分なんてと俯くことのないように。
 だから、あの子がどうか、自分は愛されていて、今、ここにいてそれだけでもう十分であると言うことがわかってくれますように。あの子が生きているというそれだけで私の毎日が幸せなのだと、明確に自覚してくれますように。

 そうして、自分はこのままでも大丈夫なのだと、そう思って、うずくまった体を大きく広げ、俯いた顔を空に向けて、愛し、満たされ、幸せだと感じてくれるように。

 私は、そこまで懸命に駆け続けるから、大丈夫です。
 ああ、また、今度は鉄棒に腕をぶつけたけれど、いたくも痒くもなく、なにも感じない。

 あの子のことしか、感じない。

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