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1010_冷たくとかして

【140字小説】
その手はひんやりとしていて、爽やかな冷たさではなく、痛いほどだ。私はふいにその手を払った。指先から冷たいと思う間もなく、私は私のまま凍らされてしまうと思ったからである。私はこのまま凍ってしまいたくなかったのだ。だから払ったこの手を伸ばし、今度は私がその手を取り、とかしてあげたい。

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