大麻やってる奴がベストフレンドだった話

出会い

昔、私は仕事場で1人の男と出会った。
私は正社員、奴はバイトとして入っていた。
私はしばらく仕事から離れ、復職する時に
みんなで歓迎会を開いてくれることになり
出社前に当時仕事場にいる顔ぶれを見ることが出来た。
その中にいたのが奴だった。

奴は音楽が好きで、チラッと話すと趣味があった。
奴は軽いノリで「うぇーい」とグータッチを
してきたりと、パリピみたいな感じで
歳は私より4つ下でまだまだ若い青年だった。

仕事が始まると私はみんなに教わったり
教えたりと、チームになり目標に向かうことが
多々あって、奴とチームになる機会が増えた。
仕事仲間が増えるとその度に歓迎会があり、
奴と仕事以外で話す機会が増えた。

奴は段々私を慕い、わたしをあだ名で呼ぶようになり
ご飯に誘ってくるようになった。
その度に奴に「不思議な感じ」を覚えた。

ねぇ、なんの香水?

奴はご飯に行く時に一度家に帰る時間があった。
そして家から出てくると凄く甘い香りがした。
アンバーのような甘い香りの中にムスクのような奥ゆかしい香りがして、私はその嗅いだことのない香りが凄く気になった。
奴は「なんもつけてないっす」
と言い張った。それでも奴から香る香りは
仕事場でも香っていて不思議な香りだった。

わたしは毎日のように聞いた。
「ねぇ、なんの香水?」

奴は毎回「なんもつけてないっす」といった。
そして、「今日ご飯行きましょ」と言われた。

バーにて

奴はオシャレなバーに連れて行ってくれた。
バーの人は知り合いらしく、たくさんサービスしてくれて、デザートのケーキも出してくれた。
マスターが席を外すと、奴はこう言った。

「お前だけだよ、こんなに聞いてくるの。俺のこの匂いは大麻だよ。お前は警察犬か」

とてもびっくりした。大麻なんて遠い世界の違う国の話だと思っていたし、見たことないから妖精とかドラゴンの類いの伝説の話なのかと思っていた。
こんな身近にいるんかよ!!

それ以上聞いたら私も共犯の疑いで逮捕とかされたら嫌だし、深く関わるのは嫌だったので聞けなかった。

腕をまくってキズを見せてきた。

「これな、大麻中毒のやつにナイフで刺された」

ケロイドに腫れた1本の線があった。

ちょっと怖くて距離をおいた

しばらくちょっと距離を置いて、一緒に行動するのを辞めたら奴も離れた。
そしたら楽しかった仕事も一気につまらなくなって、奴がいたから楽しかったんだと気づいた。
(先に言う、恋愛にはならない)

それから仲良くした。

ヘナタトゥーが得意だったので、奴に書いてあげた。
(奴は喜んでヘナタトゥーからタトゥーにハマり、立派なタトゥーを外国で入れてきた。)

ピアスを21個開けた話をしたら、奴もピアスに興味を持ち11個開けてあげた。

でも奴は絶対大麻を私に勧めてくることはなかった。

奴は海外に行った

俺は小さい日本には居られねぇ

と奴は海外に行ってしまった。

そこからまったく連絡取らなくなったけど、間違いなくあの時は奴がバディでベストフレンドだった。

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